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カテゴリ:小説
アナタはどうて。あたしに優しい言葉をくれるのですか?
あたしには何も出来ないのに。 あたしはただ、夜を見上げて手首を切るだけ。 自分を恨みながら。 アナタはどうしてやさしいのですか。 今夜は月が紅い。 あたし。 紫色の夜の空が好きです。byアリス ダニエルです。 どうして貴方に言葉を贈るのか。 理由はわかりません。 ただ、貴方が助けを必要としているように感じるのです。 僕は優しい人間ではありません。 でも、貴方が必要としているのはモノではなくて。 誰かの愛だとと感じるのです 誰かが貴方を包んであげなくてはいけない。 そう感じるのです。 貴方の言葉は、僕の胸に刺さります。 そして、それは引き抜くことが出来ないのです。 だから僕は貴方に返事を送るしかないのです。 byダニエル あたしは 淋しい。刹那い。 この世にあたしが必要な理由なんて無いと思って。 とても苦しい。 あの人が死んでも、あたしは のほほんと生きてる。 それでいいわけない。 あたしが死ねば良かったんだ。 なのにあの人は死んじゃった。 死にたい。 死んであの人の元へ行きたい。 なのに幾ら切っても死ねない。 あたしはどうすればいいの? どうすれば。 byエリス 僕にはその答えは言えません。 辛いでしょう。 苦しいでしょう。 淋しいでしょう。 でも、でも。 たぶん貴方は、その人に命をもらったんです。 だから生きているんだと思います。 「死なないで」とは僕には言えません。 でも貴方に死んで欲しくない。 誰も貴方に死んで欲しくないんだと思います。 そして、貴方の大事なその人も。 byダニエル 僕らはこんな風に何度も、何度もメールで話をした。 ほとんど毎日。 天気のことや、買い物のこと、病院のことや、お酒のこと、食事のことや、自傷のことや。 とにかく考えられる限りの話をした。 僕らの間には親密でやわらかな感情が芽生えていた。 そしてそれは、友情とは少し違った感情だった。 僕らは少なくともNETの上では、お互いを必要な人間だと思い始めていた。 僕にできることは、何も無いのだろうか。 彼女のために僕ができることは… 空しかった。 刹那かった。 できることなら彼女のところへ行って抱きしめてやりたかった。 けれど、けれどそれは出来ない。 彼女は広大なNETの何処からか助けを求めていて、僕にはそこが何処なのかわからないのだ。 僕はまるで難破した船の生存者のように、どこにも陸の見えない海の真中で漂っているのだ。 そして彼女も同じように、とてつもなく広い宇宙の中へ 一人放り出されて孤独をかみ締めているのだった。 僕のメールBOXが彼女のメールで一杯になった頃、季節は梅雨を過ぎ もう初夏だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/05/05 04:35:10 PM
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