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カテゴリ:ブックス
「すべて自腹で宇宙ロケット開発に取り組む北海道の小さな町工場から、自分も社会をよくしたいと思うすべての人への提言」というカバーを本屋で見て、いったいどういうことだろう と思わず買ってしまいました。 著者は、大手製造業の勤務をやめて、実家の町工場にもどり、父親と二人で会社を始めました。 今では、パワーショベルにつけるマグネットというニッチな市場で、日本のシェアの90%(実際は100%に近い)を持っています。 その利益で、自腹で宇宙ロケット開発を行っています。 著者は、事業家というより、ゼロからイチを生み出すことや、創意工夫が大好きな誠実なエンジニアという感じです。 でも、この本を読んでいると、金もうけに走っている事業家よりも、もっと夢にあふれ、周りを奮い立たせる言葉、日本の社会の閉塞感を打破する先駆にになろうという大きな志を感じさせます。 著者の言葉を引用してみます。 『僕たちはロケットをつくれるようになりました。人工衛星をつくれるようになりました。世界に三か所しかない無重力の実験設備も持っています。アメリカの会社とも連携して、次のスペースシャトルの開発にもかかわることができるようになりました。 ~ 中略 ~ でも、こういうことができるようになったのは、僕たちが偉かったからではありません。ロケットをつくるための材料も、最先端素材といわれたものが、今ではホームセンターや通信販売で簡単に手に入るからつくれるんです。「できる」とおもったらできます。「できない」と思ったらできません。それが宇宙開発です。』 『僕たちがそうしてまで宇宙開発をやっている理由はただひとつです。僕たちにとって宇宙開発は「手段」です。一番最初にも書いたように、僕たちの本当の目的は、宇宙開発を使って「どうせ無理」という言葉をこの世からなくすということなんです。』 『この本をお読みになっているあなたも、個人の自腹という点では同じです。あなたも、これから先、世界を変える可能性があります。「そんなこと言ったって、一人じゃ何もできないだろう」と思ったかたもいらっしゃるかもしれません。しかし坂本龍馬は何人いましたか?一人ですよね。エジソンも一人です。歴史は一人の人間が変えてきました。「いやあ、彼らは別格だよ。俺なんか普通だから無理、無理」と考えるのはとても簡単なことですが、それは美しい謙遜ではありませんね。楽をするための言い訳でしかありません。』 『ひとつの能力だけで食っていくのは無理かもしれません。だったら、たくさんやればいいんです。たくさんの能力を身につければいいんです。それがからみあって、いつかは食えるようになるかもしれません。だから、夢はたくさんあったほうがいいんです。』 『だから理想も、届くか届かないかで判断してはいけません。大事なことは、それを高く高く持つことです。そうすえば、僕らは水平線の向こうへ行けるかもしれません。』 『どんな夢も、「どうせ無理だ」ではなくて、「だったら、こうしてみたら」といったら必ずかないます。ただ、そのためには仲間が必要です。みんなで自分の夢や悲しみや苦しみを語り、そしてみんなで「だったら、こうしてみたらと知恵を出し合えば、どんな問題も解決し、夢は必ずかないます。」みんなで世の中をかえていきましょう。』 夢に向かって歩き始めようとしている人、夢をあきらめかけている人、夢はあるがどうせ無理とあきらめているひと、この本を読むと、元気になれる言葉があふれています。 言葉だけでなく、筆者が、それを具現してきているところに、すごみがあります。 NASAより宇宙に近い町工場 サイトマップ ステーショナリーファインダーのサイトマップ(表示に多少時間がかかります) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.21 08:12:00
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