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銀の裏地

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絵本の紹介と読み聞かせのヒント満載(?)育児録
幼児から高校生の4児の母、内職編集者でブックトーカー。子どもと本をつなぐ活動を市内各所で展開中。
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2011.03.28
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カテゴリ:映画・舞台
 さて、昨日の「12 ~twelve~」観劇記録のつづきである。
 OOBJの母体となった(というか卒業メンバーで構成というべきなのだろうなあ)劇団四季は独特の発声法(母音法)を取り入れていて、それが平べったくも聞き苦しくなりがちな日本語版ミュージカルの歌詞を立体的に聞かせるには非常に効果的なことは私も実感しているが、しかしストレートプレイをそれでやられると、ちょっと聞いてられない感じでつらく、苦手だった。割と好きだった保坂知寿のオンディーヌでもまるで受け付けなかったくらいだ。変な意味で歌いあげすぎて、芝居にならないのだ。発音に気を取られ過ぎて感情が平板というか表情を持たなくなってしまう(山本安英の会の「群読」が「子午線の祀り」初演で日本演劇史上空前のキャスト群を得ることでやっと成立した理由もこのあたりに由来する。なまじの人では形式負けしてしまうということか)。今回もだから始まるまではちょっと身構えていた。私、2時間半ももつんかしらん、と。
 しかし、である。理詰めで偏見を一つ一つ打破していくこの芝居には意外とこの発声法が合っていたのか、外部出演をするようになった役者さんたちが母音法だけにとらわれない発声をするようになったのか、実際には明晰な発音が心地よいくらいだった。形式と思想の一致。特に最も論理的な役の栗原英樹にそれが顕著。他の役者さんたちも安定して観られる、聴ける。一方で最初にただ一人有罪に反対し問題提起をした8番の吉沢梨絵は、後半どんどん非人間的に感じられ残念だった。これは映画版で同じ役を演じたヘンリー・フォンダにも少なからず感じたことなので、戯曲の持つ構造による部分も大きいのだろう。なぜそこまで正義を振りかざすのか、個人的な背景をほぼ描かれない唯一の役なので、発音が明晰であればあるだけ存在そのものが記号に見えてしまうのだ。
 人種的偏見に凝り固まった頑固親父を演じたベテランの人は、彼の役のクライマックス部分の着地点が台本でもおそらくもっとも弱い部分であるため、残念な終わり方をしていてもったいなかった。相場よりかなり高い入場料をものともしなかった観客はこの人のファンが多かったようなので余計に。打ち砕かれたその後、をどう見せるかというのは難問なのだけれど。他には自信なさげに話す主婦?らしき9番(細かい点を見逃さないのがこの人で、だからだんだん発言が力強くなってくる)の少しずつ光を増していく演技に注目した。波咲まこ。もっと別の芝居でも観てみたい。
 日頃ミュージカルを見慣れていない層には、始めと終わりの歌という「枠」は余計に感じられたろうと思い、亭主殿に振ったらばはたしてそうであった。私は観るのも演るのも大好きだったからアリだったし、四季出身者がほとんどを占めるあの人たちとしては寧ろ無いと落ち着かないのではと説明しておく。歌自体はできが良く、キャッチーなので覚えやすく、アンコールでは私も口パクで歌っていた。でも芝居としては父子の葛藤をほどくことへ一歩踏み出した3番の退場で幕切れ、のほうが余韻が残ったとは思う。観客にその後の彼らの人生についていろいろ考えてもらうにもそのほうが良かった。歌は、それに力があればあるほど、情緒的な感動へ観客を強引にさらっていってしまうから。極上のエンターテインメント、であるのはもちろんのこと、日本のオフブロードウェイ的作品の提供を考えているのなら、知的な刺激を喚起し続けることはとても重要。

 通常よりかなり高いチケット代は、観客に「出資者」にもなってほしいという考えのあらわれだそう。余剰分は若い世代(つまり研究生。今回は回り舞台を人力で!動かす黒子、裁判所の係官など)が演劇を学ぶその育成に使われるという。当然ながら次回作の製作にも。ということは今回の公演はトライアウトですか? それならアンケート用紙もきちんと付けとかなきゃ。ファンレターだけ読んでても、ねえ。
 ワークショップを通して芝居を創ってゆくというやり方(やはりイギリス式の野田地図以外はあまり聞かない)他、今はまだ人から聞き返されたり同じことを繰り返し説明したりの連続で、要らぬ気苦労も多そうだけれど、主宰の望月氏にはがんばってほしい。
 
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  監督 シドニー・ルメット

  脚本 レジナルド・ローズ

  製作・主演 ヘンリー・フォンダ


 54年テレビ版(エミー賞)→55年舞台版→57年映画版(ベルリン金熊賞)という流れ。90年代にテレビ版リメイク(ジャック・レモン主演)、21世紀に入ってからブロードウェイで大ヒット、トニー賞のリバイバル作品賞を受賞している。

 言葉ひとつで他の登場人物(含む観客)を説得していくという本質の部分で演劇の基本に立ち返ったところが、役者にとっては大いなる挑戦。芝居はなんといっても「言葉、言葉、言葉」なのである。そして三一致の法則の極北でもあることが、演出家さらには作者を刺激するのだろう。古典としての「十二人の怒れる男」の力を再確認した舞台でもあった。

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最終更新日  2011.04.01 18:28:40
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