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2021年11月29日
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カテゴリ:共産主義史話

――これまで共産主義という実験とその歴史を振り返ってきました。この実験から、どのような教訓を得ることができるでしょうか。


 まず、共産主義の歴史は悲劇です。おそらく世界の歴史において最大の悲劇の一つとなるでしょう。共産主義思想が希望するものは何でしょうか。理想に対する夢です。誰であれ生きがいを持ち幸福に住むことができるという夢であり、この夢を信じる人たちはすべての問題を短期間のうちに奇跡的に解決できると考えました。彼らにとって共産主義思想は、社会理論よりも宗教のような役割を行いました。彼らはこの目的を達成するために、自分の命まで捨てることができましたが、他の人の生命は価値がないと考えたのです。そうであったため、共産主義思想が崇高な思想として始まったのですが、多くの血を流しました。しかし、これより重要なことは、この巨大な実験が凄惨な失敗に終わったということです。


――具体的にどのような失敗でしょうか。


 最大の失敗は経済的に失敗です。マルクスとレーニンなど共産主義理論の創始者は、彼らが望む新たな社会がとても速い経済発展と物質的な発展をもたらすものだと考えました。しかし、それは失敗でした。


 もちろん共産主義革命の直後、共産主義国家は当初は早い成長を遂げました。しかしこの成長は15~20年だけでした。それ以降、沈滞しました。結局、時間が経てば経つほど社会主義国家と資本主義国家の経済水準の格差は広がっていきます。最もよいケースが、韓国のような分断国家の経験です。東ドイツと西ドイツは分断当時の経済水準は同等でしたが、30年後には2,3倍の格差が開きました。分断直前の北朝鮮は韓国より生活はよかった。ところが今となっては韓国は北朝鮮より1人当たり所得が25倍多いのです。


――共産主義国家の経済的失敗の原因は何でしょうか。このような経済失敗を招いたのは誰の責任だとみることができますか。


 特定個人の責任というよりは、まさに共産主義理論家が希望する社会、経済構造が招いた避けられない結果です。マルクスなど共産主義理論家は、社会におけるすべての問題の基本的な原因が私有財産にあると考えました。彼らは私有財産をなくし、国有・共有財産にすれば社会的矛盾が消えると思ったのです。


 しかし、これは誤った考えでした。市場経済と私有財産がなくては、こんにちのような経済が発展できません。簡単に言えば、人たちは思想のせいで長い間、熱心に働くことができませんでした。しかも、市場がない経済では歪曲された結果も避けられませんでした。現在の需要と供給の原則ほど、経済を調整する重要な原理はありません。このため、共産主義の失敗はどの個人のせいではないのです。


 一つの例として、牛車は自動車ほど速く動けません。牛車がそうなのは、運転手の過ちではありません。これはまさに基本的な構造のためです。


――それならば、幹部と国民に思想教育をたくさん行えば、ある程度成功したのではありませんか。


 違います。結果は残らなかったでしょう。思想教育をきちんと行えば人たちが責任感を持って働くことができるようになると考える社会主義指導者は多かったのですが、それでも違います。もちろん当初は思想教育で熱心に働くことはできます。とはいえ、長い間できるわけがありません。さらには、共産主義の失敗をまねたいたことは労働者と幹部が熱心に働かなかっただけでなく、共産主義経済の内部矛盾と不均衡のためです。したがって、社会主義は失敗しました。数千年後に国家を中心とする経済、私有財産のない経済が可能になるかも知れませんが、現在では確実に不可能です。


――それでも共産主義国家が強力な軍事力と重工業などを持っているではありませんか。かつてのソ連は一時、米国を脅かす超強大国でした。


 それは事実です。共産主義理論に基づいたソ連式社会主義は大失敗でしたが、それでもよかった点がありました。いくつかの長所の一つは、政府が重要視する分野に支援と技術、労働力を集中させ、市場経済国家よりもよりよい成果を得ることができるという点です。


 例えばソ連は宇宙船や核兵器、大陸間弾道ミサイルをつくりました。共産国家は平和を標榜しましたが、軍国主義の性格がとても強かった。そのため、軍事技術や兵器技術をとても重要に考えて、武器と軍事力に多くの資源を投入しました。そのため、時々は成功しました。しかし、国家はすべてのことをきちんとしなければなりません。実際に、政治局や党中央政府が毎日直接熱心に監視できる分野だけは成功したのです。宇宙船や核兵器があるといっても、他の多くの分野では成果を出せませんでした。消費財の質もとても低かった。


 だからこそ、共産国家は革命当時の経済水準が同等な他の資本主義国家よりも徐々に後れを取ったのです。核兵器はこの問題を解決するためになんら役に立ちませんでした。


――確かに共産主義経済は失敗でした。それならば、共産主義国家の政治はどうだったでしょうか。すべてが独裁国家ではありませんでしたか。


 そうです。興味深いことに、共産主義の創始者らは独裁国家を作る考えはありませんでした。しかも、彼らは共産主義国家で「ブルジョア民主主義」より真の民主政治が行えるとも考えていました。


 もちろん、われわれが知っている通り、これは夢のような主張でした。共産主義国家は正しい政党は一つしかないと主張し、一党制を構築したため、政治討論と対立が不可能な体制が生まれました。しかも、国家が経済活動を監督し党勢するため、政府に反対する勢力であれば支援を受けることができませんでした。結局、共産主義国家はすべて独裁国家となりました。しかも、1人独裁が生じる可能性が比較的高かった。また共産主義国家では19世紀に完璧な社会を夢見ていた人たちが予測できなかったことまで生じました。身分制度が事実上、復活したことです。


――共産主義理論は階級や身分制度の打破を主張したのではありませんか。


 その通りです。共産主義革命以降、地主や資本家、反動分子は深刻な差別を受け、労働者と貧農出身に特権が生まれました。そしてその後に幹部が登場しましたが、彼らには特権が多く、世襲する傾向がありました。幹部は自分の息子の出世を望み、農民や労働者の息子の発展を妨害しました。もちろん、このような傾向は社会主義国家だけでなく世界どこでも見られることではありますが、逆説的に平等を謳った社会主義国でこのような光景がよく見られるようになったのです。

(RFA、2020年9月8日)

 





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最終更新日  2021年11月29日 11時00分06秒
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