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2022.04.08
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上阳赋 The Rebel Princess
第62話「宮殿での再会」

王儇(オウケン)と再会を果たし、兄妹水入らずの時を過ごす王夙(オウシュク)。
しかしまだ父の生存を明かすことができず、妹への隠し事に後ろめたさを感じていた。
「阿嫵(アーウォ)…父亲大人が…」
「父亲?…どうかした?」
「…いや、幼い頃に父亲に嘘を見破られると酷く叱られた」
王夙はこの世には偽善が多く、正直な人間になるのは難しいとごまかした。
すると王儇は兄の嘘によって小皇子・馬静(バセイ)が救われ、父も兄を責めたりしないと安心させる。
「もし父亲が生きていても許せるか?」
「…だって家族だもの」@みつお

一方、豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)は早速、″楝羽(レンウ)山の変″の真相を探り始めた。
唐競(トウケイ)が聞き込みしたところ、禁衛軍の将校たちは皇太后に狩り場へ差し向けられたと証言したという。
「しかし到着が早すぎます、事前に計画を練っていたのでしょう」
蕭綦は確かに皇太后も自分の死を望んでいたと納得したが、それにしても我が子を死地に行かせるとは不可解だ。
恐らく黒幕は別にいるのだろう。
「調査を続けてくれ」

慈安(ジアン)寺で隠棲している王藺(オウリン)は青雲(セイウン)から報告を聞いていた。
粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)に動きはなく、夫人も豫章王府を訪ねていないという。
恐らく懐恩は自分の心を蕭綦に見抜かれやしないかと恐れているのだろう。
しかし王藺は懐恩自身で考えさせることにした。
すでに心が動いた懐恩はもはや引き返すことができないだろう。

王儇は皇太后の病状が悪化していると知り、蕭綦に見舞いへ行くと伝えた。
「私も一緒に行くべきか?」
「いいえ、姑姑(グォグォ)の心に波風を立てたくないの…」
蕭綦も阿嫵が叔母に会いに行くことに反対はしなかった。
「…それからもう1人、会う人がいるの」

蘇錦児(ソキンジ)は王儇との再会を恐れ、眠れない日々が続いた。
そしてついにその朝、侍女が豫章王妃の来訪を知らせる。
ガーン!( ꒪ω꒪)<通してちょうだい…
錦児はどうせ対峙するなら早い方が良いと覚悟を決めた。

蘇錦児が大きなお腹を突き出して正殿に現れた。
確かにこの半年で何もかもが変わったが、王儇は最も変わったのが錦児だという。
錦児は平然と姉妹の情を忘れてはいないと言いのけた。
そこで王儇は人払いし、賀蘭箴(ガランシン)が全て暴露したと教える。
「私を害そうとした理由を聞かせてちょうだい」
すると錦児は幼い頃から抱いてきてわだかまりをぶちまけた。
「王妃は生まれながら高貴な王氏の娘でした…″姉妹″という言葉は私への褒美に過ぎない
 私は常にそばにいましたが、あなたは雲の上の存在だった
 欲しいものは手に入れ、飽きれば捨てる…私には夢のまた夢でした
 本気で姉妹だと言うなら私の心に気づいたはずです」
王儇は始めて錦児の本音を知り、実は欲に溺れた哀れな人間だと蔑んだ。
しかし錦児は今や皇帝の寵姫となり、王儇にも劣らないという。
王儇は大きなため息を漏らし、錦児に歩み寄った。
「この瞬間からあなたと私は赤の他人よ…
 これで一番身近だった妹妹が冷酷になってしまったと悩まなくていい
 ひとつ言っておくわ、今度、悪意を向けられたら私だって容赦しない、せいぜい身を慎むことね」



皇帝・馬子澹(バシタン)は阿嫵が錦繍(キンシュウ)宮を訪ねたと聞いた。
そこで急いで後宮へ向かったが、ちょうど回廊で阿嫵と出くわす。
「余を避けているのか?」
「…陛下はご多忙でしょう、これで失礼します」
すると子澹は全て阿嫵のためだったと訴えた。
「己の人生すら汚した余にどうせよと?」
「…名君におなりください」
一方、恩赦で自由になった胡瑶(コヨウ)は旅の途中で立ち寄った茶屋にいた。
そこで思いがけず豫章王の噂話を耳にする。
「豫章王は立派な英雄だな~忽蘭(クラン)から王妃を救って帰京したって言うんだから~」
( ゚д゚)<何だってぇぇぇぇ~!

皇太后の永安宮は閑散としていた。
王儇はようやく桂(ケイ)女官を見つけ、新帝に変わってから皇太后が冷遇されていると知る。
皇太后は正常な時間が少なくなり、病状は悪化の一途をたどっていた。
先帝の崩御から泣き続けたせいで目も衰え、太医は3ヶ月以内に失明すると診断したという。

皇太后は阿嫵の顔がよく見えず、手を伸ばして頬に触れた。
「阿嫵…阿嫵なのね?(はっ)こんな姿を見せたくないわ、髪をとかして…」
桂女官は急いで櫛を出したが、王儇が代わりに自ら叔母の髪を梳くことにした。
「夢のようだわ…私に会いに来て髪までとかしてくれるなんて…」
皇太后は皇帝の妻としての孤独から姪を害しかけたことを悔やみ、今なら自分が間違っていたと分かるという。
「姑姑…」
「私をまた姑姑と呼んでくれるのね…ゥッ…」
王儇はかつての威厳を失い、一回り小さくなった叔母を抱きしめた。
そこで孫である馬静が元気だと報告する。
皇太后は暗闇で一筋の光を見つけ出したように空を仰いで高笑いすると、阿嫵の胸の中に顔を埋めた。

胡瑶は一目散に皇都へ戻り、豫章王府へ駆けつけた。
ようやく再会を果たした蕭綦と胡瑶、実は胡瑶は大王を馬に乗せたあと意識を失い、目覚めたら宮殿にいた。
聞けば帰京の途にいた現皇帝の安平王に助けられたという。
そこで胡瑶は皇帝に寧朔軍の無実を訴えたが、何を言っても取り合ってもらえなかった。
それ以来、兄や兵士たちの首を取り返して埋葬しようと考えるも機会は訪れなかったという。
「胡光烈(ココウレツ)の命は私の命と引き換えになったのか…私が殺した」
蕭綦は谷で何があったのかを知り、自分に従って狩り場に来た兵士や援軍の兵士たちも巻き込んでしまったと後悔した。
しかし胡瑶は兄が大王のために死ぬのは名誉だと言っていたと伝える。
もちろん兄だけではなく、寧朔軍の兵士も同じだろう。
憤懣やる方ない蕭綦は兄弟の死をあいまいに終わらせないと誓い、胡瑶も兄たちの潔白を証明して欲しいと哀願した。

王儇は乱世がどういうものか、身をもって知った。
父は王家の家訓の1つ目にある″母儀天下″を恥だと切り捨てたが、今になってようやくその意味を理解する。
「″母儀天下″とは″女を重んじよ″という意味ではない、″一国の母になれ″ということなのね…
 王氏の女は皇后となり馬氏皇帝を補佐する、父亲は賢かったのに死ぬまで気づけなかった
 つまり国や民を思いやる、それが王氏の理念なのよ」
徐女官は王妃の話に感銘したが、この戦乱の世で母儀天下を築くことはできないという。
しかし王儇は皇族と王氏の血が流れる自分が豫章王の妻となり、皇族と寒門どちらの使命も果たさねばならないと気づいた。
「自身の天命をしっかりと受け入れるわ」

翌朝、突然、蕭綦が側近たちを連れて登朝した。
礼儀を無視して帯剣している蕭綦たちに騒然とする朝堂、すると蕭綦は楝羽山にて無念の死を遂げた兵士らの潔白を認めて欲しいと嘆願する。
子澹は朝廷が豫章王を免罪したなら兵士も潔白だと答え、丞相に慰霊を行うよう命じた。
しかし蕭綦は皇帝自ら祭祀に臨んで欲しいと訴える。
皇帝の祭祀は天地と国のためにのみに行うもの、子澹は自分を脅迫するのかと苛立ちを隠せなかった。
「…寧朔軍は生き残る道さえ与えられず、死に追いやられました
 我々、平民は血を流し、国境を守って来た!
 ゆえに士族…金持ちどもが皇都で憂いもなく繁栄を享受できたのだ!
 我々は剣を血で染めながら命懸けで戦い、急死に一生を得て来た
 まさか敵の剣からかろうじて守った命を味方の手によって奪われるとは思わなかった
 陛下…今日ここでお返事をいただけないなら、蕭綦、納得ができません!
 いいえ、私だけではない、寧朔軍の兵士もこの国の民も承知せぬでしょうな…」

豫章王の上奏はまるで宣戦布告のように聞こえた。
静まり返る朝堂、その時、宋懐恩が突然、ひざまずいて嘆願する。
「陛下に上奏いたします!皇帝自ら慰霊を!」

つづく


(  ̄꒳ ̄)錦児が正論だった件w
地味だけど良い回でしたね〜(←誰?w





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最終更新日  2022.04.08 21:54:18
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