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異邦人とは、外国人のこと。つまり、日本国籍を持っていない人のことである。現在の私たちの生活環境では、外国人の存在は珍しくなくなってきて久しい。
それどころか、自分たちの国の言葉である日本語さえもが、怪しくなるほどの国際化社会、今風に言えば、グローバル化された社会である。 その中にあって、彼ら、異邦人にかかわる問題はというと、もっぱら、犯罪に焦点が当てられるが、先日、日本生まれの日本育ちの異邦人、いわゆる「在日」の一人のピアニストの話を聞く機会があった。 彼女の名前は、Choi Sun-Ae Lois、 チェ ソンエさん。異邦人であることを理由に指紋押捺拒否裁判で、私たちの社会に異邦人問題を提起した人で知っている人も多いと思う。現在は日本人の方と結婚され、幾度の裁判でやっと手に入れた日本国永住権を持って、コンサート活動とともに「平和と人権」問題に深くかかわって活動をされている人である。 小柄な彼女に秘められた、不屈の正義感に共感するとともに、日本という国の行政体制に改めて、おかしいなという気持ちがわいてくる。 日本の政治は今、小泉首相になって、構造改革だ、民営化だと騒々しいが、社会体制も、行政体制も、どうなっていくのか、どうしたいのか、政治家という人も、官僚という人たちからも、何も聞こえてこないし、見えてこない。 十年一日のごとく、何もせず、問題を見ようともせず、事が起きたときにだけ反応して終わりにしたがる、この日本の行政体制の中で、翻弄された一人が、チェさんだと思う。 まだまだ大勢の人たちがいる。中国残留孤児の人たち、異邦人被爆者の人たち、売買春の犠牲になった人たち、従軍慰安婦といわれる人たちの問題。 日本の人権問題はまだまだ解決されていない。強権下で行われたこれらの問題は、何もせずでは済まされない。時間もなく、人間としての尊厳もなく、生活のすべもなく、奪われたまま、不自由な毎日を強いられている。 チェさんの音楽は、そんな悲しみを私たちに伝える。手元にあるCD「Z・AL」。Zの上に・がつく表記ができないポーランド語の「ゼァール」で意味は、憂い、悲しみを表す言葉なんだそうだ。 同じような亡命者だったショパンの曲をメインに、彼の手紙の朗読のCDになっている。 チェさんの痛み、悲しみは、ショパンや彼女の留学先、インディアナ大学のハンガリーやロシアからの亡命者であった恩師たちのことを記した言葉にある。彼女自身が経験した悲しみの深さは計り知れない。 「その痛みは「望郷」などという、かすかに甘い憧れさえ感じさせる情緒的な言葉ではなく、本来あるはずのものを失ったまま過ごす喪失感、すなわち、「Z・AL」だったのではないだろうか。」 チェさん自身はこのとき、指紋押捺拒否問題で、留学先からの再入国が保障されない状況下であったという。 私たち、日本国籍を持つ日本人としては、この恐怖と悲しみを感じることはないかもしれないが、これから先、絶対にという保障もまた、ないのである。 ともあれ、私たちの周りで、こんなギリギリの体験をして生きている人々が大勢いるのだということも事実なのであり、日本という国は「人権」意識が遅れていることの事実といわねばなるまい。 チェさんは2000年に永住権「戦後保障として、与えられた在日の人たちの権利」を取り戻せた。彼女についての詳細は「自分の国を問い続けて」岩波ブックレットNO・525参照。 また、今回私が購入したCD「Z・AL」も、チェさんのピアノ、ご主人である三宅進さんのチェロ、ジャーナリスト本田雅和さんの朗読によるショパンの手紙、その他の作品の朗読もあり、味わい深い作品となっている。 また、挿入されているカザルスの言葉と「鳥のうた」も私は好きだ。カザルスもまた、平和主義に生きた人である。 ピロウヤシ H360(光触媒加工人口観葉植物) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.08.13 23:10:54
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