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成功体験がスタッフを成長させる
「成功したままではいけない。ネガティブな要素は、即アウトプットだ」 美容師という人種は、ホントに個性的な人が多い。 リッツにも、さまざまな個性、価値観を持った人間が集まっている。 僕は、リッツのスタッフ一人一人の価値観を変えてやろうとは 思っていない。 クレドカードやマニュアルも、「リッツ」という集合体としての 方向性を示したもので、集合体の中には、いろんなやつがいて、 いろんな価値観があってもいいと思っている。 ただ、その一人一人の価値観をぶつけ合う場っていうのが、 必要なんじゃないかな。 それが一人一人の成長につながるんだ。 僕たちでいえば、それは毎年リッツの主催で開催するヘア・ショーだ。 プロのヘアデザイナーとして活躍するスタッフが、自分の個性を 発揮する場であるヘア・ショーに気合いを入れるのは、 プロとして当然だよね。 でも、それとは別に、まだまだ駆け出しの、アシスタントの連中にも、 そういう場、ヘア・ショーをやらせて、個性、価値観を思いっきり ぶつけさせている。 ヘアデザイナーのスタッフがやるヘア・ショーは、世間一般に対して リッツというブランドを見せつけるものだから、ものすごく大がかり。 大きなホールでコーディネーターを付けて、照明、音楽、演出、美術 その他、すべて専門家の手によるものだ。 一方、アシスタントのヘア・ショーは、何から何まで、 全部自分たちでやらせる。 下北沢の小さな会場でやるんだけど、衣装も音楽も、 みんな自分たちで用意しなきゃいけない。 もちろんカットモデルも、ね。 最初から上手くいかないっていうのは、アシスタントたち以外の 僕たちスタッフは、みんな知ってるんだ。 本番も含めて、メチャクチャになったりする。 でも、それで当たり前。 それでオッケー。 ところが、こっちが「失敗してもいいよ」って言っても、 みんな「自分たちはできる」と思っている。 失敗することなんて考えていない。 でも、実際にやってみると、中々上手くいかない。 最初は「みんなでやろう」っていっても、協力しないやつがいるんだ。 でも、だんだんとそれぞれの個性を発揮して、 「音楽は俺がやるから」「衣装は私が」というように、 ことが運んでくる。 それでも上手くいかなくて、そこで僕たち先輩のテコ入れ、 「こうやったらどうよ?」 が入るわけ。 そこで初めて、何が良いのか、ということがわかる。 それまでは手探りだ。 そして本番当日、会場に人が集まり出すと、だんだんノってくる。 高揚感が出てくる。 もう、すべて自分たちのための世界! それがいわゆる「成功体験」になるんだ。 一度この体験がインプットされると、他の仕事においても、 やはり成功を求めるようになる。 自分たちで何かをやりたくなる。 そこで初めて、自分で責任を負う体質・・・ 「エンパワーメント」になるんだ。 ただし、成功体験をインプットして終わり、ではだめだ。 重要なのは、間髪を入れずに行なう「反省会」。 彼らの中には、成功体験と一緒に「反省すべき体験」も インプットされている。 要するにネガティブ体験。 ポジティブとネガティブが一緒にインプットされているから、 反省会という形で、すぐにネガティブなものをアウトプット してしまうわけだ。 実際に何かをやらせて、成功体験を与える・・・ というところまでは、経営者の方もよく考えていることだと思うけど、 この最後の「ネガティブ体験のアウトプット」は、とても重要。 これがないと、何か新しいことをはじめようとする時に、 ネガティブな思いがつきまとってしまう。 別に「反省会」という名目でなくてもいい。 要するに「お疲れさま」だけではない打ち上げ、っていう感じ。 こうして若いみんなに成功体験を与えることは、 僕たち先輩にとっても、すごい刺激になる。 コミュニケーションをとれる場でもあるし、 やはり才能を発揮するやつもいるから、 うかうかしていると自分が抜かれてしまう、 という意識が出てくる。 たとえばそんな「うかうかしている」やつに僕がいちいち、 「おまえら、ヤバくない?」 なんて言っても、 「いやあ、そうですね・・・」 って、シュンとなって終わり。 でも、下からのプレッシャーは、本気で危機感をあおるものなんだ。 (「すべては記憶に残るサービスのために」金井豊著より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.07.11 00:37:55
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