みなさん、ブログ購読、いつもありがとうございます。
前回お知らせしましたが、
新たに、前立腺がんの治療中の方、戦っていらっしゃる方を対象に新しいメルマガを立ち上げ、
まぐまぐから承認を受けました。
『前立腺がん治療の最前線』
http://www.mag2.com/m/0001605001.html
名前からわかると思いますが、前立腺がんの治療に焦点を当てています。
最初は、さまざまな仮想の患者さんに登場してもらって、診療の流れ、治療の実際を見て行こうと思います。
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◆◆患者Aさん◆◆
元来健康で体格も良く、70代の男性。
数ヶ月前から20kg以上の体重減少、食欲不振、倦怠感があった。
今回、胸腰部痛がひどくなり内科から泌尿器科を紹介され受診した。
『胸腹部CT』
前立腺の腫大(大きくなっている)と変形、前立腺がんの精嚢腺や直腸への浸潤
多発骨転移、多発リンパ節転移
病的骨折(骨に問題があって折れやすい状態からの骨折)が痛みの原因であった。
『骨シンチ』
脊椎(背骨、胸椎、腰椎)、ろっ骨に多発転移
腰骨、下肢の骨にも転移あり。
治療開始後1週間に経直腸的前立腺生検施行。
針を使った4ヶ所の組織検査を行いました(経直腸的前立腺生検:『前立腺がん、前立腺がん疑いと言われたら読む本』参照)。
4本とも前立腺がんの診断でした。
グリソンスコア 4+5=9 (『前立腺がん、前立腺がん疑いと言われたら読む本』参照)
『血液検査』
PSA(正常値 4.0以下) 5000 →390(治療3週目) →28(治療7週目)
→16(治療11週目)
ALP(正常値110~360) 430 →588(治療3週目) →590(治療7週目)
→430(治療11週目)
前立腺直腸診(指で肛門から前立腺を触診します)
正常の前立腺と違い、左側が大きく、全体的に石のように硬い。
◇◇経過◇◇
泌尿器科に同日緊急入院。入院直後よりMAB療法開始(第2号で説明しました)。
ゴナックス皮下注とカソデックスの内服開始。ゴナックスは4週毎、カソデックスは毎日継続。入院してカソデックスとゴナックス開始後、日に日に元気が出て、食欲も出て、笑顔も出てきました。痛みのため使っていた、痛み止めの坐薬も使う量がだんだん減ってきました。10日ぐらい入院したでしょうか、うそのように元気に退院されました。入院した時は車いすでしたが、退院の時は歩いて帰ることができました。外来で、ゴナックスとカソデックスお継続と、多発骨転移があり、そしてグリソンスコアも高いため、ランマークを開始しました。
今後は外来で経過を見て行くことになります。
<コメント>
この方は、深刻な症状のある進行前立腺がん、局所進行前立腺がん、転移性前立腺がんです。
平均余命も10年以上あるような方で、深刻な症状のある場合はMAB療法が好んで日本では行われます。PSAは順調に下がっています。このMAB療法を開始して、PSAの低下があったのはよかったです。MAB療法を開始して、全く効果がない(PSAがさがらない)と、これからの治療がとても困難です。いわゆる去勢抵抗性前立腺がんといわれる状態になる可能性が高くなります。
今回、ALP(アルカリフォスファターゼ)が異常高値なのは、多発骨転移があるためです。治療後2週間では、まだ下がっていませんね。逆に少し上昇しています。
一方、治療7週経過して、PSAは順調に低下しています。良かったですね。
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といった感じで、患者の経過を見ながら、前立腺がんに対する治療の考え方をお示しします。
まだまだ席はたくさん空いています(笑)。
ぜひ参加お願いします。
『前立腺がん治療の最前線』
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