実は6月に入ったらすぐに紹介しようと思っていたのですが、忙しさに取り紛れ、すっかり忘れていました。(汗)
私の大好きな詩です。
「相聞」
また立ちかへる 水無月の
歎きを誰にかたるべき
沙羅のみづ枝に花さけば
かなしき人の目ぞ見ゆる
芥川龍之介
とても美しい詩で、口ずさむとまた深い味わいがあるんですよね。
この詩は、どこにも発表されず、まず友人・室生犀星に見せ、それから佐藤春夫に書き送ったそうなんです。
ここでいう水無月とは旧暦6月のことなので、まだもう少し先なんですが。
沙羅の花は夏椿ともいいます。白く清楚な花です。実物は見たことがありませんが、ネット検索して、いろいろなサイト様で画像を拝見してきました。
この「相聞」が収録されている本は、「美の世界 愛の世界」佐藤春夫 著 旺文社文庫です。奥付を見れば、1981年8月初版発行となっていますから、25年前に買ったものなんですね・・・。
佐藤春夫が古今東西の詩の中から選んだ四季のうた、愛のうたが収録されています。
かなり黄ばんできているのですが、私の大切な1冊です。