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2021年12月02日
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カテゴリ:共産主義史話

――これまで共産主義の歴史を振り返ってきましたが、共産主義に対する総合的な話を最後にしてみようと思います。1848年にマルクスが共産党宣言を発表してから約170年を超えました。「共産主義」はいったい何だったのでしょうか。


 共産主義とは、なによりも「奇跡に対する夢」だったのです。マルクスなど初期の共産主義思想家は、自分が歴史を決定する法則を発見したと思い、人類の未来を予測できると考えました。さらには、彼らは完璧な社会を建設しようとする希望を持ちました。不平等のない社会、誰でも生きがいを持って平等に住む社会、戦争がない社会をつくろうという趣旨でした。とくに当時は、初期資本主義の時代において、今日では想像もできない不平等と過酷な労働条件があり、このような状況で多くの人は共産主義の夢を信じるようになりました。当時の状況を考えると、ある程度納得できることです。


――マルクスが「共産党宣言」を出版して70年過ぎた時、ついに10月革命が起きて世界最初の共産主義国家ソ連が登場しました。しかしソ連で繰り広げられたことは、大粛清と飢饉でしたね。


 そうです。革命が起きたとき、ロシアの人口は1億5000万でした。飢饉や処刑、獄死でほぼ1000万人が亡くなりました。より大きな問題は、マルクスやレーニンなどの革命家が希望していた奇跡のような経済発展が起きなかったことです。ソ連でも、また他の国でも経済成長はそれほど悪くなったのですが、市場経済の国と比べると成長率は低くとどまりました。マルクスの希望とは違い、共産主義は軌跡のような経済発展と人民の生活の飛躍的な向上を成し遂げることができませんでした。これは共産主義の終末を招いた核心的な要素でした。


――ところで、マルクスは共産主義革命は後進的な帝政ロシアではなく、先進国である英国やフランスのような国で起きると予言しましたね。もし英国やフランスで共産主義革命がおきたとすれば、どうなったでしょうか。


 おもしろい質問ですね。19世紀末、20世紀初頭の英国やフランス、ドイツで共産主義革命が起きたであろう可能性はわずかですが、それでもそれなりの確率がありました。これらの国で共産革命が起きたとすれば、ソ連とはそれほど変わらない結果となったでしょう。言い換えれば、これら国家で共産革命が起きれば、経済発展の速度が実際の歴史より遅れ、また民主政治を廃止し共産党の独裁が生じたでしょう。一方でマルクスは、社会主義国はお互い友人となると主張しています。当然、社会主義の英国と社会主義のドイツは競争したでしょうね。


――マルクスが「共産党宣言」を発表してから70年後に10月革命が起き、ソ連が誕生して70年後に共産主義陣営が崩壊しました。これは偶然でしょうか。


 おおよそ偶然でしょう。実際に、ソ連の場合、すでに1960年代になって社会主義に対する期待が急速に萎みました。1970年代になるとポーランドとブルガリアのような東欧の人たちは、社会主義国が資本主義国より生活が厳しいことをよくわかっていました。社会主義経済資本主義経済と競争できないため、共産主義の崩壊は時間の問題でした。共産主義陣営は80年間維持できたかもしれませんが、50年で崩壊したこともありえたのです。


――共産主義陣営が崩壊して30年経ちました。今日のロシアでソ連崩壊後に生まれた若者たちは、社会主義をどう考えているでしょうか。


 おおよそ3つに分類できます。ある人は社会主義を懐かしみ、共産主義勢力を夢見ていますが、このような若者はごく少数です。現在のロシアで社会主義時代を懐かしむ人たちは、主に高齢者です。ある若者は社会主義を懐かしく思いますが、ソ連時代の世界覇権を主張していた超強大国ソ連を懐かしんでいます。例えば、現在のロシアでスターリンの人気が高い。それは、社会主義経済のためではなく超強大国、強力な軍事力をつくったためです。3番目の若者は、共産主義を悪夢だったと考え、とんでもないと考える人たち。彼らが多数です。


――共産主義は一つの失敗した実験だと表現しても過言ではないように思えます。さらに、ロシアなどかつての共産主義国家でも社会主義を懐かしむ人たちがそれほど多くないようですね。ところで、最近の米メディアの報道によれば、米国の若者たちの中には社会主義を好意的に考えているというものがありました。なぜそうなのでしょうか。


 まず最初に、米国の若者たちが考える社会主義は、われわれが振り返った共産主義とは距離があるものです。例えば、そのような若者たちは誰もが首領であるオバマの労作を覚えなければならず、民主党だけが唯一の政党であり、旅行証がなくては他の都市にも行けず、幹部でなければ海外旅行さえ夢見ることができない国を想像できません。


 米国の若者たちが考える社会主義は、かつてのソ連や中国、北朝鮮ではありません。彼らにとって社会主義は、主に北欧のような国、オーストラリアのような国の体制です。すなわち、今日、米国よりも福祉政策が多く社会の両極化が小さい国です。


 彼らが社会主義に対して好意的になったのは、それほど驚くことではありません。米国は他の資本主義国と比べ貧富の差が激しく、福祉政策が多くありません。英国やフランスと比べると、米国の貧富の格差はとても大きいのです。


――今でも共産党が政権を握っているのは中国やベトナム、キューバ、ラオス、北朝鮮といった程度です。ところがこれらの国はすでに共産国家ではありませんよね。


 これらの国はもともと共産主義国家でした。しかし今では事実上、共産体制を放棄しました。共産主義は自分たちの独裁政治を合理化し、住民を思想的に統制するための手段です。中国共産党は依然として社会主義を云々しますが、中国の幹部らの絶対多数は金をとても好むひどい資本主義者です。


――今後、共産主義、すなわちマルクス・レーニン主義勢力が世界のどこかで再び権力を握る日が来るでしょうか。


 来ないでしょう。共産主義は構造的な問題、つまり修理できない問題があまりにも多く、問題を修正する希望もありませんでした。もちろん現在でも、いくつかの先進国でごく少数の知識人が共産主義団体を維持しています。彼らが考える共産主義には、スターリン式の共産主義もトロツキー式の共産主義も、毛沢東式の共産主義もあります。しかし、彼らは今後も影響力はないでしょう。

(RFA、2020年9月29日)






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最終更新日  2023年12月01日 09時45分41秒
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