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カテゴリ:上陽賦~運命の王妃~全68話
上阳赋 The Rebel Princess 第65話「露呈した嘘」 王夙(オウシュク)は徐(ジョ)女官の死に衝撃を受けながらも阿嫵(アーウォ)に真実を明かすことはできなかった。 結局、王儇(オウケン)たちは慈安(ジアン)寺で徐女官の痕跡を見つけられず、引き上げることにする。 しかし義兄の様子を怪しんだ蕭綦(ショウキ)は裏山の捜索を命じ、腹心の唐競(トウケイ)にはある人物を調べるよう頼んだ。 「…江夏王だ」 王夙は秋風(シュウフウ)荘で父と合流した。 あの時、父は故意に王安(オウアン)を使って徐女官を隠し部屋へ誘い入れ、宋懐恩(ソウカイオン)を煽って殺させたのだろう。 父の目論見通り、これで懐恩は自分たちの言いなりになるしかなくなった。 王夙は父のやり方に憤り、もしこれが阿嫵だったらどうしたのかと迫る。 「阿嫵だったら迷ったであろうな…ともかくお前は王氏の当主として毅然としていろ 覚えておけ、大事をなす者は揺れてはならぬ」 しかしその頃、寧朔軍が裏山で掘られたばかりの跡を発見、そこから徐女官が変わり果てた姿で見つかった。 王儇は徐女官の墓前で泣き崩れた。 「一体、誰なの?…誰の仕業?」 すると蕭綦が手がかりがあると明かし、徐女官の死には王夙が関与していると告げる。 「いいえ、そんなはずないわ…」 王儇は到底、信じられなかったが、龐癸(ホウキ)を遣いに出して兄を呼び出した。 王儇は母の墓前で兄を待っていた。 「なぜここに呼んだと思う?母亲(ムーチン)の前では嘘のない兄妹でいたいの…徐女官のことよ?」 王夙は妹に勘づかれたと知って動揺したが、父に言われた通り毅然とした態度を貫くしかなかった。 「徐女官の死は不慮の事故だった、今はそれしか言えない、私も悲しみに暮れ、己を責めた …阿嫵、やむを得ぬ事情がある、すでに賽は投げられた、王氏のためにやるしかない、覚えておけ」 すると王夙は阿嫵が巻き込まれないよう蕭綦と寧朔へ帰れと勧めた。 しかし王儇は今となっては兄を信じられるか自信がないと落胆し帰ってしまう。 王夙は母親代わりの徐女官だけでなく妹の信頼まで失い、独りなると堰を切ったように母の墓前で泣き崩れた。 王儇の報告を聞いた蕭綦は、義兄が自分たちを守るため寧朔に帰そうとしていると気づた。 恐らく皇都が危険に陥るという意味だろう。 「もしあなたと寧朔軍が皇都を離れたら、黒幕は行動に出るかしら?」 「…確かに、ならば我々が一芝居うってやろう 彼らに表舞台に登場してもらい、背後にいるのは誰なのか見せてもらおうじゃないか」 一方、錦繍(キンシュウ)宮ではついに蘇錦児(ソキンジ)が産気づいた。 知らせを聞いた皇帝・馬子澹(バシタン)は急いで駆けつけると、錦児が無事に皇子を出産する。 喜んだ子澹は寝所へ入ったが、産婆たちの様子がどこかおかしかった。 「赤子は?…見せてくれ」 産婆は仕方なく赤子を渡したが、我が子を見た子澹は驚愕のあまり動けなくなってしまう。 蘇貴妃が産んだのは異民族の子だった。 書斎に呼ばれた申(シン)太医は以前から不可解な点があったと認め、出産まで正確な判断ができなかったと謝罪する。 「辞して故郷に帰り、二度と戻りません」 その頃、王儇は永安宮で皇太后を見舞っていた。 元気になったら馬静(バセイ)を連れて来ると励ます王儇、すると桂(ケイ)女官が息急き切って駆け込んで来る。 「錦繍宮で騒ぎが…蘇貴妃が男子を産みましたが、どうやら陛下のお子ではないようです」 子澹が再び錦繍宮にやって来た。 慌てた錦児は侍女に赤子を連れて出て行くよう命じたが、運悪く皇帝に見つかってしまう。 「待て…」 子澹は寝台にいた錦児の腕をつかみ、赤子の前へ引きずり下ろした。 驚いた錦児は暴行されたと釈明したが、面目を潰された子澹の怒りは収まらない。 感情的になった子澹は思わず衛兵の帯剣を抜き、赤子に向かって振り上げた。 錦児は咄嗟に我が子を抱きしめ守ると、赤子が泣き出してしまう。 「陛下!」「陛下!」 従者たちは一斉に皇帝を諌めた。 子澹は怒りをどこへぶつけて良いか分からず、近くにあった灯籠を斬りつける。 「子澹、あなただけを愛してきました、でもお心は私になかった…これで終わりです」 錦児は目を覚さます時が来たと悟った。 すると子澹は赤子を取り上げ、衛兵に錦児の処分を命じる。 しかしそこへ王儇が現れた。 「この子との間には確執があるの…私に任せて」 「好きにしろ」 錦児は王氏の護衛たちに連行され、王宮の裏門から出た。 すると王儇が待っている。 王儇は黙って酒を注ぐと、錦児は毒酒だと思って飲み干した。 「私の人生は2人のためにありました、子澹とあなたです 本当に懐かしい、王氏の屋敷での日々が…冗談を言い合い、喧嘩もしました あの頃は何の心配もありませんでした 私は身寄りもなく、名もなかった…″蘇錦児″という名はあなたがくれました すぉぢんあーる…この名が大好きです 恋心にとらわれなければ、もしその後の一切がなければ、どんなに良かったか…でもこれが現実です この人生では何も得られなかった」 錦児は死をもって償うと言ったが、王儇の酒に毒など入っていなかった。 そこへ侍女が赤子を連れて現れる。 「江南に住まいを用意したわ、この子と幸せに暮らしなさい、身分を知られないようにね」 王儇は今日で全てを水に流すという。 「郡主!」 錦児は思わずその場にひざまずき、叩頭して別れを告げた。 「…姐姐、お元気で」 宋懐恩はついに豫章王府へ行くと決めた。 そこで蕭玉岫(ショウギョクシュウ)に豫章王府へ挨拶に行こうと伝えたが、どういう風の吹き回しかと玉岫が笑う。 「私と大王は今やどちらも朝廷の官吏だ、昔のように勝手はできない」 「…朝廷のことはよく分からないけれど、あなたに従います」 懐恩は玉岫を先に休ませると、頭を抱えた。 この証拠を蕭綦に渡せば蕭綦と皇帝との間に波風を立てることになる。 大成の忠臣である蕭綦にとって苦渋の選択になるが、最終的には正義を通すだろう。 『蕭綦が子澹に背くなら粛毅(シュクキ)伯、お前はどうする?』 懐恩は王藺の言葉を思い出し、悶々となった。 豫章王府に宋懐恩と玉岫夫妻がやって来た。 阿嫵と玉岫の手前、懐恩を暖かく迎える蕭綦、そこで王儇は玉岫を連れて奥殿へ向かう。 すると玉岫は昔を思い出し、悩みもなく穏やかだったと懐かしんだ。 懐恩は良くしてくれるが、自分との間に溝を感じるという。 「何を考え、何がしたいのか、私には教えてくれません」 玉岫は懐恩の本心が分からないとこぼした。 しかし王儇はただの取り越し苦労だろうと安心させる。 一方、蕭綦は懐恩を連れて正堂に入った。 懐恩はひざまずいて先の一件を謝罪したが、蕭綦は懐恩が任務を全うしただけだと理解を示す。 「非難してください、罵倒された方が気が楽です」 口では懐恩を許しながらどこか冷ややかな蕭綦、そこで懐恩は本題に入った。 懐恩は士族たちに下心があるが、生死を共にしてきた豫章王との仲を引き裂くことはできないと情に訴えた。 「″楝羽(レンウ)山の変″で大王たちが陥れられたと知った時、真相を明らかにすると誓い、 今日に至るまで調べ続けてきました 重要な手がかりとなる密書を手に入れました 忽蘭(クラン)にありました…」 つづく (´-ω-。` )ぢんR…子供を見捨てるかと思ったら、ちゃんと守った~ これで私も過去を忘れるわ(←誰?w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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