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フライブルク日記

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2009/06/27
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カテゴリ:日常生活
昔、よく父が「うちはムサイなあ」と言っていました。
このムサイは、むさくるしいの略です。
関東大震災にも第二次大戦でも焼けなかった、当時の古い家は、家そのものがむさかったのですが、中身も、人間もむさいのでした。
部屋はすべて畳敷きで、ふだん家族が過ごすの茶の間はちゃぶ台の周囲にピアノ、たんす、机、果てはリスの檻まで、あらゆるものがつめこまれていたので、すっきりなどとは遠いものでした。

living
living posted by (C)solar08

母も働いていましたし、同じ敷地の隣家に住む祖父母の世話もしなければならず、おまけに、もともと片付けとか掃除は好きではなかったようです。わたしたち子どもももちろん、両親に似てむさくるしかったので、茶の間はおよそ人様に見せられるような代物ではなく(今回恥をしのんで見せましたが)、お客は必ず、二階の唯一家具がない、床の間だけの「お座敷」にお通ししていました。

だから、むさくない家に住みたい。畳の部屋は飽きた。シンプルシックに整えたい。というのが夢でした。あ、それと薪でなくて、ガスで炊くお風呂もね。それから、暖房がある家というのも夢でした(実家は火鉢だけでしたから)。
けれども、結婚してから、畳のない、暖かい、新しい家に住んでも、住んでいるうちに、生活感、つまりがむさくるしさが、苔のようにそここにしみついてくるんですよね。

両親もそうで、祖父母の没後に新築したコンクリート製の家も、時とともにリビングもダイニングもごちゃごちゃと生活感にあふれ、お客を通せるのは唯一つだけある畳の部屋、という昔どおりのパターンに戻っていました。

フライブルクの私の住まいもそう。ここも築後百年以上の家ですが、それだけにヨーロッパのクラシックな建物です。でも、わたしが住み着いたとたんに、どういうわけか生活感いっぱいになってしまい、むささがじわじわとしみつきました。
とくにキッチンは、郵便物や書類が重なり、オーブンも洗濯機もラジオもさまざまな機械も空き瓶もフランス語の教則本もCDも、、、というように何もかもがむさくるしく集まっています。
生まれついたサガでしょうかね。すっきりといかないんです。

ところが、娘は幼い頃、まだ自分の部屋がもてずに、フライブルクで一部屋を私と共有していた頃から、自分のコーナーはしっかりと整頓して、可愛く飾っていました。
さらに、結婚相手がマメな青年で、彼はこういうことでは娘よりもっと細かく、さらにアンティーク好きですから、彼女たちが住んでいるベルリンの住まいはいかにも趣味が良いといった感じ。

リビング
リビング posted by (C)solar08

上の写真は居間。右のピアノは娘夫が実家からもってきた古いご先祖自動ピアノ。
曲ごとにある、。巻紙をはめこみ、足でペダルを踏みつづけると、交響曲とかピアノ曲をピアノが自分でひいてくれます。自分でひくことももちろんできます。

カーテンはシルクの生地で娘が縫ったもの。

天井のアンチーク照明は、娘夫の姉が粗大ゴミで拾ったのをプレゼントしてくれたもの。とてもきれいで、この姉の夫は「こういうものを軽々しく贈るんじゃないよ」とちょっとむくれたとか。

前菜
前菜 posted by (C)solar08

この晩は娘夫が例のように腕をふるってご馳走をつくってくれました。娘はもっぱらは助手役。野菜を切ったり、片付けたり。
ちなみに、デザートはバラのシャーベットでしたよ。凝っています。

ナイフ、フォークは娘夫のご先祖から伝わる銀(銀メッキではなくて)。
食器は彼が子ども時代から集めたウエッジウッド。誕生日のたびに順々にプレゼントしてもらって集めたのだそうです。
ワイングラスは、わたしのみたいにイケアの安売りじゃなくて、グラス工房で職人が吹いてつくったものだとか。

ワインもやけにおいしい。それもそのはず。私が買うようなのとは値段がちがう。
あ、誤解のないように書きますが、彼らは金持ちではありません。結婚後も娘に私が仕送りしていたくらいですから。娘は夫に養われるのは絶対にいやなのに、親から仕送りを受けるのは平気という、片手落ちな人。今は服飾メーカーで安給料で、さんざん働かされています。

カウチ
カウチ posted by (C)solar08
このソファーも、娘夫が実家からもってきたもの。

娘が義母さんからいただいた化粧台もアンティーク。
化粧台
化粧台 posted by (C)solar08

といった具合にどこもかしこもきれいなのよね。浴室のバスタオルまでが、紺色のタオルとクリーム色のが交互に重ねられていたりして。
娘が持参したタオルは「これは合わないから、雑巾にしたら」と夫に言われたそうです。シャツのたたみ方も注意されたと聞くと、ちょっと心がおだやかではいられないけれど。まあ彼は根はいい人だから。

このように、娘夫婦の家の調度品のほとんどは、娘夫の「婿入り道具」なのです。娘が学生時代に使っていた白木の家具は、「アンチークには合わない」ということで、処分したのだそうです。
だから、娘は冗談めかしてですが、よくこう言います
「ぼくチャンが離婚したら、ぼくちゃんの元に残るのは、お義母さんからもらった化粧台だけだよー」って。
とっても仲がよくて、大事にされているのに、今から離婚のことを想像する娘は(かれらは高校生の頃から付き合っていて、結婚して二年たちます)、現実的なのか、悲観主知なのか・・・。
ま、三分の一ぐらいが離婚する国ですから、こういう言葉もほろりと出るんでしょうね。

よその家に行って、そこの家のインテリアとか整頓の仕方とかを見て、刺激を受けて、家に戻ってがぜん整頓したくなることってありませんか?

わたしは一瞬だけそうなります。帰ってきて、自らの家を見回して、がっかりしました。
生活感あふれすぎです。
でもね、わが家のキッチンのあれこれを、これ以上は減らせないし、片付ける場所もないことを悟り、すぐにギブアップしました。

これを書いている仕事部屋も、パン用の粉の倉庫になってます。背後は、もう必要なさそうなのに、捨てるのが恐いのと、面倒なのとでそのままになっている資料。

わが家もかつての実家と同じく、唯一お客を通せるのが、「お座敷」ならぬ「リビング」。ふだん使わないからです。ということはliving してないから、正確に言えば、これはliving roomではないです。

今晩、娘夫婦が南フランスへのバカンス行きの途中で立ち寄り、一泊していきます。
それで、あわてていま掃除をしたところ。でも、付け焼刃の掃除ぐらいじゃあ、彼らの家のようにはなりませんでした。
だから、キッチンではなくて、「リビング」で手巻き寿司の「ダイニング」をすることにします。





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Last updated  2009/06/27 08:07:05 PM
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