「相棒」 五十嵐貴久
[登場人物]土方 歳三・・・新撰組副長坂本 竜馬・・・土佐藩脱藩浪士。大政奉還の立役者[物 語]時は幕末将軍慶喜は大政奉還の方針を固め、根回しのため早朝、秘密裏に薩摩の重臣・西郷吉之助のもとへ向かうしかし、その途中何者かに襲われ、会談は中止事態を重く見た幕府の老中板倉勝静は犯人探しのため、勤皇派に顔が利く坂本竜馬と佐幕派に顔が利く新撰組副長・土方歳三を召喚する犬猿の仲の二人は反目しあいながら次第に真相に近づいていく[観想的なもの]犯罪小説ものでファンになった五十嵐貴久の時代もの時代ものだけどしっかりと真相を推理するのが軸となっていて楽しめる本筋は将軍暗殺未遂事件を油と水の土方&竜馬の"相棒"が謎解きしていくというものただ、実はメインはその後の坂本竜馬暗殺事件につながっており、将軍暗殺未遂事件で当時の政治状況(薩長土肥、幕臣、その周辺)を明らかにし、その上で、坂本竜馬暗殺事件の犯人は誰だったのか?を作者なりに解明していくその後のどんでん返しも好ましく、血なまぐさい幕末の物語にしては爽やかな後味だった