それは、担任の先生の一言から始まった。

「キヨサカくんはこの一学期、どんな事を頑張ったと思いますか？」

へっ？　

どんな事って言われても、どんな事かなぁ、なんか、なんか、ない？

予想外の展開にのっけからコマユは焦る。

「えっと、勉強がんばりました。」

「勉強？どのようにですか？」

「えっと、家での勉強とか、授業態度とか・・・。」

「そうですか。クラスでとったアンケートでですね、
キヨサカくんに一番票が集まったのが、・・・
『コツコツと学習に取り組んでいる』でした。」

「キヨサカくんが自覚したとおり、きっとクラスのみんなも同じように
評価してくれたということですね。」

「では、キヨサカくんは将来は何になりたいですか？」

へっ？　

将来って？将来の職業？

何って言われても、急に言われても、えっと、えっと、どうしよう・・・

まったく違う方向の展開にコマユますます焦る。

「えっと！　運転手になりたいです！」

「ほほぅ。運転手ですか？　何を運転するんですか？」

「えっと、アストラムとかバスとか・・・。」

「そうですか。それでは、その夢をかなえるために何か考えてますか？」

へっ？　

何か？　何かってか、先に高校入るのが先だしー！

それよか、ボクに入れる高校あるんかムチャクチャ不安なんですけどー！

何が本題かわからないコマユもう何言ってるのか自分でもワケワカメ。

「いや、まだそこまでは・・・。」

「そうですか。それでは、キヨサカくんは第一志望はヌマッチョ高校ですが
どうしてこの高校に行きたいのですか？」

へっ？

どうしてって。えーと、えーと。公立だし。
チイヤのワリャビンゴ高校は公立で一番近いけど無理だし。

「えーと、自分が行けそうな（学力のレベルの）高校で、
野球を続けたいからです。」

「そうですか。ヌマッチョ高校へは体験入学には参加しましたか？」

「えーと、試合の直前だったので部活で参加してません。」

「そうですか。だったらヌマッチョ高校へはどうやって行くか知ってますか？」

へっ？

どうやってって。えーと、えーと。もし通うんなら自転車で通学するけど
受験の時は、えーと、えーと。

「ＪＲとアストラムを乗り継いで、広陵高校前で降りて、そっからバスで行きます。」

「そうですか。広陵高校前って停留所ってありましたっけ？」

知らねーー！！（焦

※　正解　→　ヌマッチョ高校へのアクセスは
　　　　　　　広陵高校前でなく上安駅からバスに乗り換えでした。
　　　　　　　（コマユ不正解）

「それでは、これが一学期のキヨサカくんの通知票なんですが。」

前置きなげぇーー！！（爆

「そうですね。最初に勉強をがんばったと言われたとおり、
１、２年のときよりあがっていますね。
この成績だとヌマッチョ高校は、えっと・・・・。」

「・・・このまま頑張ってくださいね。」

「おかあさんから何か質問はありますか。」

「とくにありません。」

「それでは、二学期もがんばってくださいね。」

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せっかく成績があがって３のゾロメから抜けたというのに
帰宅したコマユは疲れきっていた。

「こんなに疲れた懇談は初めてなんですけどー！」

「なんか！通知表にたどりつくまでにこんなに時間がかかった懇談は初めて！」

ってか、アタシはキミが運転手になりたいなんて初めて知りましたが。

「だって！どの高校にも行かれんかったらどうしようって困っとるのに
高校卒業してからのことなんて考えとらんし！」

「でも！どうしようどうしようって考えるうちに運転手しか浮かばんかったんよ！」

なんだ。じゃあ野球にかかわる仕事がしたいとか、アバウトでもいいから
希望だけでも言っておけばいいのにアドリブきかんやつだな。

「だって～職業より先に高校でしょう～～～！」

そりゃそうですがね・・・ってか、先生ったらそういや
ヌマッチョ高校にスレスレとかギリギリとか何も触れんかったわね。

「うわ～～～～～ん。
二学期の懇談ドタキャンしてもいい～？（泣）」

ダメです。アタクシ的には横に座ってるだけで楽ちんなのでＯＫです。
（「とくにありません」しかしゃべってないし）

ちびまる子ちゃんの担任の戸川せんせいに物腰がよく似た先生なので
きめた。コマユの担任ハンドルネームはトガワ先生にしよっと。