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カテゴリ:今宵、若様は恋におちる 全38話
春闺梦里人 Romance of a Twin Flower 第34話「漏らされた秘密」 聶向遠(ニェキョウエン)は海坊(カイホウ)で季曼(キマン)と再会。 やはり見分けがつかないほど姉妹が似ていると驚嘆しながら、桑楡(サンユー)を看取ることもできなかったと涙した。 しかし季曼から青雲(セイウン)に縁談話があると聞いて目を丸くする。 実は青雲は父から海坊を訪ねると文をもらっていたが、陶思維(トウシイ)の求婚ですっかり舞い上がり、姉に報告するのを忘れていた。 聶向遠は自分と同じ武人である陶思維と娘の縁談を喜んだ。 そこでその夜、季曼は寧鈺軒(ネイギョクケン)の協力のもと、県衙で陶思維と青雲の婚約をまとめることにする。 陶思維は聶桑楡への想いを封印、青雲に婚約の証しとして陶家伝来のかんざしを贈った。 すると青雲も自分で刺繍した手巾を渡し、2人の縁談はすんなりとまとまる。 聶向遠は急ぎ正式な婚約の儀を行うと決めたが、その前に寧鈺軒と話さねばならないことがあった。 祝宴がお開きになり、寧鈺軒と聶向遠は偏殿で2人になった。 寧鈺軒は岳父がすでに聶桑楡の死を知っていると聞いて謝罪したが、聶向遠は自分が甘やかしすぎて横暴な娘になってしまったと反省する。 「もっと厳しく躾けていればこんな不幸は起こらなかっただろう」 「救出した桑楡が別人だったとは予想外でした、詳しく調べていればあるいは… 私がうかつだったのです」 「聶桑楡が双子だと知らなかったのだ、仕方がない」 すると寧鈺軒は古寺に聶桑楡の位牌を納めたと報告した。 聶向遠は季曼との関係をどうするのか心配したが、寧鈺軒は季曼を傷つけるようなことはしたくないという。 しかしその話を運悪く陶思維が立ち聞きしていた。 …聶桑楡が死んだ?!変わったと思っていたが別人だったとは… 季曼は酔っ払った青雲を送って行くことにした。 すると中庭で陶思維に呼び止められ、聶桑楡に話があるという。 季曼は仕方なく青雲を苜蓿(ムーシュ)と桑葚(ソウシン)に任せたが、陶思維の態度は今までとどこか違っていた。 「時が経つのは早いな、幸い、君は夢を叶えた、今では店を持つ身となったな」 「色々あったけれど何とか叶ったわ」 「そうか?あの頃の君の夢は愛する人に嫁ぐことだったぞ? ふっ…君は変わった、人好きのする女子になって、まるで別人のようだ」 そこで陶思維は季曼が知るはずのない学堂時代の話を始めたが、季曼は咄嗟に遮った。 「今は黙って見守って欲しい、まだ明かせない事情があるの、いずれ話すわ ただあなたと青雲との幸せは私の願いよ」 「…ありがとう、もう休むよ」 季曼は陶思維が自分の正体に気づいてしまったと分かった。 季曼は念のため寧鈺軒に陶思維に気づかれたと報告した。 なぜばれたのか分からなかったが、寧鈺軒は誠実な陶思維を信じているという。 その時、荷物をまとめた苜蓿と桑葚がやって来た。 「じゃあ行くわね、県衙にいる間、面倒をかけたわ…ありがとう」 「いいんだ」 こうして季曼は後ろ髪を引かれる思いで県衙をあとにした。 …寧鈺軒、無理しないで、私のために苦しむ姿はもう見たくない… …季曼、そなたのためなら何もかも手放せる、でもそれは裏切りになるだろうか?… 一方、深手を負った鬼白(キハク)は水亦清(スイイーチン)の秘伝の処方と献身的な介抱で元気になった。 すると鬼白はこの機に自分の気持ちを伝えることにする。 「水姑娘、私は明日をも知れない命、君を幸せにできない」 「分かってる、でも平気よ、気にしない、あなたの心にいるのが私ならそれでいいの」 如月(ジョゲツ)は凌剣星(リョウケンセイ)に陶器の瓶を買い占めたと報告、これで聶桑楡に勝ち目はないと自信を見せた。 その時、突然、外が騒がしくなる。 凌剣星は如月に物陰に隠れるよう指示すると、そこへ陶将軍が阿正(アセイ)の首をつかんで乗り込んできた。 「2人だけで話がある」 陶思維は凌剣星に聶桑楡の正体を暴いて帰って行った。 にわかに信じられない凌剣星だったが、如月は自分も聶桑楡が別人だと疑っていたという。 「合点がいきます、今の聶桑楡が以前の聶桑楡と違うのは確かです」 しかし確認しようにも父親の聶向遠は今、海坊を離れていた。 そこで凌剣星は季曼の父である季銘(キメイ)を訪ねることにする。 「大会の選抜について意見を聞きたくてな…そう言えばご息女がおられるとか? 豪商の父がいれば優勝は間違いないだろう、なぜ出場しない?」 「娘は病弱なため故郷で静養しております」 「都の名医を紹介するぞ?」 「感謝します、ただ都の乾いた空気は病を悪化させてしまいます」 「それで養女に肩入れを?…寧夫人の義父だそうだな?関係者は大会の公平さが疑われている」 「だが如月郡主も出場されているとか、聶桑楡以上に不満が出ているのでは?」 季銘は急ぎ皓雪堂(コウセツドウ)に駆けつけ、凌剣星が季曼の素性を探りに来たと伝えた。 聶桑楡が別人だと明かされれば季曼だけでなく寧鈺軒も命がない。 「今すぐ出航だ、今日中に発たねばならぬ」 すると桑葚は密かに寧鈺軒へ知らせを送った。 …小姐の素性が暴露、老爺は小姐を連れて雲州に逃げます… 季銘は船の準備を整え、急遽、港を離れた。 息急き切って駆けつけた寧鈺軒だったが、夜の海は穏やかで帰海号も船員の姿もない。 寧鈺軒は急に全身の力が抜けたように桟橋にしゃがみ込み、途方に暮れた。 「もし、もう一度会えるなら…ゥッ…」 「もう一度会えるならどうするの?」 その声は季曼だった。 固く抱き合い、互いの想いを改めて確認する2人、すると突然、袁朗(エンロウ)が現れる。 「小妹、君の船出を見送りに来た」 「私は行かない、今後は何があっても寧鈺軒と立ち向かうと決めたの」 袁朗は季曼の決断を尊重したが、実は茶幇(チャホウ)のことで話があるという。 袁朗は最近、様子がおかしかった。 今夜も話があると言いながら酒をあおり、なかなか切り出そうとしない。 季曼は困っているなら一緒に解決しようと言ったが、袁朗は解決の道などないと嘆いた。 「寧鈺軒、小妹と別れたのは間違いだ、お前たちの間に親の仇はない」 実は寧忠天(ネイチュウテン)を殺したのは蔡聞正(サイブンセイ)を装った袁朗の父だった。 袁朗は自分こそ寧鈺軒の敵だと訴え、敵を討ちたければ自分を殺せと迫る。 ようやく決心して真相を話したのは季曼の幸せのためだった。 役人など皆、傲慢で民を虫けらのように見下していたが、寧鈺軒だけは違ったという。 「お前は全ての民を幸せにできる男だ、立派な役人だよ!」 「お前の父が…私の父を殺した?」 「そうだ、都でお前を狙ったのも俺だ、俺が阿狼(アロウ)だ」 「知っていた、だが蛟龍(コウリュウ)幇を再起させる姿を見て見逃したんだ、なのになぜなんだ?!」 寧鈺軒は激高して袁朗の胸ぐらをつかんだが、季曼が2人の間に割って入った。 「親の代の仇で散々、苦しんできたわ、まだ悲劇を続けるつもり?!」 つづく ( ๑≧ꇴ≦)やっぱり一緒にいる~!って…今さら感w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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