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2005年11月27日
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テーマ:たわごと(26887)
カテゴリ:映画
A型の私は、映画を観ていたりすると、瑣末なことにひっかかって本筋を見失う傾向があります。

たとえば、アクション映画のカーチェイスシーン。
悪党と主人公の2台の車が往来をものすごいスピードで追いかけっこするのですが、交差点の信号機を無視するので、他の車と衝突するのも避けられません。
映画なので、主要人物の車は少々の傷を作るものの無事に走り抜けます。
しかし、あてられた車はひどいときにはひっくり返る。
玉突き事故となる。
車の損傷は軽くても、渋滞の元となる。
つまりその場に残される人々は、多大な被害を受けるのです。

2台の車が走り去って、場面はすでに別のシーン。
しかし、私の気持ちはまだ前のシーンに残ってしまいます。
当てられた車に乗っているスーツを着ている男性は大事な会議に向かう途中だったかもしれない。
だとすると、遅刻したせいで、会社をクビになるかもしれない。
ひっくりかえされた軽トラックのおじさんだって、お得意さんの元に赴く途中だったのかもしれない。
だとすると、大切な商品を壊した挙句に、客まで失いかねない。
玉突き事故に巻き込まれた人々の中には、産気づいた妊婦だっているかもしれない。
だとすると、こんな惨事の最中で、生まれ出ちゃったらどうする?

……とまあ、いらぬ心配をしてしまうのです。
もちろん、本当はみんな映画のエキストラだってことはわかってるんですよ。
でも、あれだけリアリティある映像だったら、リアリティある後始末を期待するじゃないですか。

それだけにとどまらなくて、この車の弁償は誰がするのだろうと気になります。
思い切りぶつけたほうの悪党は、まず弁償なぞしないだろう。
主人公が刑事の場合、警察が払うのかもしれない。
でも、主人公が一介の私立探偵だったり貧乏人だったりするとやっぱり無理だろう。
そもそも、あとあときちんと謝罪するのだろうか。
みんな、このカーチェイスのために人生にも大きな損害を受けたかもしれない。
そのことを考えるとと、主人公は自分の正義だけを主張できるでしょうか。
そんなことまで気になってしまいます。

似たようなシチュエーションでは、やはり主人公が悪党を追跡するシーン。
悪党が車で逃げ出したので、主人公がその辺にいる人の車なりバイクなりを借りて追跡するということもよくあります。
「あとで返すから、貸してくれ」
と、持ち主の都合を聞かずに、有無も言わさずに乗っ取ります。
で、やっぱり私は素直に追跡シーンへと気持ちがシフトできません。

本当に後できちんと返してくれるのか?
すごく気なります。
どこのどいつともわからない人のものを借りて、返しにいけるのか?
(まあ、ナンバーを調べれば持ち主に行き着くでしょうけど)
時には、その車なりバイクが、ひどく損傷してしまうことだってあります。
その補償問題だって生じます。
ひどいときには、その乗り物をどこだかわからないところに乗り捨ててしまうこともしばしばあります。
そんな時、悪党を倒した後に、わざわざ、乗り捨てた場所へ探しに行くのでしょうか。
すごく気になります。

それに、持ち主の都合もやはり心配。
乗っ取られるのは、持ち主が車を出そうをした矢先、ということが多いです。
つまり、彼は出かける用があったということです。
乗り物を奪われて、行きたいところにも行けない。
おまけに警察に、盗難届けだって出しに行かなくちゃいけない。
(ま、たいていは車を乗っ取る相手を信用して、ぼーっと待ってるということはないですよね)
約束の時間には完全に遅刻です。
デートなら、相手に時間をずらしてもらえばいい。
でももし、これから飛行機に乗らなくちゃいけない、とかいう用事だったらどうする。
たとえばパッケージツアーの当日キャンセルには、お金は戻ってこないのです。
それも主人公があとで補償してくれるのか?
……とまあ、私のいらぬ心配は限りなく広がっていきます。

そんなことを、夫や友人に話すと、
「誰もそんなこといちいち気にして観ない」
と、とりあってくれません。
そりゃまあ、そうだろうとは思います。
私だって、ウルトラマンが街を壊したりするのについては目をつぶってはいるんです。
だけど、リアルで迫力ある映像を作るなら、きちんと瑣末なところにもケアしてほしいと思ってしまうのです。
主人公の人間性を描く上でも必要なことでもあるじゃないですか。

ということで映画監督にお願い。
主人公は、ヒロインと抱擁したりしないで、
「あ、バイク返しに行かなくちゃ」
なんてセリフをつぶやいて駆け出していくシーンで映画を締めくくってください。





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Last updated  2005年11月27日 19時10分27秒
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