無謀な挑戦-2
無謀な挑戦の続きです。演奏の腕前の方は相変わらずの低成長ですが、MIDI音源の方は眼から鱗が落ちた様に改善されました。しかし、まだ一つ大きな問題が残っていました。それは、S/N比と呼ばれる音楽信号対するノイズレベルの事なのですが、当然雑音が低い程よい訳です。このMIDI音源のノイズは、昼間やヘッドフォンで聞くには問題の無いレベルなのですが、アンプのレベルを上げた場合や周囲が静かな夜間にノイズが分かります。この時代のデジタメル楽器関連機器は、オーディオ機器に比べてS/N比が良くないという事は、使用する目的や周辺環境が違うので、設計段階から余り考慮されていなかったという事をメーカーサイドからも聞いた事があります。という事で、ノイズの原因を見つける為に測定器をつないで見ると、ノイズ成分の殆どが電源からである事が分かりましたので、YAMAHAの音源は外部電源を最近の物に交換する事で簡単にノイズレベルを下げる事が出来ました。ROLANDのSP-55は、ピアノ専用音源という謳い文句だけの事はあって、基本パターンだけでも30種以上選べますし、それにエフェクト加工を加えれば、もうこれでいいかなと思えるレベルに持って行けたのですが、やはりノイズレベルは大きく、大分気になるものでした。YAMAHAの音源と同じ手法で電源のアダプターを換えてみましたが、ノイズレベルは殆ど変わりませんでした。ノイズ成分を調べると、それは電源のリップルによるものだけではなく、他にもデジタル回路のノイズ成分がアナログの出力回路に干渉しているのではないかという事になりました。でっ、分解して原因を探ってみる事にしました。すると、原因は意外と簡単に見つける事が出来ました。デジタル-アナログ変換後の信号回路の一部がシールドされていない事、出力コントロールVRと、ヘッドフォン回路のアースが共通になっている事。これでは、幾らなんでもなと思いましたが、このノイズに対するシールドやアースポイントの設計というのは、理論よりも実践的ノウハウが勝るというセオリー通り、至難の技となります。デジタル-アナログ変換に関しては、以前メーカーにCDプレーヤーの設計を依頼された時の経験やノウハウを応用する事が出来ました。実際には、ここまで辿り着くには大変だったのですが、何とかノイズの軽減した事で、他の機器間の混合接続時に発生する干渉のノイズが激減するというオマケが付きました。今まで半端諦めていた手元の機械を全部同時に使えるという事になったので、これは本当に願ったり叶ったりの結果でした。波の音や効果音をバックに、コーラスとピアノ、そして他のパートの楽器も選択して演奏させるという長年の夢の一つが叶ったのです。おっと、その前に一番肝心な事を忘れていました。幾ら、演奏環境が整ったとしても、自分の腕が付いて行かない事には?やっぱり、私の思いや願いが成就する事は無い様です。