わたしのブログ

私がせっかく、静かに静かに心を殺している大事なときなのに、
あいつは、短い追って書きメールを寄越した。
「隠し事？不誠実？きっついな」って。
隠し事だらけで不誠実そのものじゃないか。
なんで自覚がないんだ。
私がしつこくしたのは、嘘ばっかりだったからじゃないか。
本当のことや本当の気持ちを知りたくて、
何度も何度もメールをした。
何度も行きたいって言った。
でも、いつもいつも誤魔化された。
忙しいとか、返事をしないとか。
忙しいといわれたときは、ライブが終わるまでとか、
少し時間を空けてとか、
私なりに気を使った。
返事がないときには、催促するといけないと思って、
泣く泣く一人で諦めた。

夏祭りに来れば良いじゃないって、そっちが昔言ったんだ。
夏が一番ヒマだし、マジックマウンテンは夏しかやってないんだって、
そっちが言ったんだ。
だから私は、行っても良いのかなと思って、聞いたのだ。

居候がいるうちはムリだけど、10月にはいなくなるって言うから、
来年なら行けるかなと思って、
来年は行けるの？って恐る恐る聞いたんだ。

返事をいつもはぐらかされた。
それは来ないでほしいということで、はっきり言わないのは
隠し事って言うんだよ。

女は面倒くさいから、
彼女面するやつはうんざりだから、
昔の関係のほうがよかったから、
もう来ないでほしいと言えばよかったんだ。

はぐらかさないで、はっきり最初から言えば、私がこんなに
傷つくことも、
しつこくしつこく質問することも決してなかったんだ。
身から出たさびだ。

それがあいつはわかっていない。
女は食事をするとすぐにその気になって押してくると思ってる。

それはあんたが、その気にさせる言動を見せるからだ。

嘘の上塗りはいっぱいある。

今の女はあなたでしょ。
おまえといるといつもこうなる。
おまえといるとあっという間に時間が経つ。
さすがに俺の惚れた女だ。
いつもあなたのことを考えているよ。
僕は僕なりにあなたのいない寂しさを埋めているのだから、こんなことで僕のあなたがつぶれてしまっては困ります。
大丈夫。今までも大丈夫だったように。

ほら。いくらでもあるんだ。

私はそういう言葉を羅列して、
自分を騙してきた。
信じたい信じたいと思って騙してきた。
でも、本当はわかっていた。
私は愛されていない。
言葉なんかじゃない。
面倒くさそうな態度や、返事の遅さや内容の薄さ、
肝心なことには答えないかわし方、
声の冷たさ。
わかっていたんだ。

嘘じゃなくてなんなんだ。

あなたは自分で八方美人と言った。
その場限りのリップサービスで、良い人を演じてしまう悪人だ。
押されるとうっとうしくなって、離れてせいせいだと？
そんな鬼畜は死ねば良い。

女をなんだと思っているのだ。
恥を知れ。

昔の手紙を見てみた。
それは、もう30年以上前の手紙だ。

「僕は、みんなが言うように優しい人間じゃないことは知っていたけど、
他人に対しては実に寛容で、そして実に冷酷な人間だ。
誰とも結婚する気はないよと言っておけば、
みんな適当に遊んでくれて、本気になられることはない。
そして、いざ本気になられると、僕はうんざりして、限りなく冷たくなる。
それでもあなたとは、本気で結婚したいと思っている」

そう書いてあった。
きれいだった私へのラブレターだ。
そんなことを言うから、私が自分を特別だと思ってしまったわけだ。
それは夢。
だったら良いなと思っていただけで、
こんなおばちゃんに同じ思いを抱いてくれるわけはないということも
知っていたから。
だから、私が卑屈になっていた。
それでも、こんな私でも、「おまえといるとすぐにこうなっちゃう」って
言ってくれたから、
やっぱり少しは特別なのかと思うじゃないか。

5％くらいは信じたかった。永遠の特別を。
そして、私が特別である限り、彼の冷淡さは、私には適応されないと
信じていた。
そこは信じていた。
でも、適応されちゃった。
以前の関係のほうがよかったと。
彼女面が重いと。
おっしゃるとおりでしょう。
重かったと思いますよ。
私はわけがわからず、じたばたじたばたしていたからね。
そっちで別の女が重い事情なんて関係ないから、
タイミングなんて図れない。
でもね、別の女と同じ扱いをされちゃったら、
私とあなたの関係なんて、そもそも成り立たないんだよ。
私は、ごく普通のただの冷淡な男なんて、好きにならないんだよ。
良いところなんてないじゃない。

私が好きになっていいことなんて、ひとつもないじゃない。

返事はしない。
そもそも、「きついな」と言われて、
返事のしようもない。
敢えて言うなら「そうですか」くらいなものだ。
自業自得だ、ざまあみろでもいいかもしれない。

でも、もういいの。
私は静かに心を殺しているのだから。
騙されないわ。
騙されない。
もう卒業するから。絶対。
絶対。

お金もない。将来性もない。優しさもない。誠意もない。
私への愛もない。
それだけの男じゃないの。

絶対。
都合の良い女になんか絶対にならない。
永遠の恋人なんかにはならない。

もう永久に会わない。