「アンフェアな月」 秦 建日子
刑事 雪平夏見シリーズ第二弾[登場人物]雪平 夏見・・・警視庁捜査一課所属。検挙率No,1のエース。安藤曰く「無駄に美人」38歳。バツイチ安藤 一之・・・警視庁捜査一課所属。雪平の目付け役佐藤 美央・・・雪平の娘林堂 航 ・・・警視庁捜査一課特殊捜査班所属。誘拐捜査のエキスパート亀山 冬美・・・娘を誘拐された母親沢木 和生・・・テレビ局のプロデューサー[物語・ネタバレあり]雪平夏見が瀬崎一郎を射殺した夜捜査本部の打ち上げに出席するはずだった雪平は上司の命により誘拐事件の捜査に加わる誘拐されたのは生後三ヶ月の幼児誘拐が発覚した直後に交番に駆け込みながら通報できず、次に8時間後に110番通報した母親に不審を抱いた雪平だったが、その直後犯人から連絡が入る「お前の娘を預かっている」「おまえの娘に見合うだけのものを急いで用意しろ。時間はあまりない」厳戒態勢の中始まった捜査だったが、隣人がネットの掲示板に書き込みをしたことから事件は明るみに出るテレビのネタに困っていた沢木はリポーターに混じり、取材に参加する公開捜査に踏み切った捜査陣は、奥多摩で幼児の洋服を発見しかし、同時に6人の少女の遺体も発見される犯人の狙いは?[観想的なもの]女刑事・雪平夏見の「アンフェア」シリーズの第二弾時は、「推理小説」の直後、ということで必然的にテレビ→映画の世界とはパラレルな"正統"な世界実は、テレビドラマの「アンフェア」は原作「推理小説」を5話くらいで追い抜いてオリジナルな世界に突入していたのですねその続編であるドラマSP「コード・ブレーキング」映画「アンフェア・the movie」はテレビシリーズの流れを汲むものだが、作者秦建日子は「推理小説」の雪平夏見にも活躍の場を残してくれたのですねしかも、解説によると全10作にわたるシリーズになる予定とのこと!ブラーボーっす。絶対全部読んじゃるからねと、物語のほうに戻ると、今回の雪平も頭脳明晰、度胸満点推理は冴え渡りすぎ、少々反則な気もするくらいだが、エンターテイメントとして物語の世界に入り浸るには適度なヒロインぶり反則といえば、相変わらず捜査方法は暴走しまくりで、安藤(読者)も度肝を抜かれるような暴走ぶり結果オーライだったけど、普通は結果オーライでも許されん違法捜査を繰り返し、きっちり真相にたどり着くのは流石読者に向けてきっちり犯人に行き着くヒントが隠されてるあたり、今回は正統派"推理小説"の手順をしっかりと踏んで見せている更には、本来テレビドラマの脚本家を生業としていながら、ドラマ化を前提としない小説を書きたいと書き始めた「推理小説」がドラマ「アンフェア」となり、今作では、プロデューサーと脚本家を登場させ、雪平を主人公としたノンフィクションに近いドラマを作ろうと画策する様は、ニヤリである。[採点]人物描写 ★★★★★世界観 ★★★★★物語 ★★★★★技術 ★★★★★インパクト ★★★★☆総合 ★★★★★http://mutsugoro.myminicity.com/ ←こそっとワンクリック