「セクハラCM」 公開中止騒動に見る、 「論点すり替え」 批判の不毛
気まぐれ労務ネタ。 ちょっと古い記事からなんだが…。「ルミネ」 がウェブCM として公開した動画が、一部からのクレームで公開中止に追い込まれたという話題。実際の動画は既に削除されているので、J-CAST の記事による説明をそのままコピペさせていただく。*********************☆ 上司のセクハラ言動や価値観に迎合している ルミネの「働く女性応援CM」に批判、謝罪に追い込まれる<記事からの引用> 会社勤めの若い女性「ヨシノさん」を主人公にしたストーリー仕立ての動画で、第1話では男性上司とのやりとりが展開される。ある日の朝、上司は出社中のヨシノさんを見るなり「なんか顔疲れてんなぁ、残業?」と聞く。「いや...普通に寝ましたけど」と答えると「寝てそれ?あっははは」と失礼な一言。ヨシノさんは表情を曇らせる。 社内に入ると、2人の前を可愛らしい同僚女性が通りかかる。同僚女性は茶髪のロングヘアで、花柄スカート&オレンジのアンサンブルニットといういかにも女性らしい見た目。一方のヨシノさんは、ボーダートップスに白パンツ、ベージュのトレンチコートと全体的にメンズライクなファッションだ。 上司は同僚女性に「髪切った?」と声をかけた後、「やっぱかわいいなあの子」とつぶやく。ヨシノさんは「そうですねぇ、いい子だし」と合わせるのだが、その様子が自信なげだったためからか、上司は「だーいじょぶだよ、ヨシノとは『需要』が違うんだから」と「フォロー」してみせる。動画ではここで丁寧に「需要」という言葉について「求められること。この場合、『単なる仕事仲間』であり『職場の華』ではないという揶揄」との説明が入る。 ずいぶんと無神経な上司だが、ヨシノさんは腹を立てることなく「最近、サボってた?」と自問。そこで「変わりたい?変わらなきゃ」というルミネのメッセージが打ち出され、動画は終了する。 同時に公開された第2話は第1話の続編となっている。・・・<以下略・引用おわり>*********************こういう事態になると、クレームをした女性らに対する批判が必ず出てくる。この記事に対しても、一見 「もっとも」 っぽいものから、 「支離滅裂」 なものまで、様々な批判コメントが書き込まれ、半ば喧嘩腰の議論が展開されている。全てまともに読むとバカバカしいので斜め読みしかしてないが、目についた 「CM 擁護派」 のコメントに対して、ちょいと、この場で反論したい (この場で反論しても何の意味もないが、件の記事の議論はとっくに終わっているので、あくまで自己満足の為に…)。●「クレームは過剰反応だ」というご意見→ 「たかが、おふざけCM に目くじら立てるな (これだから女はめんどくせぇ)」 ってことなんだろうが (この手の騒動にムキになる男の方も、かなりめんどくせえヤツだと思うが)、では女性は、いつ、誰に 「目くじら」 を立てればいいのかね? 現実社会では、もっとヒドいことを言われても、殆どの女性は我慢してるんだろうと思うが。実際に上司に言い返したり、裁判沙汰にすれば、それこそ社内外から激しく個人攻撃されるだろう。せめて、公のCMくらい 良識のあるものを作ってくれよ、と意見して何が悪いのか (的外れなクレームなら、企業側が無視すれば良いだけの話だ)。●「女だって、男を見た目で差別するだろう」 という、論点のすり替え→ 「管理・評価する側」 (日本では未だ、圧倒的に “男性” が多い) の発言と、 「若い女性ヒラ社員」 の陰口レベルの発言・思考とを同列にする時点で、問題の本質を理解できてない (或いは意図的にねじ曲げるのがウマい) 人たちだ。●「見た目をキレイに…と努力するのは女として当然で何が問題か分からない」という、ご意見(女性からも)→ だーかーらぁ、 「キレイにするべき」 とか 「しなくていい」 とか、論点はソコじゃないっつうの。 「上司 (評価する側の人) が部下に言っていいことかどうか」 が問題なんでしょーが。よっぽど職場に相応しくない服装を注意されるならともかく、男好みのおしゃれ (フェミニン) かどうかで優劣をつけられてる… と感じさせる 「上司からの」発言が、セクハラじゃなくて何なのよ?●「この程度の発言がセクハラになるなら、女性に対して何も言えなくなる」 等々→ そもそも、このCM の上司の発言が 「全くセクハラと思わない」 と本気で思っている人とは、何を話し合っても無駄… という気がするが、私自身、実際に上司から同様のことを言われたら、大して気にも留めずに笑い飛ばしているかもしれない。 私の若い頃は 「セクハラ」 なんて言葉自体、一般化していなかった時代。 この程度でメゲてはいられなかったのも事実だ。また、受け止める側の意識で、許されたり許されなかったりが変わることも多少はあろう。 そこそこ美人が相手なら 「冗談」 で済む発言も、不美人だとシャレにならない場合もあるかもしれない。とは言え、やはり、 「世間一般で許されているから」、「見逃されているから」 と言って、公のCM でやってもいいってわけではないのだ。こうしたCM を子供や学生が観れば、 「女は職場でも見た目で評価される」 と深層心理に刷り込まれるかもしれないし、一部のバカな男は 「この位なら言ってもセーフなんだ」 とか、 「生意気な女には、こういう言い方で攻撃すれば、おとなしくなるんだ」などと都合よく解釈するかもしれない。それ以前に、女性がターゲットのCM で、当の女性の多くが不快に思うなら、単純に、宣伝として不適切だろう (ルミネで物を買わない ネトウヨ男たちの擁護など、ルミネにとってすら無意味だ)。アウトだろうがセーフだろうが セクハラの可能性のある上司の発言 (というか、このCM の場合は、どう見てもアウトだと思うが) に唯々諾々と迎合してしまうこのヒロインの姿を通して、 「女は “馬鹿で素直” が正解」と言われているに等しいのだから。つまり、寧ろ、この上司の (冗談としても面白くも何ともない) セクハラ発言そのものよりも、若い女性社員が、 「上司や男の言いなり」 になろうとしている (= 女は男の価値観に従えば幸せになれると、女性自らが気付く)… という描写の方が問題なのだ。その論点も理解できずに、 「女の方が差別的」 だの、「女を優遇して男を逆差別しようとしてる」 だの、トンチンカンなコメントしてる人は、セクハラ云々論ずる前に、己の被害妄想をナンとかせい、と言いたい。仮に、CM の上司役が女で部下役が男だとしたら、それほど問題にならないかもしれないが、それは、世間一般では女性管理職の存在がまだまだレアであり、女性上司にセクハラされる男の当事者が、数的に圧倒的に少ないからだ。 男性というだけで何かと有利である社会的な現状があるから、視聴者も 「目くじら」立てないだけで、当然、男女を入れ替えたCM なら許されるというわけではない。ここまで言っても、 「実際に、色気や可愛さを武器にして仕事してる女は多いしぃ」… などと言い返すんだろうな、Jキャスのコメンテーターさん達は。だからね、男 (上司) がまず、そーゆー女を優遇してきた歴史的背景があってだね…、、、(以下同文。 多分、永遠に平行線)そんなCMを、一応は教養ある社員が揃っていそうな、大手の流通企業や広告代理店が、今どき平然と製作して公開したという現実に、多くの女性が心底ガッカリしたのだろう。【楽天ブックスならいつでも送料無料】疑問スッキリ!セクハラ相談の基本と実際 [ 周藤由美子 ]価格:1,080円(税込、送料込)【楽天ブックスならいつでも送料無料】弁護士が教えるセクハラ対策ルールブック [ 山田秀雄(弁...価格:1,028円(税込、送料込)