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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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テーマ:お勧めの本(7264)
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塩野七生著『ローマ人の物語』(21)
       危機と克服(上)(新潮文庫)

読破ゲージ:
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皇帝ネロ自死に追い込んだのは、ネロの暴走を危険視した元老院とそれを後押ししたローマ市民。かわってインペラトールとなったのはガルバ。いわば、皇帝になって首都への凱旋。しかし、首都の雰囲気を認識していなかった、棚からぼた餅の人、ガルバ、皇帝としてローマに入り事態の収拾に動くべきが、事態を舐めて初動遅れる致命傷。元老院と市民の前に姿を現す前に行った、適当としか呼べない手抜かり政策、早くも不信感のタネに。皇帝らしさ、というパブリックイメージでは、ネロの方がまだマシだったのだ。自分に代わって首都を掌握する人事不評、財政再建も具体性なき施策。地盤のはずのイベリア軍団兵から忠誠拒否、さらに兵らは、ガルバに代わる皇帝人選を元老院に要求。元老院は、低地ゲルマニアを任されていたヴィテリウスを指名。争乱避けたかった市民には気の毒に、帝位をめぐってローマ人とローマ人が血を流し合う羽目に。ヴィテリウスはヴィテリウスで、ガルバ以外なら誰でも…の空気を読まず、勘違い、ゲルマニア軍団を擁して反ガルバに起つ。皇帝になったつもりのヴィテリウスに対して、今度は若き人気者・オトーも起つ。その混乱の中、皇帝ガルバ、近衛軍団により輿から引きずり降ろされ殺害さる。懐柔されたガルバへの失望隠せない兵士たちにより、オトー、一足先に「インペラトール!」の歓呼を浴び、正式に皇帝となる。無名オトー、いま、みた、知った。オトー、この人こそ、皇帝ネロの遊び仲間にして、妻=ポッペアを横取りされ僻地に左遷された男。しかし、それを恨むことなく、元々有していた才能を生かして職務遂行、善政で聞こえていた。そのオトー、ガルバが為損じた事態の収拾に着手。当面の敵・ヴィテリウスに対しては共同皇帝の提案を持ちかけるも、過信するヴィテリウスは一蹴。オトー、自身の認知度の低いドナウ河防衛担当「ドナウ軍団」を、ライバル意識から奇跡的に味方に付け、ついにヴィテリウス率いる「ライン軍団」と激突。同胞を敵にする場合、兵士にはそのわだかまりを断たせねばならない。我がためにルビコンを越えよ、と言えたのはカエサルだから。ヴィテリウスはこれに失敗。兵士がヴィテリウスを愛さなかったのだ。しかし内乱に躊躇いがあるのはオトーもまた。決定的な戦局で冷徹になれず、ヴィテリウスにチャンスを与える。第一次ベドリアクム戦は、軍規・軍旗なき暴徒が野っ原で敵味方なく無秩序に戦った混戦でしかなく。やがて、陣頭指揮を執らぬことではヴィテリウスと変わらぬも、期待は背負っていたオトー、兵士の失望を買い自軍は戦意喪失。自軍敗北の報に、皇帝オトー、自殺。わずか三ヶ月の皇帝、37歳の死。潔いつもりが、これは諦めが早い死出。やはり、急に転がってきた皇帝の座だからこそ、未練がなかったのだろうが、勝者の心得知らぬヴィテリウスが後始末するのだから始末が悪い。オトーの死により、元老院、今度は正式にヴィテリウスを皇帝に承認。短い治世の中で、警察人事が成功していたのが幸い、オトーの置き土産で首都に混乱は起こらず。混乱期によらず、敗者の処遇は時局を左右する。これに、デリカシーなき皇帝ヴィテリウス、まず失策。この人は、やるべきことをやらなかっただけでなく、やるべきでないことだけやった、と筆者も辛口。ここに来て、皇帝に就くとの予言を笑ったヴェスパシアヌス、ムクムクと皇位実現に向けて周到な準備。ライバルは、有能なるシリア総督ムキアヌス。叩き上げの庶民派ヴェスパシアヌスと名門でなくとも父の代から元老院階級に属すムキアヌスは対極にいる同士。しかし、ヴェスパシアヌスには、この時期のローマは一番望んだ資質があった。それは健全な常識。理性と信念の人・ムキアヌス、今帝国を救えるのは元老院の外側で生きてきたヴェスパシアヌスと、合理的に判断。同じ想いは、エジプト長官、かのフィロンの同族、アレクサンドロス。帝国再建のため、素朴なるヴェスパシアヌスの皇位実現に向けて、ムキアヌス、アレクサンドロス、三者に、皇位継承の争いを避けるためヴェスパシアヌスの息子・ティトゥスを加えた四人で、きわめて現実的な役割分担のもと進められる。皇帝の美酒に酔いながら時間を空費するヴィテリウス、緩慢に首都入りする頃には、すでにヴェスパシアヌスが皇帝に名乗りを上げていた。クールに脇に徹するデキる男・ムキアヌス、次期皇帝の手を同胞の血で汚させぬため、復讐するは我にあるドナウ軍団に合流して、ヴィテリウスのライン軍団と激突する腹づもり。これ、第二次ベトリアクム戦。第一次と同じく混戦となるも、今度はドナウ軍団が勝利。雪辱の意気込み、強し。自軍の敗北に、ヴィテリウスは…自死は選ばず、ただ惑い恐れ、逃げ隠れるのみ。挙げ句、皇位をヴェスパシアヌスに譲ると表明。これにはヴィテリウス派が怒った、怒った。アンタッチャブルなるカピトリーノの丘に逃げるも、もはや神殿効果は効かず。道照らす松明が、ローマの守護神殿を焼き尽くすこの惨劇。しかし、市民は市街での騒乱を、冷ややかに、いや半ば見せ物を眺めるような目で見ていた。皇帝を放棄したヴィテリウスは、八ヶ月の在位の末、豚のように兵士に追い立てられて殺され、テヴェレ河に投げ捨てられた。一年間で三人の皇帝の血を見たいま、ローマ全体に堕落と狂気と諦観が蔓延する中、ムキアヌスによって迅速かつ完璧にコントロールされた首都に、秩序の再建者としてヴェスパシアヌス、治世に着手。(了)


ローマ人の物語(21)

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/12/09 11:09:12 PM
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