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2022.09.03
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse
第19話「心のともし火」

急ぎ天啓(テンケイ)へ戻り、再び方海市(ホウハイシー)と離ればなれになった清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)。
旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明の温情も虚しく逃亡した蘇鳴(ソメイ)に深く失望していた。
「この世も、この朝廷もうんざりだ…最初から知っていれば玉座など争わなかったものを…」
しかし鑑明は改めて忠誠を誓い、今回の謀反を止めることができなかったが、次はないと安心させた。

方卓英(ホウタクエイ)は想い人の苦難に心を痛めていた。
そこへ大師兄の様子がおかしいと聞いた方鑑明がやって来る。
卓英は蘇鳴を取り逃したと報告、殺すべきだったと後悔した。
「いずれその機会は来る…こたびの責任は全て私にある」
「師父、必ず挽回してみせます!」
すると卓英は海市が戻ったら3人で霽風(セイフウ)花の下で飲みたいと言った。

褚仲旭は鑑明の顔を立て、鞠七七(キクシツシツ)が裏切り者であっても、故郷へ返すことを許した。
綾錦司(リョウキンシ)で独り生き残った鞠柘榴(キクシャリュウ)、すると清海公が叔母との告別に来てくれる。
「そなたの命と共に恩讐も消えた、安心して帰郷せよ」
方鑑明が鞠七七の遺骨に頭を下げると、柘榴も一緒に平伏した。
そこで鑑明は柘榴も帰郷したければ手配すると言ったが、柘榴は皇宮に留まって叔母の志を継ぎたいという。
「苦労するぞ?典衣の職務については?」
「はい、典衣から全て教え込まれています、残された仕事もすでに引き継いでいます」
先祖代々、鞠家は方家の家臣、柘榴は朝廷に忠誠を誓うと覚悟を伝えた。

(  ̄꒳ ̄)え?裏切り者の姪なのに任せて大丈夫なのか?師父?

その夜、方鑑明はようやく傷の手当てを受けた。
太医は刀傷が癒えるまで静養するよう勧めたが、鑑明は軽症だと聞く耳を持たない。
しかし今回ばかりは深刻だった。
「このまま公務を続ければお命は風前の灯となります」
一方、方海市は張承謙(チョウショウケン)たちと黄泉(コウセン)営に戻った。
湯乾自(トウカンジ)は海市たちの活躍を称賛、これで大打撃を受けた鵠庫(コクコ)左右両部とも数年は身動きが取れないという。
「辺境が平安なら朝廷も安泰だ」
奇しくも共に静養する時間を得た方鑑明と海市、2人は遠く離れていたが、互いに相手を思いやっていた。

あの夜から褚仲旭は淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に上奏文を読み上げさせるのが日課になった。
皇帝と淑容妃、頑固者同士も一緒に過ごす時間が増える中、次第に警戒が解けて行く。
↓うたた寝してしまった緹蘭の顔にいたずら書きする陛下

そんなある夜、侍女・碧紅(ヘキコウ)が嬉しそうに愈安(ユアン)宮へ戻ってきた。
宮女たちの話では厳寒で凍った霜平湖に水灯が浮かんでいるという。
「神業でもなければ冬の湖面を溶かせませんよ?淑容妃、見に行ってみませんか?」

緹蘭たちは寒空の中、霜平湖へ出かけた。
すると驚いたことに氷が溶けて水上にたくさんの蓮型の灯籠が浮かんでいる。

「龍尾神のご加護ね…」
「ここまで龍尾神の力は届かぬぞ」
「(はっ!)陛下にご挨拶を…」
「淑容妃、大徴(ダイチョウ)では本来、龍尾神を祭ることはありません
 宮中には生き神様がいらっしゃいますから@陛下」
穆徳慶(ボクトクケイ)の話を聞いた緹蘭は皇帝が自分のために準備してくれたと分かった。
今頃は暖かい注輦(チュウレン)、故郷では恩月節を迎え、人々は灯籠を流して賑やかな街へ繰り出しているだろう。
「望郷の思いを叶えていただき感謝します」
褚仲旭は嬉しそうな緹蘭を見て満足げだったが、急にくしゃみが出た。

緹蘭は皇帝が身体を冷やしたと気付き、温かい粥を作って御所へ届けた。
そこで褚仲旭は独りで食べるのも味気ないと、緹蘭も一緒に食べようと誘う。
すると緹蘭は作法として食事中、一言も話さなかった。
「姉妹でも違うのだな…」
褚仲旭は紫簪(シサン)との食事を懐かしんだ。
紫簪は話に夢中になると箸が止まり、好物がなければ食が進まず、菓子ばかり食べていたという。
「意地の悪い者には仕返しもした…ふっ」
当時、方鑑明が宴をのぞき見している注輦の使者を見咎め、″使者も偏食で紫簪と同じだ″と嫌味を言ったことがあった。
それを聞きつけた紫簪は半年もの間、鑑明が王府に来ても好物を出さなかったという。
「完璧だからといって人を愛するわけではない、教えられた作法は忘れるが良い
 …今後は金城宮の出入りを許す、独りの食事はつまらぬ、共に食べよう」
緹蘭は姉に遠く及ばないと分かっていたが、皇帝の言葉に救われる思いがした。

静養のおかげで方鑑明の身体は回復した。
海市もすでに完治、春になれば参内のため帰京する。

海市との再会に人知れず胸を躍らせる鑑明、そんなある日、淑容妃が皇帝に寵愛されていると聞きつけたのか、注輦の使者がやって来た。
蒲由馬(ホユウバ)は注輦が水害で避難民であふれていると報告、援助して欲しいと訴える。
しかし方鑑明が密かに目配せし、長旅で疲れていはずだと半ば強引に使者を下げた。

↓弟の鷹が大きくなってる!てっきり朝議で卵を落として割ったと思ってたw


注輦は毎年、天災を理由にしては法外な金を要求して来た。
かつて紫簪は注輦が無心してくる度、先帝への口添えは必要ないと言ってくれたことを思い出す。
当時は愛する紫簪の故郷を無下に出来なかった褚仲旭、しかし紫簪を失った今、何もかも耐え難くなっていた。

皇帝は愈安宮に現れなかった。
仕方なく緹蘭は独りで食事を始めたが、そこへ注輦大使との面会が許可されたと知らせが来る。
緹蘭は衝立越しに叔父と再会、すると蒲由馬は故郷が水害で王も心労で痩せてしまったと嘆いた。
「陛下にお目取りし支援を嘆願したのですが、受け流されてしまいました
 かつては当時の旭王が先帝に頼んでくださった、それは紫簪殿下のお口添えがあったからこそ…」
蒲由馬は緹蘭から皇帝に窮状を訴えて欲しいと迫り、帰って行った。

褚仲旭は蒲由馬が愈安宮から帰った後、緹蘭が泣き腫らしたような目をしていたと聞いた。
「女子に難題を迫ったか…」
注輦は淑容妃を取り引きの駒にするつもりだろう。
褚仲旭は憤慨し、緹蘭を避けるように敬誠堂(ケイセイドウ)に閉じこもった。

緹蘭は皇帝の気持ちを察し、自分から会いに行くようなことはしなかった。
しかし碧紅が大使の要求に応えてはどうかと進言する。
「王城が浸水だなんて相当ひどい状態です、このままでは疫病が蔓延する恐れも…」
「疫病なんて、誰に吹き込まれたの?」
「あ…」
碧紅はうっかり口を滑らせ、気まずそうにうつむいた。

つづく


( ゚ェ゚)…つまらん@陛下w





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最終更新日  2022.09.03 21:36:38
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