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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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塩野七生著『ローマ人の物語』(20)
       悪名高き皇帝たち(四)(新潮文庫)

読破ゲージ:
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16歳の皇帝ネロ、誕生。クラウディウスの秘書官政治は嫌いだった元老院も、元老院による補佐官は歓迎。セネカ、補佐官としてネロをサポート、新皇帝のスローガンは、基本に返って「寛容」と決定。気分一新でスタートした政権若返りも、またもパルティア問題浮上で緊迫。セネカ人事により名将・コルブロ、起用。しかしネロの眼前の厄介は、自分を帝位に就けた孟母・小アグリッピーナ。ネロの反抗期、始まる。母は、皇帝の母にではなく、女性初の皇帝になりたかったのだ。先帝クラウディウスとの実子ブリタニクスを擁するアグリッピーナを危険視し、ネロを守ろうとするセネカらに対してアグリッピーナ爆発。ブリタニクス、殺害さる。アグリッピーナ、自派形成に奔走。その一方で、アルメニア王位問題に立ち向かうパルティア対策の要・コルブロ。知勇を備え、情報を重んじ人心も掌握する、駆け引き巧みな名将は、お家騒動でもめる本国からの指令もない三年間を、有効活用。皇帝と敵国を上手に秤にかけ、パルティアが名を捨てて実を取るならば、ローマは実を捨てて名を取る、アルメニア対策ではローマ史上初の発想の大転換を画策。軍事的解決回避をはかるもまた、名将の資質なれば。ローマでは、皇帝ネロ、母親殺し。もてなしの小舟での事故死、との計画は水泳達者のアグリッピーナには効かず。殺意に気付いても岸まで泳ぎきった母。もはやこのまま母を放置できない息子。あの母なら、自分を殺すだろう、と。同じ夜も白む頃、アグリッピーナ、再度刃を向けられ果てる。ギリシャ贔屓のネロ、父ではなく母親を殺して、以後母の亡霊に悩むことに。気分を変えたいネロ、やりたい放題。ギリシャ贔屓(だから彫像のネロに髭があるのだ)からオリンピックをまねて、ローマで「ネロ祭」開催。体育だけでなく、文化も競うオリジナリティ溢れる模倣は盛況、帝国を覆う暗雲は、憂さ晴らしの連続投下を誘発。勢いに乗ってブリタニア問題では英断下すも、ついに貴重な補佐を失う。即位からネロを支えた近衛軍団長・ブルス、病死。そして、知識人による政治の限界を知ったセネカ、知の敗北を認めて退場。お目付け役を失って以後は、その不安からか、たががはずれたのか、おそらく両者はコインの表裏だが、ネロ、坂道を転落。妻を殺して愛人ポッペアと結婚。女児を授かり、子煩悩な一面も。宗教に無関心なポッペア、ユダヤ社会を保護し、それが後にネロのアンチ・クライスト像を強調することに。前半戦は、オリエントの王の様式を重んじて、“ネロの像”に額ずかせ、後半はローマでネロから冠を授かる。見事なプランは実って、パルティア王・アルメニア王の納得を勝ち取ったコルブロ、12年かけてパルティア問題を解決。ギリシャ好き皇帝、詩作も本場で実力を試したい。ネロ、ギリシャで歌手デビュー。皇帝の力を行使せず、判定待ちも一般出場者と同じ立場でドキドキ。そんな真摯な歌う皇帝、喝采を浴びる。きな臭くとも、天性の愛嬌はあり、それなりに愛された皇帝ではあったのだ。ローマ、大火に見舞われる。陣頭指揮で事に当たり、被災対策もまずくはなかったネロだが、ローマの再建計画に、自身の夢を相乗りさあせる。黄金宮殿建設計画だが、その予定地が大火による全焼地帯と重なったため、「皇帝放火説」流れる。ネロ、放火犯にキリスト教徒を挙げる。社会不安の種となる…など事情は諸々あれど、肉体としてのパン、血としてのぶどう酒を供すイエス・キリストの宗教観は、カニバリズムとしてローマ人には嫌われたのだ。誤解されたカニバリズムよりも残虐なキリスト教徒迫害、始まる。ローマ市民をなだめるつもりのキリスト教迫害、市民には不評。この残虐な行為は、公共の利益でなく私利私欲のためのものと。ネロ、2000年後にはローマ史上最も有名な皇帝になったのはこの一事によるが、それは西洋世界の中心がキリスト教に変わったから。ネロに不足していたのは、出る杭は打たれて当然、という超然たる余裕、または覚悟。ゆえに過激に暴走すると止まらない。ナイーブな、歌う皇帝のタレント化を危惧する元老院。愛されることはまた畏怖されることと反対に進むエネルギー。皇帝稼業は人気だけでは務まらず。ネロ殺害「ピソの陰謀」、発覚。ピソの陰謀に加担したと疑われたかつての師でありサポーター、セネカもまた死を命じられる。セネカ、墜つ。その後は憂国の青年将校らによる「ベネヴェントの陰謀」でまたも殺害されそうに。これは、皇位をコルブロに、という含みもあったとか。真偽はともかく、ネロ、功臣・コルブロにも死を。同時に、帝国の防衛線を任される司令官二名も殺され、三将を自ら放棄することに。これに目をつけたガリアの有力者・ヴィンデックス、「反ローマ」ではなく「反ネロ」を合言葉に決起。これはガリアの反抗による対ローマ蜂起ではなく、形の上では、ローマを愛するガリア人によるネロへの疑問符。ゆえに、皇帝を討つのはガリア人の呼びかけに応じたローマ人。イベリア方面の総督ガルバ、ネロ追放に呼応。元老院はガルバをパブリック・エネミーに指定するも、ローマ皇帝の責務たる「食」と「安全」の確保に期待でいない市民、もはや同胞同士の混乱は絶対回避したいと激しく反発。仕方なく密かにガルバと結んだ元老院、今度は返す刀でネロを「国家の敵」に。元老院は、ネロの次の皇帝にガルバを指名する。「皇帝ガルバ、万歳」の声を耳に、伸びる逮捕の手から逃げ場なしネロ、自決。死ねば愛されたという、皮肉な五代皇帝ネロ。死後、その墓には庶民からの花や供物は絶えなかったと。ネロの死をもって、アウグストゥスより始まる「ユリウス・クラウディウス朝」終焉。それは、血統の断絶ではなくむしろ、アウグストゥスが描いた壮大なる計画、オリジナルな意味での帝政が崩壊したことと同意だった。(了)


ローマ人の物語(20)

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/12/08 12:10:48 PM
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