|
カテゴリ:今宵、若様は恋におちる 全38話
春闺梦里人 Romance of a Twin Flower 第33話「暴かれた過去」 間者の目を欺くため、思わず季曼(キマン)を抱きしめた寧鈺軒(ネイギョクケン)。 夫婦の様子を探っていた間者はすぐ引き上げたが、寧鈺軒はなかなか季曼を手放せなかった。 「…郡主の店には警告のために行ったんだ、誤解するな」 「ふふ…私が妬むと思ったの?」 季曼は言い訳する寧鈺軒に思わず笑みがこぼれたが、ふいに冷静になった。 「間者は?」 「去ったよ」 「早く言ってよね」 すると季曼は慌てて寧鈺軒から離れ、母屋へ戻ってしまう。 阿正(アセイ)は凌剣星(リョウケンセイ)に寧夫妻が不和どころか仲睦まじいと報告、監視の必要はないと結論づけた。 「別の策を講じては?」 実は手を組んだはずの袁朗(エンロウ)の動きがどうも不可解だという。 船を襲撃しているものの失敗を繰り返し、蛟龍(コウリュウ)幇にしてはやけに手ぬるかった。 袁朗は商船を襲っても失敗したとみせかけ、のらりくらりと時間を稼いでいた。 故意だと気づいた凌剣星は袁朗を呼び出したが、袁朗は不首尾だったと手付け金を返す。 すると凌剣星は袁朗を自分に従わせるため切り札を出した。 「お前の父親は寧鈺軒の親の敵であり、茶幇(チャホウ)の敵でもある」 かつて茶幇の幇主・蔡聞正(サイブンセイ)は朝廷への帰順を決意した。 しかし袁朗の父で2番手だった遠定山(エンテイザン)は従わず、幇主の名前で寧忠天(ネイチュウテン)を呼び出し斬殺したという。 「疑うなら自分で確かめるんだな」 遠定山は呉(ゴ)叔たちと人里離れた山奥でひっそりと暮らしていた。 すでに父は成長した息子の姿も分からないほど衰弱していたが、袁朗から茶幇の話を聞くと急に興奮してしまう。 「お前は何者だ?!どこから来た?!阿狼(アロウ)はどこだ!」 「蔡聞正を装って寧忠天を殺し、茶幇を裏切ったのは本当か?!本当なのか?!」 父子の言い争う声に驚いた呉叔たちは慌てて駆けつけ、2人を引き離した。 しかし遠定山がその場にひざまずき、自分が悪かったと謝罪しながら倒れてしまう。 「過ちを犯した…何もかも私のせいだ…」 皇商大会の第2戦の課題は商品を1000個作って期限内に収めることだった。 如月(ジョゲツ)は嫌がらせに膏薬作りに長けた女子を全員、雇ったが、聶桑楡(ニェサンユー)が慌てている様子はないという。 実は鬼白(キハク)から人手不足だと聞いた寧鈺軒が季曼に恩がある女たちに声をかけ、働き手を集めていた。 「見張りを続けて、また窮地に追い込んでやる」 面白くない如月は次に海坊(カイホウ)にある陶器の瓶を全て買い占めた。 袁朗は急遽、招集をかけ、旧茶幇の兄弟たちに真実を明かして謝罪した。 「茶幇が潰れたのは父のせいだった…父は蔡幇主を装って寧忠天を殺した その裏切りが茶幇壊滅と大勢の仲間の死を招いたのだ…全ての元凶は俺の父だった、 親の咎は子が負わねばならぬ、俺を斬れ!」 袁朗はひざまずいて自分の前に剣を置いた。 しかし兄弟たちは過去を水に流し、再び結集できたのも袁朗のおかげだと感謝する。 「流浪せず、こうして安心して暮らせるようになったのも幇主のおかげだ」 すると兄弟たちは拝礼し、これからも幇主に従うと誓った。 季曼は父に事情を話し、陶器の瓶を海路で運んで欲しいと頼んだ。 海運に関して右に出る者がいないと言われる帰海一刀(キカイイットウ)、季銘(キメイ)は娘のたっての頼みとあって快諾してくれる。 安堵した水亦清(スイイーチン)は苜蓿(ムーシュ)と買い出しに出かけた。 今日も鬼白は密かに水亦清を見守っている。 すると水亦清たちが店に入ったところで再び銭一明(センイツメイ)が現れた。 罠とも知らず追いかけた鬼白は袋道で銭一明を見失い、潜んでいた刺客に襲撃されてしまう。 寧鈺軒は鬼白が深手を負ったと聞いて駆けつけた。 「何があった?!」 「分かりません、店で買い物していたら怪我人だという声が聞こえて… そうしたら鬼白が倒れていたんです」 胸の傷を見るに刺さったのは十字の弩(ド)、どうやら至近距離で狙われたらしい。 水亦清は最近、許嫁だった銭一明につきまとわれていたと明かし、鬼白が襲われたのは自分のせいだと涙した。 「銭一明か…鬼白を頼む」 鬼白はうわ言で水亦清の身を案じた。 「私は侍衛、死と隣り合わせだ、命は短い… 望みはただ一つ、君が生涯、安全でいること…命を懸けて君を守る 君のことを守りたいんだ…」 「バカね、好きなら好きと言ってよ…」 水亦清は鬼白が自分を突き放した理由を知り、心配しながらも笑顔になった。 銭一明は鬼白が深手を追えば必ず、水亦清があの秘伝の傷薬を使うと踏んだ。 すると案の定、水亦清に頼まれた処方を持って苜蓿が薬舗に駆けつける。 銭一明は苜蓿が慌てて店主に頼んでいる薬材を暗記、その処方を如月郡主に渡した。 「私の家は薬を作っていました、薬材のことは全て頭に入っています 調合すれば功を奏すはずです」 「いいわ、調合から商品作りまであなたに一任する」 一方、季曼は帰海号で父の仕事を手伝っていた。 間者もいなくなり娘が戻ってくるのを楽しみに待っている季銘、しかし季曼は荷物を大体まとめたと言いながら歯切れが悪い。 その時、都から聶向遠(ニェキョウエン)が到着した。 季曼と再会した聶向遠はやはり桑楡と瓜二つだと驚き、複雑な心境になってしまう。 「私でさえ見分けがつかん、だが天は桑楡に残酷な仕打ちを…」 つづく ( ๑≧ꇴ≦)机に腰掛けてガックシしている侯爺が可愛いw お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[今宵、若様は恋におちる 全38話] カテゴリの最新記事
|