人に歴史あり~
昼は片田舎の役場で給仕し時間があれば母親の田んぼを手伝い、下の弟の面倒をみる17歳の少女がいた。今から58年前の話である。名前は尚美、でもこの時代では当たり前の光景だった。ある日の事、仕事仲間である幸子が「私、親戚の叔父さんが経営する木材会社を手伝ってくれって言われているんだけど、一人では不安だから尚美も一緒にいかない?給料はここよりも高いし」、誘われるがままに活気がある那覇の町へ住み込みの女中として働きに出た。尚美は給料の殆どは田舎の母親の元に、何も贅沢などしなくても服は幸子のおさがりでまかなえた、遊びに行くことも知らず遊び方も知らない、ただ一度だけ幸子に誘われるまま、美空ひばりの実演があると言うことで行ったくらい質素な生活であった。2年位働いただろうか、田舎の友人から役場の食堂が働きてを探しているとの連絡が有り、とかく人の意見に左右される性格の為にまたもや田舎に帰ることになる。役場の食堂には近くの警察の方々、農家の人々、色んな人々で賑わっていた、お陰様で商売繁盛で当時公務員より給料は高かった。尚美はいつも痩せて目だけギョロギョロして口数少ない若い警察官の太郎がどう
も気になり始めていた・・続く・・