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シン・足立淳のブログ彼岸花

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2009/10/15
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カテゴリ:イラストコラム
 はっきりいって、あなどっていた。

 「讃岐うどん 條辺」、こんなに美味い店だとは思わなかった。

 元巨人の投手・條辺剛(じょうべ つよし)が、プロ野球選手を引退した後、讃岐うどんの店を開いた、という話は、風の噂で聞いていた。テレビで引退後を追いかけたドキュメントも放送していたように思う。

 が、そんな店ってどうせ話題作りだろうとか、テレビの企画だろうとか、軽く思っていて、まあたぶん一度も行くことはないんだろうなと思っていた。場所も埼玉の上福岡(東武東上線)という、けっこう離れた所だし。

 がしかし、「讃岐うどん漫画家」という肩書きを挙げた以上、一度は食べておこうかな、と思い立ち、行ってきたのです。

 すると、それがまあ、とても美味かった、と。書かずにはいられない、と。

 上福岡の駅を降りて、北口の「八雲通り商店街」入ってすぐを左側。「條辺」と書かれたのれんをくぐって店に入ると、店内は程よい広さ(もしくは狭さ)。右の厨房には、うどんを打っている大男の広い背中。注文のシステムは「セルフ式」で、天ぷらを取り、注文を告げて会計。うどんの種類はかけ、しょうゆ、つけなど豊富。「湯だめ」があるのが珍しかった。大きさは「1玉、2玉、3玉」と頼む。私が頼んだのは「ひやかけの2玉、プラスれんこん天とゲソ天」。

 出てきたうどんは、色が薄くてほぼ透明なダシに、真っ白でツヤのあるうどんが入っている、典型的な「讃岐うどん」。見ただけで「これ、もしかすると、ムチャクチャ美味いんじゃないか?」と思わせるルックスだ。ルックスって。そして食べてみると、その見た目(あ、ルックスじゃなくて見た目って言えばよかったのか。すみません、まだこうふんしているもので)を決して裏切らず、プチン、プチンと口の中で主張する噛みごたえ、そしてコシ。イリコの効いたダシ。天ぷらも美味い。特にコロモの揚がり具合が、サクサクではなく、パリパリでもなく、イラストにあるように「シャクシャク」した感じだ(分からんか)。見ると、厨房の中で女性の店員がコロモを付けて揚げている。厨房の中でうどんを打っている主人の姿の見える店は数あるが、天ぷらを揚げている所まで見えるのはここだけじゃなかろうか。

 落ちついて店内を見渡すと、「條辺 長嶋茂雄」と書かれたサインがある。ほほー、てことは表ののれんも「題字 長嶋茂雄」なんだ(このへんのネタは多分テレビでさんざん紹介されただろうな)。自分が店に入ったのは午前11時半ころだが、食べ終わる頃には背広を着たサラリーマンが続々と店に入ってきた。開店してまだ1年半だけど、着実に地元に根付いているんだろうなあ。この美味さだし。

 「條辺」のサイトを見ると、開店する前に1年の間「中西」で修業していたんだそうだ。「中西」って、「なかにし」か。高松の。そこで修業して「のれん分け」してもらったのか。美味いはずだ。川崎の「綾」の主人は、「あたりや」の弟子。そして「條辺」は「なかにし」の弟子。田尾さんも言っているけど、どこで修業したかって大事だな。 條辺投手って、期待されたけど芽が出ずに、若いうちに引退した選手だ。体力があるけど、挫折を知ったからこそ、修業に耐えることができたんだろう。

 もしかしてうどん屋というのは、プロ野球選手の「第2の人生」として最適なのかもしれない。

 元プロ野球選手よ、今すぐ讃岐うどんの門を叩け! 條辺に続け!

57-1.jpg

 そんなわけで、讃岐うどん漫画家の足立淳でした。





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Last updated  2009/10/15 01:46:04 AM
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