3964982 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

想い出は心の宝石箱に。。。

想い出は心の宝石箱に。。。

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2014.11.26
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類


にほんブログ村

 

 

 

                                        第八章


 

     機内に流れる<美しく青きドナウ>の曲と共に、オーストリア航空機は駐機場へと

     ゆっくり進む。このワルツは、ヨハン・シュトラウス2世によって、1867年に作曲

     された。オーストリアでは< 第二の国歌 >として、誰からも親しまれているもの

     である。

    

 

                     

                         

 

 
     ヴィエナ空港(ウイーンのドイツ語読み)で BMWをレンタカーし、トミーは市内

     中心部へと向かった。


   養父アンドレ・ニコライエフ以外、心を許せる人間がいない彼にとって、
同じように

     両親を亡くし、天涯孤独であるカテリーナと、関係が次第に深くなっていったのは、

     当然の流れであったのかもしれない。クリスマス・マーケットで知り合ったその晩

     の抱擁が、若い二人の愛を確かなものにしたのも、また事実であった。


   カテリーナに、未だ絶頂感は訪れはしなかったが、朝がくるまで
お互いを激しく

     求め合った。窓辺から差し込む朝日の中で、トミーに体を預け寝息をたてる彼女を見て

     いると、彼の乾ききった心に幸せと安らぎが、いつも訪れるのであった。



                      



   ウイーンの街中は、武田梨華とウイーンフィルの初共演の噂でもちきりで
ある。

     梨華の憂いをたたえた美しさ、そして長い黒髪を乱しての演奏が、東洋の神秘として

     異国の人々を、恒に魅了したのだった。また聴く者の胸をどきどきさせるルバートの妙、

     ため息のでるようなピアニッシモ、音色の無限の変化、その自由自在な演奏に対し、

     多くの音楽評論家達が絶賛した。

   

 



     カテリーナはクラシックに造詣が深く、ピアノ協奏曲の中でも慣例に反し、
第一楽章が

     ピアノの独奏で始まる、ヴェートーベンの5番をこよなく愛していた。カテリーナが是非

     行きたいというので、音楽に興味のないトミーも、しかたなくついていく事とした。



   ムジークフェアラインは、立錐の余地もないほどの盛況で、アバドの指揮に
よって、

     ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番が演奏された。


 

                          

       




    スタンデイング・オべーションで聴衆の拍手は鳴りやまず、梨華はカーテンコールに、

      幾度となく応じていた。音楽そのものは、トミーにはよくわからなかったが、自分と

      同質の< 孤独と虚無感 >を、梨華の姿に強く感じたのであった。そしてなぜか、

      同じゆりかごの中で、寝ていたような懐かしさと共に・・・・



 

                         

 



    演奏会の興奮覚めやらぬ人々に混じり、地下のレストランで二人は遅い夕食をとった。

    ウインナーシュニチッエル、日本人の口にもあう牛肉のカツレツで、
オーストリアの

      代表的な料理である。トミーは料理を口に運びながら、今回の重要な任務につき

      カテリーナに、話すべきか迷っていた。最初の出逢いからして、トミーが危険な仕事に

      携わっている事を、カテリーナは気づいていたが、自分からそれを尋ねることはなかった。

 

    この任務が無事終わったら、カテリーナと結婚しょうと、トミーは決めていた。

  素敵な音楽、おいしい食事、そして愛するトミーがそばにいることで、カテリーナは

      幸せそのものであった。


    
  食事が終わり、デザートとコーヒーが運ばれてきた。トミーは、ポケットからプレゼント

      の小箱を出すと、カテリーナに渡した。カテリーナが嬉しそうに箱を開けると、星形の

      ペンダントが入っている。トミーはそのペンダントを、カテリーナの細い首にかけてやった。

 

 

                               



     揺れるローソクの炎で、夜空にちりばめられた星のように、それは輝きをました・・・・  

       

         

つづく~  いぬ    いぬ

 

 

                        ブログ村ランキング、参加しています。

                            下の画像を応援クリックしてね。

                                          ↓

                          

 


 

 







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014.11.27 01:14:59
コメント(31) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.