テーマ:食べ物あれこれ(49659)
カテゴリ:料理・パン焼き・菓子・食材
BFの姉が昨年末に、近くのイタリアデリカテッセンの店でパネトーネを買った。
レシピは秘密なのだそうだ。といっても店の自家製ではなくて、イタリアのメーカーから仕入れたもの。 たしかにフンワリ盛り上がって、クラムがゴムのように弾力があって(どこまでも伸ばせそう)おいしい。 このパネトーネ、なんと3ヶ月も持つのだそうで、1月末になってもまだ残っている。食べてみたら、いささか乾いたものの、まだ弾力がある。 こういう生地は家庭では作れないのではないかな。 大量生産のパンには、パンをフワフワにして、しかも長持ちさせる酵素を添加するそうだ。実際、デンマーク製の酵素を入れた食パンは一ヶ月たってもいたまないし、押しても戻ってくるほど弾力がある。このパネトーネにも酵素が入ってるんじゃないかな、と疑いたくなる。 そんなどうでもいいこと(パネトーネが好きなわけじゃないので)をツラツラ考えながら、ライ麦サワー種(小麦の場合には日本ではルヴァンと呼ぶらしい)を使ったパネトーネで検索したら、こういうのが見つかった。ほら、すごく膨らんでいるでしょう。 タイトルは「パネトーネ‥・ついにトラウマを克服」だと。 フンフン、そうまで言われると実験したくなる。 このパネトーネはなんと3日もかけて作る。くわしい作り方はここでは省略。上のサイトにドイツ語でくわしく書かれています。イーストなどはまったく使わず、スペルト麦のサワー種(ウヴァン)だけでやってみた。 第一日の前の晩 ルヴァンのいわばエキス(継いできたルヴァン種)ほんの少量と水と粉を少量合わせて、15度のところで一晩置く。わたしは住まいの外に出した(野外ではなく、建物内の階段室)。家の中は玄関でも20度近くになるみたいだから。 第一日 上で継いだルヴァン種のほんの少量とまたまた粉少量と水少量を合わせて、15度のところで7時間置く。 その後、これに粉やや多めと水を合わせて30度で3時間おいてやっと元種が完成。 第二日目 粉の半量と元種と砂糖、水、バターの一部をこねて、15度のところで15時間!!置く。 わたしの場合には、15時間後は夜中の3時になることが判明したので、夜中の1時に冷蔵庫にしまって、早起きをまぬがれた。 第三日目 やっと本捏ねになる。 残りの粉、卵黄6個分、生クリーム、バター、砂糖などで、ニーダーを使って15分捏ねる。これが大事らしい。 上のサイトのパンオタクはKENWOODの捏ねマシーンを使っているらしい。あー、欲しくなった。 捏ね上がってから、40分生地を休ませたあと、ラム酒につけたレーズン、オレンジピール、クルミなどをくわえてたたみ、成形。 あとでわかったことだけれど、パネトーネの成形にはらせん状に回す技術が必要らしい。 上のレシピの元となった人のサイトに紹介されていたYOUチューブを見た。生地をくるくる回すようにしてから、最後にムギュッと裏側をつかんて、型に入れるの。あー、成形前に見れば良かった。 パネトーネの型なんかないので、上のサイトの人に見習って、18cmのケーキ型の内壁にクッキングペーパーをつけて、高さが18cmになるようにした。 これに生地を入れて、22度から27度で、5時間半も二次発酵。 そうしたら、5時間後には本当に16cmの高さまで生地がふくれた。 200度に予熱したオーヴンで、レシピとおりに180度で50分焼いた。 焼き終わるよりずっと前に生地がふくれて、ついにオーブンの天井にたどりついてしまった。 型はオーヴンの一番下の段に置いたのに。 アルミフォイルで上をおおったけれど、焼いている内に焦げる匂いがただよった。 それでも、無視して焼き続け、時間がきたら、生地が生焼けかどうかも確かめずにスイッチを切った。 自家製天然酵母で生地がこんなに膨らんだのははじめて。 三日も時間をかけたのが良かったのか、捏ねが決め手なのか。 生地はしっとりキメが細かくて、デリカテッセン店のパネトーネのような大きな気泡はないし、ゴムのような弾力もない。どちらかというとシットリ、ふわり。 あと十分長く焼いていたら、ちがった結果になったかな。 ルヴァンつまりはサワー種なのに、まったく酸っぱくない。これは元種を起こす段階や二次発酵を、30度以下の環境でするかららしい。この温度だと一定の菌(たとえば酢酸菌)が増えないからみたいだ。 実験はおもしろかった。 次は焼く時間をもっと長くして、焦がさない工夫をして、成形もイタリア人の職人を見習ってやってみよう。もしかして、来年になってから。 https://www.kochtopf.me/der-panettone-endlich-das-trauma-ist-uberwunden お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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おはようございます。
作る過程を頭の中でイメージしながら拝読していました。 何度も種を繋ぐことで酵母の数が増えて膨らんだものが出来たのでしょうか。 せっかくだったのでお写真も見たかったなぁ なんて。 たまにはこんな実験も愉しいですね。 (2018/02/21 08:08:49 AM)
写真はまったく撮らなくなってしまいました。
出来上がりは、上に書いたレシピのサイトの写真とかわらないです。これよりももっと膨らんだぐらい。 クラムがしっとししすぎたので、次はもっと焼きこんでみたいです。 何度も種を継ぐ方が、そして低温でゆっくり継ぐ方が、一度に継ぐよりも生地がおいしくなるそうです。粉の分解(酵母による)がゆっくり進むからかな。 (2018/02/21 07:56:45 PM)
こんにちは。ドイツで酸っぱい風味のパンが好きになり、日本でも酸っぱいパンを作ろうとしていますが、なかなかうまくいきません。ドイツでサワータイグの液体のものを買ってきたので、それを使うといいものができるのですが、それを使ってライ麦全粒粉で継いでも、もう菌がパスチャライズされているのか、なかなか活発にならないし、数日かけて発酵し始めたのですが、これって、普通に粉と水からサワー種を作れただけでは。。と思っています。そんなに酸っぱくありません。
と、ここまでは前段で、それで酸っぱいパンを作るにはどうしたらいいのか検索したのですが、どうも、日本ではほとんどの方が酸っぱいパンが嫌いで、「酸っぱくないパンを作るには」とか、「また酸っぱくなってしまいました」とかばかり出てくるんです。ドイツでも酸っぱいパンは嫌われていますか?酸っぱくないパンを作りたいんだけど仕方なく酸っぱくなっているだけなんでしょうか?? その検索の中でこのブログが出てきたので、ドイツ人の好みに詳しいと思ってお聞きしたいです。 (2018/04/05 09:16:14 AM)
質問、ありがとうございます。
ドイツ人のほとんどは、酸っぱいパン、そしてフワフワではなくて噛み締めて味が出てくるようなパンが好きです。日本人の好みと反対かもしれませんね。 わたしはザワータイクを始めたとき、スターターは使わずに、ライ麦と水を同量混ぜて一日おいて、という過程を5日くりかえして発酵させていく方法で作りました。この種を継いで、もう10年近くになります。作り方はこのプログ内のサワー種についての記事にくわしく書いておきました。 このサワー種と全粒粉などで、毎週パンを焼いていますが、そこそこ酸っぱいです。ものすごく酸っぱくするには、サワー種の占める量を多くすればよいのではないでしょうか。 (2018/04/05 05:39:30 PM)
solar08さんへ
やっぱりそうですよね、ドイツでは酸っぱいパンが人気なのですよね。 私も、普段はsolarさんと概ね同じようなやり方でザワータイクを作っています。使う量を増やしてみたり、いろいろ実験してみます。発酵の具合が若いのと落ち着いているのとで、味も違うのかもしれません。ぬか漬けも古くなると酸っぱくなりますね。 ドイツではスペルトやアインコーンなど気軽に買えるので羨ましいです。日本でも何種類も小麦粉は売っていますが、マイナーな違いの品揃えで、ドイツのように全く違う系統の小麦粉がないような気がします。お米も種類は多いのですが、みんなコシヒカリ系列の似たようなお米で、どうも、ドラマチックな違いを受け入れないような文化なのかなと、思います。 (2018/04/06 05:08:53 PM)
同じサワー種でも毎回、気温やその他の条件の微妙なちがいからか、味や質感がちがうものが出来上がるところが、自家製酵母の面白いところだと思っています。
最近、わたしのライ麦サワー種はぬかみその香りが消えて、代わりにアルコール臭(マニュキュアのような匂い)が強くなって心配だったのですが、「専門書」には「これは問題ない」と書かれていたので、そのまま継ぎつづけていたところ、数週間でアルコール臭は減りました。不思議です。 ドイツはさすがにパンの国(ジャガイモの国でもありますが)で、粉が色々あるのは助かります。でも、ほとんどのパン屋がチェーン店で、昔ながらの個人の小さなパン屋はほとんどなくなりました。これが日本と違うところです。日本人は、少々高くてもおいしいなら買う、という姿勢がありますが、こちらはスーパーの恐ろしいほど安いパンが売れています。 わたしはもう、パンを買うことはほとんどなくなりました。 (2018/04/07 04:54:53 PM) |
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