世界を動かすプレゼン力 〜 日本はこうしてオリンピックを勝ち取った
東京オリンピック招致の決め手となったブエノスアイレスでの「最終プレゼン」の戦略を練った英国人コンサルタント・ニックバリーさん。ロンドン・リオ・東京と3大会連続で勝利に貢献した「オリンピック招致の請負人」です。この本では、最終プレゼンの舞台裏をあかし、プレゼンを成功に導く7つの戦略を紹介しています。読んで思ったのは、彼の人柄の良さと洞察力の深さです。やはり人柄がよくないと、チームを一つの方向にまとめて大きな力を生み出すことはできないのだと感じました。最初の章で、各プレゼンターのプレゼンテーションに込めた秘策を紹介します次の章では、すべてのプレゼンに役立つ7つの戦略を紹介します戦略1 まずは数字から戦略2 オーディエンスを理解する戦略3 インパクトを演出する戦略4 インパクトを持続させる戦略5 視覚に訴える戦略6 明確なビジョンを持つ戦略7 パフォーマンスいろいろ秘訣を公開していますが、印象に残ったことばを3つピックアップします。言葉で演出する〜 かつてアーネスト・ヘミングウェイが、友人と「10語以内で物語りを書けるか」という賭けをしました。そこでヘミングウェイが書いたのが、「For sale: baby shoes,never worn(赤ちゃんの靴、売ります。未使用)」というものでした。 たった6つの単語で、雄弁にストーリーを想起できる、シンプルにして強烈な印象を与える、インパクトとはそういうものです。 〜なるほどですね。「赤ちゃんの靴、売ります。未使用」という短い文章からは、いろいろなシーンが思い浮かびます。「もっと知りたい」を引き出す〜 結論を言わずに、オーディエンスが「もっと知りたい」と思うくらいで止めておく、というのも、スピーチのテクニックのひとつです。 最終プレゼンでは、冒頭に短編の映像「Feel the Pulse(鼓動を感じて)」を流しました。被災地と思われる屋外で日本人の少年が、ボロボロになったバスケットゴールに向かってシュートの練習をしている姿が映し出され、そこをチームバスで通りかかったアメリカ人らしきバスケットのメンバーが、彼のことを目に留め、バスを止めて降りていき、少年の練習に付き合う。でもそのストーリーは未完のまま終わり、オーディエンスは続けて武田理事長のスピーチを聞くことになります。 そして終盤、安倍首相がスピーチを終えたところで、その続編になる映像「Share the Pulse(鼓動を共有しよう)」を見せました。そこでは、大人になってバスケット選手になったかつての少年が、同じようにシュートをしていた外国の少年に付き合う映像が流されます。 これはオーディエンスに「もっと知りたい」と思わせ、彼らの関心をプレゼンの終盤まで引っ張るための「ワザ」だったのです。 〜引用が長くなりましたが、そういうことだったのです。私は、まさにこの映像に感動したもののひとりですが、まさにおっしゃるとおり「ワザ」にはまっていました。こういうはめられかたは気持ちの良いものです。「パワー・オブ・スリー」の法則〜 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師からオバマ大統領の演説まで、歴史に残る優れたスピーチなら、どれを聞いても、必ずといっていいほど使われる手法です。たとえば単語を三語続けて使う。三つの質問を続けて投げる、同じ疑問への答えを三つ重ねるといったことです。 〜ということで、「最終プレゼン」のスピーチではあらゆるところでこの「3つのパワー」が使われています本当にそうかどうかは、下記の動画で確認してください。オリンピック最終プレゼン動画英語ですが、我慢して聞いていれば、なんとなく伝わるかと思います。いたるところで、「3つのパワー」がでてきます。英語の勉強と思って聞いてみてください。発音はいまいちでも、一生懸命練習すれば、感動を届けることができるんだということもまた新たな発見です。2020年までに、英語を勉強して、ボランティアに参加するというのも一生の思い出になりそうですね。ちょっとその気になっています。