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カテゴリ:古典芸能・観劇
今年の「万作 萬斎 新春狂言界2010」は、いつもより弾んだ気持ちで見に行きました。というのは、座席が今までで一番よかったから!これ、ほんとに今まで見た演劇・コンサート全部入れても、こんなに良くなかったなぁ~。市川染五郎さんの公式ファンクラブ「その字組」でとったチケはいつもよかったけど、前から3列目とか、5列目花道横とかだったよな~。もちろんそんな席もすごくいいんだけどね。花道横なんか、すっぽんから染五郎さんが出てくる時、至近距離で目があっちゃったもん。恥ずかしすぎて顔を背けたけど、私。←そんな時は精神的に弱い私。(笑)
あ、ヤン・ジヌくんのファンミでは1列目というのがあったけど、かなり右手だったので、司会者さんの背中を見ていたというか…。(汗) で、今回はなんと1列目ほぼセンターでございましたっ! これヤバいよね~と思いつつ着席。うわ、舞台に手が届きそう。 ドキドキしつつ開演を待っていました。 今回の番組は、見たことのないものばかりだったので、楽しみでした。 番 組 独吟 「雪山」 野村萬斎 レクチャートーク 野村萬斎 「墨塗」 大名 野村万之介 太郎冠者 破石晋昭 女 石田幸雄 素囃子 「神楽」 「歌仙」 柿本人丸 野村万作 僧正遍昭 野村萬斎 参詣人 竹山悠樹 在原業平 深田博治 小野小町 高野和憲 猿丸太夫 月崎晴夫 清原元輔 石田幸雄 今回の「雪山」は萬斎さんの独吟でした。昨年の2009年は舞、2008年は連吟、2007年は番組「樋の酒」の中で謡い、2006年は万作さんの独吟、2005年は連吟、2004年は萬斎さんの独吟。そうか、萬斎さんの独吟は2004年以来だったのね~。 来年はどんな趣向の「雪山」を聴かせてくれるのでしょうか。楽しみです。 新春狂言なので、毎年干支にちなんだ番組を入れているのですが、レクチャートークでその説明はナシ。今年は干支の番組がありませんでした。私は2004年申年から見ているのですが、もう干支が一巡しちゃったのでしょうか。 いつもどおり萬斎さんのレクチャートークは面白く、ユーモアに溢れています。 今回の「歌仙」は関西で演じるのは珍しいらしく、演者が7人もいるし、それぞれの衣装もいつもと違い凝っているので、なかなか見ごたえがあるらしいです。 しかもお正月らしく百人一首に出てくる有名な歌仙たちが登場し歌を詠むという内容なので、トークを聞くうちにとても楽しみになってきました。 可笑しかったのは、この歌仙たちがお互いにテーマを決めて歌を詠みあうのですが、そのテーマが少々「H」らしく、萬斎さんが何度も「エッチ」と連呼するので会場にクスクスという笑いが…。気がつかなければスルーするようなテーマだけれど、わかるとエッチなんだそう。(笑) 「墨塗」は、京都で訴訟関係に携わっていた大名が、晴れて国元に帰ることができるようになります。この大名、京で懇意になった女がいたのですが、京を離れるので暇乞いを告げにやってきます。もともと連絡も途絶えがちだったのですが、いざ別れを告げるとなると、大名は二の足を踏みます。なんとか太郎冠者に言わせようとするのですが、できず、自分で女に別れを告げると、女は悲しいとさめざめと泣きます。その様子を見てどうしようかと大名が困っていると、太郎冠者は女の行動に不審なところを見つけ…。 これ、オチまで書いてしまったら、これから見る人に悪いので、最後まで書きません。(笑)私は最初気がつかなかったのですが、女の顔にある変化が起きているのをみてビックリしました。ここまでやるんだ狂言!(笑) 単純な笑いですが、なかなか面白かったです。 休憩をはさんで、素囃子「神楽」 これもレクチャートークのときに、萬斎さんがいろいろと説明してくれたので、囃子の感じがよくわかって良かったです。 この神楽というのは、有名な天岩戸伝説に基づいているとか。(この伝説についてくわしく知りたい方はこちらをクリック)伝説に登場するアメノウズメが日本の芸能のルーツだと、芸大で芸能史の時間に習ったとトークで萬斎さんが言ってました。(笑) 神楽はこの天岩戸伝説を囃子で表現しているそうです。この説明があったので、神楽を聴いていると、「ここがアマテラスが岩戸に隠れて闇になったときだろうな」とか「ここがアメノウズメが踊っているところだろうな」とか想像しやすく、とても興味深く楽しむことができました。ちなみにアメノウズメはほとんど裸で踊っていたらしく、萬斎さんいわく「ストリップ」だって。萬斎さん、今年はエロティックなレクチャートークでしたねっ!(笑) 「歌仙」 和歌を嗜んでいる男が和歌の神を祭っている和歌山の玉津神社に参詣します。そして絵馬を奉納し、和歌上達を願って「力紙」を絵馬に投げます。この力紙とは、例えば病気治癒を願う参詣人などが、紙を自分の口の中で噛み、それを仏像に投げるという風習だそうで、自分の病気の場所に投げると治るといわれているとか。今回は和歌上達を願って、自分が奉納した絵馬に力紙を投げたようです。 すると絵馬の様子が変わってきます。絵馬に描かれていた歌仙たちが出てきて、驚いた参詣人が隠れてその様子を見守ります。 萬斎さんのトークでは、今なら3Dや特殊な映像で、絵馬の中から歌仙たちが出てくる様子を表現することができるけれど、狂言はアナログなので、その様子は笛の音で表現していますとのこと。確かにその場面になると笛の音が鳴り響きました。そこで観客の「なるほど」とでもいうようなざわめきがありました。(笑) 会場が能楽堂ではなく、普通のホールなので鏡板がなく、歌仙登場の場面はより自由に表現できていたようです。舞台の後ろに2枚の絵馬の形をした布をうえからつり、笛の音が響くとライトが後ろから射します。すると絵馬の中に、6人の歌仙の影が映ります。しばらくすると6人の歌仙たちが絵馬の布の後ろから舞台の中央に出てきます。このような斬新な演出があり、いよいよメインの歌仙登場。小野小町はおたふくのような面をつけていました。 萬斎さんが説明していたエッチな内容がテーマの歌合わせがはじまります。う~ん、そういわれてみればそうなのかな。うん、エッチといえばエッチ? 紅一点の小野小町をめぐって、5人の男達が恋のさやあてをはじめ、上を下への大騒ぎに発展し…。 1番前の座席って、演じている人と目が合うし、棒切れ(けんかをはじめた歌仙たちが出して戦っていた)がぶつかるたびにホコリが舞うのが見えるんですよ。演者が舞台の前ぎりぎりまでやってきたときなんて、ぶつかりそうな気までして。ものすごく迫力がありました。テーマパークのアトラクションみたい?(笑) ただ万作さんの息の荒さが気になりましたけど。大丈夫かな~って気になって気になって。だいぶお疲れだったのでは?萬斎さんと目が合った(ような気がしたとき)は、思わずカン見してしまいました。(笑) 大満足の新春狂言。さて来年はどんな番組を楽しめるのでしょうか?(あ、鬼が笑う?) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010/01/29 05:44:22 PM
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