シルク・ドゥ・ソレイユ
別に太陽劇団(テアトル・ドゥ・ソレイユ)と混同していたわけではないが(あそこのテーマも祝祭だし上演時間も長い)、私はけっこう長いこと、シルク・ドゥ・ソレイユをフランスのサーカスと勘違いしていた。ほら、フランスって世界のサーカスが集まって妍を競う場所ってイメージありません? でも違いました。カナダのサーカス。といっても今はベガス他でも常打ちしていて、本部があるのがモントリオール。この街はわたし的にはあの五輪。地名を聞くだけで頭の中でメイプルの紅葉が乱舞する。も一つ、この街のオケ(と書くと市民オケみたいだ)の「パリの喜び」のCDは、なんにも考えずに単純に楽しくなりたいときにかけるアイテム。バレエ・リュスの古いフィルム(なんとダニロワ主演)を観た帰りに衝動買い。オッフェンバック:バレエ≪パリの喜び≫他価格:1,200円(税込) シャルル・デュトワ 指揮 モントリオール交響楽団 オッフェンバック:バレエ「パリの喜び」 グノー:歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽 これです、シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団。例の「天国と地獄」が入ってます(♪カステラ1番電話は2番~)。オッフェンバックのいろんなオペレッタから曲を持ってきたのがバレエ「ゲーテ・パリジェンヌ(邦題「パリの歓び」)」。バレエ・リュス以外では「喜び」表記が多いですね。中身はほとんどマシーン振付のパクリな気がしますが日本の発表会。グノーのほうはロシアのバレエ団が「ワルプルギスの夜」というタイトルでよく上演してます。ロシア・ガラなんて名目だとたいてい入ってる。 アクロバティックな演目にいったところで(と強引につなぐ)シルクに戻る。絹じゃないよサーカスだよと言えば驚くリンとその父。家族揃って現在代々木公園で公演中の「クーザ」に行ってまいりました。亭主殿は会場から見えるビルで働いてるので仕事を済ませて徒歩で、私たちはバスと電車を乗り継いで現地集合。亭主殿が割とサーカス好きなおかげでここ数年で木下、ボリショイ、と生を見る機会に恵まれている。サーカス少女が主人公のアニメ「カレイドスター」が、DVD持ってるのに再放送見ちゃうほど家族全員大好きなので(なにしろナンが体操を始めた直接の理由の一つ)、カレイドステージ(主人公が入団した夢幻劇サーカス)のモデルになったシルク・ドゥ・ソレイユも一度はみんなで来たかったのだ。 今回の「クーザ」は(サーカスの?)原点回帰ということで、衣裳はイタリアのカーニバル風。クラウンはアルレッキーノじゃないけど。生演奏もそこまでルネサンス的というわけではないけれど、劇公房ライミングがシェークスピアやるときの演奏をちょっと思い出したりして。ブラスが入る分あれより強い音楽で、女性ボーカルが2人いるんだけどこちらはマイク通してた。人数増やしてでも生歌だともっとよかったのになあ。パフォーマンスやバンドに比べると歌はちと弱い。ちょっと振付もついてたりして、ビジュアル的にはいい感じでしたが。楽しそうだったし(「カレイドスター」のサラさん的な)。ステージ奥の二階建て舞台でずっと演奏してるのも、ルネサンス演劇的。あそこから歌うのはさぞ気持ちよかろう。ハードロック好きの亭主殿はドラムソロに注目。 パフォーマンスもオーソドックスなのが多かった。私は以前二妹と「キダム」を観ていて、あれは天井から下ろした布につかまっての空中パフォーマンスがメインだったのだけれど、今回は下から上をめざす的な感じ。オーソドックスな分、地味め。思いっきりウイング席だったこともあり、少年の心の旅を描くというストーリーラインは伝わらず。合間合間に挟まれるクラウンのどだばたは、旅の途上で出会う様々な人々をあらわしていたそうだが(ピノキオ的)…。私は基本的にクラウン芸が肌に合わないのでよけいに点が辛くなっているかもしれないけれど。始めと終わりで凧上げに少年の心象を託すのは詩的でよかった。世界が円になってきれいに閉じたしね。 超人芸連続の「キダム」に比して、人間として肉体の限界に挑戦、というコンセプトだったのか。宣伝には入っていた軟体パフォーマンスもなくなってたし。大がかりな仕掛けとしてはホイール・オブ・デス。大迫力にキイが釘付け。でも私はこれの途中でぐずり始めたゼロと一緒に退出、このあたりはモニター観戦なのであった。暗くなるのと生演奏がお腹の底まで響くのが刺激的すぎて、ゼロには厳しかった模様。君にはボリショイのほうがよかったよね。熊も馬もライオンもいるし。シルク・ドゥ・ソレイユは本物の動物は出さない。糸で引っ張って動かすねずみの大群は小道具として面白かった。ゼロは犬の着ぐるみには反応。クラウンでも声を立てて笑ってたし。ナンは自分でも複数遣いに挑戦しているというフラフープに注目(体操学校でやってるわけじゃなく、趣味で)、リンはホイールとクラウン。休憩開けが跡部王国だったのには(「ジャンプSQ」先月号参照)庭球タイミング的な意味で(雪も降ったし)リンと2人ウケてしまった。亭主殿はエレガントな空中ブランコをもっと観たかったそう。生演奏なので、パフォーマンスがスムーズでなかったときもうまくリカバリもしくは再挑戦といったあたりがなだらかで、この辺はさすがのキャリアを団体に感じる(細かいミスはけっこうあったのだ)。この次行ける機会があったら、もっと夢幻な演目をチョイスしたいというのが私の感想。あと、見切れない席ね! ゼロはぐずるなら次はお留守番(笑)。【中古】キダム/シルク・ドゥ・ソレイユ価格:3,780円(税込) 出演:シルク・ドゥ・ソレイユ 販売元: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント ↑新品ご希望の方はアマゾンへGO! カレイドスター Stage.6価格:5,730円(税込) 監督:佐藤順一 出演:広橋涼、大原さやか、子安武人 販売元: テレビ東京メディアネット↑DVD6巻は仮面スター登場、そして幻の大技へ!