啓吾ハピバ(中編)
「1,500かける30日で、月に45,000円か」「何馬鹿な計算してるんだよ」うま煮丼を頬張りながら上機嫌の啓吾に、雨竜はすかさず突っ込んだ。彼は毎日、10時から18時までバイトを入れているので、昼食は弁当を作り、夕飯はそれから作っている。啓吾は、やっぱり殆ど何もしない。ただでいいから、がみがみやって追い出してやればよかった、と思いつつ今日は5日目だ。勿論、金は毎日取っている。テレビもオーディオもない部屋では間が持たないらしく、昼間は殆ど外出している啓吾の気持ちは全く理解できない。「いい加減帰りたまえ」「やだ」「……」困ったことに、「帰りたくない」気持ちはよくわかるのだ。何せ家出?一年突破。月に4,5000円か。バイトの制服に着替えながら溜息をつく。当然ながら雨竜の家賃より安い。しかも食費込み、家事負担あり。とてもじゃないが割に合わない。置いてやっているのは、まあ友達といえる関係だし馬鹿だし甲斐性なしだからだ。追い出したら厄介ごとに巻き込まれるような気がする上、ちゃんと対処できないように思える。それにしても、一日1,500円はやっぱりきついだろうに。何時まで居候するつもりなんだろう?