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リーダーシップは教えられる ビジネス書としての5段階評価:★★★★☆ 解 説 書としての5段階評価:★★☆☆☆ 【構成】 次の章立てからなる。「:」以下は、具体的に何を議論しているかについて、私からの一言。 第1章 変化の時代に求められるリーダーシップ―適応の仕事の創出:今日求められるリーダーシップ像と、考案されたケース・イン・ポイント教授法を俯瞰する。 第2章 「どういうふうに始めましょうか?」―学生たちのさまざまな期待:初回講義から講義の中身を理解する。 第3章 ケース・イン・ポイント教授法の使い方:教員と生徒がどのような役割を果たし、どのような立場を取るかを理解する。 第4章 失敗を糧に―グループ演習の効果:受講者の失敗事例をケースとして取り上げ、失敗に至った理由、背景を、討議を通じて分析し、理解する。 第5章 存在感の強化―「歌セッション」から学ぶ:シナリオ無しの状況下で、如何にアドリブを利かせ、周囲に訴え、巻き込むかを経験し、学ぶ。 第6章 持続性のあるもの―言葉、イメージ、比喩の力:受講者のその後の調査から、講義の成果を理解する。 第7章 勇気と犠牲―学習プロセスをマネジメントするリーダーシップ:ハイフェッツ教授へのインタビューを通じ、講義を構成する要素の意義を確認する。 第8章 「リーダーシップ神話」を見直す:ハイフェッツ教授が提唱する、社会要請に応えることのできるリーダーシップについて、いくつかの観点から理解する。 第9章 リーダーシップは学ぶことができる―ケース・イン・ポイント教授法の強みと限界:講義の強みと弱み、課題を整理する。 【感想】 ハイフェッツ教授が取り組むケース・イン・ポイント教授法は、リーダーシップに係る従来の考え方に囚われていない。今日求められるリーダーシップ像を再考した上で検討に検討を加えられたその教授法は、リーダーシップをむしろ一種の芸術として捉えなおしているといってよい。受講者は、ハイフェッツ教授の講義を通じ、「知る」という学習ではなく、「状況を理解する」、「分析する」、「考える」、そして「表現する」という活動の新たな習慣づけを行うことができるだろうと感じる。 本書の記述は抽象的な傾向が強い。本書が読者にどれだけケース・イン・ポイント教授法の中身を十分に伝えることができているか?という観点でも疑問が残る。しかし、ハイフェッツ教授の取り組みと著者の分析から得られる気づきも少なくない。リーダーシップに関心を持つ方々が従来の取り組みや考え方に加えて理解しておいて良い情報であると感じる。 【理解のヒント(抜粋)】 P.87(第3章):ハイフェッツはこういういい方をしている。「リーダーシップ実践のカギは、予期される回避行為を抑え、人々の抵抗を振りきって取り組みをつづけさせるにはどうすべきか-この問いです」 P.88(第3章):適応の仕事への抵抗が生じるのは、それが喪失感や悲嘆とほとんど切っても切れない関係にあるという点が大きい。ハイフェッツとリンスキーはこう記している。/「人々は変化そのものに抵抗するのではない。変化による喪失に抵抗するのだ」/適応の仕事のこうした側面のせいで、人々はさまざまな回避行動に陥る。授業のなかで自分の過去のケースを提示し、自分の陥っていた回避行為に初めて気づく瞬間は、つねに刺激的だ。/仕事で失敗したケースを提示した女性の例。彼女は、過去のとある状況で、切実に必要とされていたことを実現できなかった。しかし、彼女を含むクラス全体が、このケースを分析しながらも行き詰りはじめた。/そこでハイフェッツが、ケースに登場した人々の経験について少し解説すると、学生たちはだいたい次のように理解しはじめた。-彼女が戦略として必要としたのは、「不利な情報をしっかりと伝えること」「失望に耐えること」あるいは「喪失感を与える仕事から逃げない意志や能力を発揮すること」だったのだ。これらを、進行中の適応の仕事をそこなうことなく、実行できればよかった。 P.114(第4章):リーダーシップにとっての脅威は、一つは攻撃の的になることだが、もう一つは、自己と役割を混同することだ。(中略)ここで大事なのは、「自分の身に起こっていることは、必ずしも自分という人間に対して向けられているものではない」という認識である。(中略)「役割と自己の混同は、落とし穴になります。たとえ自分の全人格を注ぎ込んで役割を遂行しているとしても、人々が第一に見るのは、あなたがその人たちに対して果たしている役割であって、人格ではないのです。/相手の接し方がたとえ個人的に感じられても、そこから読み取る必要があるのは、自分がどの程度彼らの期待を満たしているのかということです。それを把握すれば、批判されても、落ち着いてその解釈や分析ができます。そのため、批判を集団に内在化させずにすみます」 P.145(第5章):「落ち着きを保つ」という表現は、この学習の中核部分のカギの一つとなる。適応のリーダーシップでは、重圧に耐えつづけなくてはならないからだ。だが存在感を出し、適応の仕事での風当たりのなかでも打ちのめされない「落ち着き」のあるリーダーになれば、安定装置のような役割を担うことができるようになる。 P.146(第5章):相手に大事なことを伝えるのに、必ずしも言葉は必要ないと気づかされたんですから。(中略)音楽、声、視覚。そして沈黙-これが最も効果的な手段ですね。 P.189(第7章):学生をとまどわせ、あるいは怒らせ、彼らが自分の悪口を-特に同僚の教師たちに-吹聴するような事態も避けたいものです。しかしこの科目では、始まってから一ヶ月前後のうちには、ある程度こういうことが起こります。それに耐え、学生たちも最後には自分に感謝してくれるだろう、と信じつづける。これは大変です。 P.228(第8章):陶芸家などは「火」を扱う仕事をする。陶芸家と土が「火」と手を結び、創造する。これは不安と期待とが入り混じる仕事となる。火は、敵にも味方にもなりうるからだ。この創造のプロセスが始まると、土が調達され、乾燥させられ、火にかけられる。艶が出てくると、再度焼かれる。この過程のなかで、陶芸家・土・火の三者が結ぶ目に見えない関係が、鮮やかに浮かび上がる。(中略)リーダーシップもまた、火のなかで展開する。 P.244(第9章):反復演習(自分の経験を反省する学習と組み合わせる)は、新しい行動様式を定着させることが目的だ。したがって「挑発」「粘り」、そして「忍耐」が欠かせない。実はこれにより、適応のリーダーシップの本質を教えることができる。(中略)私は、リーダーとはこういう人だと考えるようになりました。・・・集団に不快感を与える仕事でもいとわずにできる人。手段にそれを受け入れる準備が十分になくても、必要ならば新しいことを導入できる人。都合のいい計画だけを示すのではなく、ときにはあまり喜ばれない展望を伝えられる人。もちろんその展望をもとに進める仕事は、創造的なものであるはずです。 P.251(第9章):リーダーシップの芸術を教えるときに必ず考慮すべきものでもある。三点をまとめ直すと、こうなる。(1)理解しようとする気持ち (2)活力ある思考 (3)少しの勇気 この三つを身につけるには、次のようなことを学習する必要がある。●思いやりを持って人に注意を払う ●思考に役立つ概念やモデルを使いこなす ●適切な想像力を持ち、適切な行動を繰り返す ●失望、失敗、またはあまりすっきりしない形での成功といった結果しか得られない状況でも、意欲的に仕事を続ける お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.04.15 08:34:51
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