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砂菩に詠む月

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 くーる31@ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
 殿ヨーク@ こんばんわ 砂さんだー
 王様@ 潮 吹 きジェットw サチにバ イ ブ突っ込んだ状態でジェット…
 お猿@ やっちまったなぁ! http://feti.findeath.net/9fx91h7/ ちょ…
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カテゴリ:小説
時計は深夜1時。今夜もまた寝付かれないので、ベットを抜け出し車を走らせていつものBARの扉をくぐった。
その店の名はロング・グッドバイ。マスターがアメリカのハードボイルド小説の名から付けたらしい。
カウベルがドアを開けると同時に鳴り「いらっしゃいませ」と声がした。
この店のマスターは客が来ても声を掛けない。
カウンター越しにちらと目をやり軽く頷くような会釈をするだけだ。
ネコか。と思う。マスターは不在で、案の定バーテンダーのネコが居た。本名は根古田と言うのでネコで通っている。
「遅いっすね、また眠れないんすか?」
「ああそうなんだ。」
「明日も仕事でしょう?」
「だからここに来ている。」
 ネコは にやっ と笑い「あ~りがとうございます。」と言うと僕のドランブイと
フェーマス・グラウスのボトルをカウンターに並べ、ロックアイスをグラスに一杯にいれ、いつものようにラスティーネイルを手際良く作り差し出す。
「眠るには酒が一番っすよ。」明るくネコが言った。僕は一気に飲み干した。
「最近夢を見なくなったよ。」
「よく寝てる証拠ですよ。」相変わらずネコは明るく答える。
 この男はいつも陽気だ。まるで苦労なんか一度もしたことがないみたいに。
「やれやれ」僕は苦笑いをした。
 今夜も長い夜になりそうだ。
酒を飲みながら僕はネコに聞いた。「お前さ、夢は見る?」
「うーん。見るんっすけどすぐ忘れちゃうんですよねー。普通そうじゃないっすか?」
「俺は何時からかわからないけど、確実に夢を見ないんだ。」
「だから深く良く寝てるだけですって。気にし過ぎなんだからヨージさんは。絶対そう。」
「そうなのかな。」
 空になったグラスに今度は自分で酒を注いで、2杯目のラスティーネイルを作る。
「さあ、今日は相手して下さいよぉ。他に客もいないし。」
 ビリヤードのキューを手にしている。僕はゆっくりとカウンターを降りてキューを取る。
ネコがラックを組む間にグラス半分だけ酒を飲む。
「さあ行きましょうか。」
ネコがブレイクショットを決める。お互い腕は良くない。はっきり言って下手だ。
 殆ど交互に玉を突きながら「なあネコは彼女いたよな?」
「俺っすか?いないっすよ。」
「俺、我侭だから女とは合わないっすね。」ネコが5番をポケットイン。
「そうか」「まだ23だよな?」僕が訊ねる。
「そうっす。」
「若いな。」
「まあね。」
 6番7番とネコがポケットする。
「いい男なのにもったいないな。」僕は少しからかう。
「ヨージさんだって若いじゃないっすか。」
「38には見えないし...」「彼女いないんすか?」
「昔いたよ。お前と同じ歳だよ、今なら。」
「もう6年も前の話さ。」ようやくネコが8番を外す。
 僕はねらいを定めて8番と9番のラインを読む。ショット。
8番がバンクして9番がポケット。
「俺の勝ちだ。1杯おごれよ?」パチパチと拍手しながらネコは
「珍しいことも有るもんだ。」とふて腐れる。「口が悪いぞ、お前。」と僕。
「マリブビーチをくれ。」
 僕は夏に良く飲む ココナッツリキュールとクランベリージュースのカクテルを頼んだ。
慣れた手つきでネコがステアする。「お待ちどう。」
すっきりとした味が喉を降りていく。「お前は一流のバーテンだよ」僕が冗談を言うと
ネコは腕を振って見せた。「当たり前っすよ。」
グラスが空く頃にはようやく眠気がし始め、僕は彼女のことを考えていた。





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Last updated  2004/11/19 04:58:41 PM
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