まだできることはある
2011年3月11日東北地方を襲った大地震と津波、そして原発事故による避難勧告。4月20日に予定していた春のファッションプロモーションは自粛か実施か議論しました。アーティスト遠山由美さんが般若心経の解体文字をデザインした赤いアクリル作品をキービジュアルに、全館チャリティーのつもりで実施しようとなりました。ルイヴィトンのマーク・ジェイコブス、靴デザイナーのクリスチャン・ルブタンはじめ世界各国のクリエイターからチャリティーグッズがたくさん届きました。反響は大きく、お客様も被災地の皆さんも全館チャリティーに喜んでくださいました。(遠山由美さんの作品をベースにしたキービジュアル)半年後の2011年10月、長年のライバル三越銀座店との初めてのコラボイベントGINZA FASHION WEEKを開催。自粛ムードで暗くなった銀座を元気にしよう、地方の産地を元気にしようと、両社のロゴ入りショッパーを作り、買い物は松屋でもノベルティーは三越でレシートと交換可能、松屋のウインドーに三越の商品を飾る、あるいはその逆も。とにかく面白い試みを一緒にやってみましょうう、と。現場の担当者たちが考えた「織る松屋 編む三越」のキャッチコピーはなかなか秀逸でした。震災から1年後の2012年3月、今度はGINZA FASHION WEEKのバージョンアップ、ジャパンデニムの素晴らしさを世界に向け発信しようと歩行者天国初のファッションショーGINZA RUNWAYを開催。広告代理店を入れず両社の社員を総動員。あいにく朝から雨でしたが、開演10分前に雨はあがり、東北のちびっ子と経済産業大臣が登場したラストシーンでは眩しい太陽、とても感動的でした。上空からのフィナーレ写真、どこがランウェイ、どこが客席、どこが歩道かわからない大盛況。PR協力してくれた東京メトロも普段より乗降客が増えて喜んでくれました。テレビ各局はそろって夕方のニュース、主要新聞は翌日朝刊で写真入り報道、まさに「事件」でした。これら3つのイベントをみんなで実現することができ、百貨店にはまだまだできることがある、と確信しました。その思いはいまも変わりません。