カテゴリ:ココロジー
去年、アジアの留学生への講話で、マッドハウスの方にアニメを通して文化を考えるとても良い話を聞かせていただいたので、中でも評価の高い花田少年史を見ました。が、見終わった時の印象は残念ながら良くありませんでした。
懐かしい設定、印象的なキャラクター、涙を誘うエピソードと笑いという要素から見ると、とても良いアニメのようにも見えます。確かにアマチュアの作品であれば、押さえるところはしっかり押さえて、とても良くできた作品ですね。ということになります。 しかし、プロの作品となると、いくら要素をしっかり押さえていてもそれらを有機的に結びつけるメッセージが無ければ作品としての存在価値は無いでしょう。 最初に「おやっ」と思ったのは主題歌です。とても良い曲です。気に入りました。でもなぜこのアニメにこの曲なのかが分かりません。制作者側の思い込みで選んだような印象を受けます。 場面設定も、ある年代以上の方には懐かしいのでしょうが、私にはちょっと古すぎるようです。子供にも無意味でしょう。我々が明治時代に懐かしさを感じないのと同じです。 主要なキャラクターはみんなユニークです。悪がきで心優しい主人公。ガサツだけど憎めないお父さん。とぼけた味のお爺さん。ガミガミうるさいけどやっぱりお母さん。普通の感覚から見るとみんな極端でユニークですが、みんな同じようにユニークなために逆に没個性になってしまっています。 幽霊が見えるという設定で、毎回涙を誘うエピソードになっていますが、見終わったあとには何も残りません。そのエピソードから何を伝えたいのかが分からないのです。愛情が無くてもSEXができるように、内容が無くても悲しいエピソードに涙することは可能です。そこで流した涙は、サウナで流した汗と同じです。 前段は情景描写が多く、キャラクターの描き込みが足りないので冗長です。一緒に見ていた子供は5分くらいで「このマンガは面白くない」と言い出します。多分、子供向けのアニメではないでしょう。しかし、今まで書いたように大人にとっても満足のできる内容ではありませんでした。 日本発の良質なアニメだと信じて見始めただけに、逆に落差も大きかったようです。 花田少年史-日テレ 花田少年史-DVD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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