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カテゴリ:映画・テレビ
私はかつて芸能界随一のプレイボーイと言われ、たびたび話題になった火野正平(ひの・しょうへい)氏に、どちらかというと好感を持っている。
一日の喫煙本数70本という豪傑でもある。 常に脇役に徹し、その演技・間の取り方のうまさは見事だと評価する。ドラマにおける脇役の存在は欠かせぬものである。 さて、ここでは火野正平氏のことを細かくつづる目的はない。彼が交際した多くの芸能界の関連女優のうち、『望月真理子』さんが出演した一つのテレビドラマについて書く。 なお、一時彼女の病死がウィキペディアで公表されていたが、現在は消息不明と訂正されている。芸能界を退いてはいるが、ご存命であることを願う。 私の記憶に間違いなければ、当時CMで、博多人形を引き合いに出して、「きれいな人」とのナレーションと共に出演していたことがあった。 望月真理子さんの姿を毎回堪能出来るドラマに、1976年、昭和51年放送の『遥かなる海』という連続ものがあった。 私が見たのは地元に帰ってから毎朝再放送された1983年、昭和58年のものであるが、眉間にほくろのある美人で、彼女の清潔感あふれる演技が心地よく、遅い朝食をとりながらの日課に安らぎをもたらしてくれた。 偉そうに言うではないが、私は芸能人の私生活とドラマの中の生活の姿とを比較したり評価したりしないことにしている。 いっとき、アダルト・ビデオの人気女優にさえ、楚々としたなどと形容する傾向が盛んだったが、アダルト専門の女共と、一般ドラマに出る女優とでは、大差がある。 楚々とした美人とは、特に「遥かなる海」に出演の望月真理子さんに相応しいと感じたものである。 木下恵介氏の「人間の歌シリーズ」の一ドラマであるが、私にとっては、他を引き離す佳作と映った。これは全26話中、第11話くらいからようやく録画したが、それ以後の全話をVHSテープに録画したまま、とりあえず保存してある。 私が毎朝見た時でさえ昭和58年だから、30年の歳月が過ぎているが、折に触れ印象深く思い出すドラマである。 放映キー局のTBSには当然保管してあると察するが、昭和40~50年代の比較的裕福な家庭像を描いたドラマとして、DVD化などの価値あるものと思う。 現にネット検索すると、質問と回答の欄の一つに、本作品うろ覚えだが主題歌と共に懐かしさをぬぐえないといった意味の文章が見つかる。 この「遥かなる海」のドラマ情報も別ページに見られるが、DVD化を望む人々が少数ながら存在する。 恐らく当時のビデオを保管している人はかなり少ないだろう。それゆえ、DVD販売を望む声がわずかながらあると察する。 「遥かなる海」文庫本 物語の背景には先の戦争がある。我が国の映画監督の9割以上は左翼思想とチャンネル桜でいつだったか説明したのを覚えているし、その通りだと思う。 ただし、チャンネル桜の水島総(みずしま・さとる)社長は西郷隆盛の如き、愛国者であってなお、思想寛容な人で、ご自身映画・テレビ畑で鍛えた創作力の持ち主でもあるから、良い作品を認める姿勢に好感が持てる。 さて、話題を戻す。出来ぬことを書いても無駄だろうが、私に技術があったら、ドラマの一部でもYOU TUBEに公表し、著作権侵害等で削除される束の間でも、懐かしむかたがたに、ご覧に入れたいところだが、残念である。その代わりと言って良いかどうか、この機会に、私自身うろ覚えであるが、ドラマの内容をなるべくダイジェストして書いてみる。 私は大東亜戦争をやむなき自衛の戦争だったと主張するものであり、それゆえにチャンネル桜二千人委員会の末席にも置いていただいているが、戦争が人の運命を翻弄するのも事実であり、このドラマが戦争の影の部分を引きずっていることには、反感も異論もない。物語の内容も、戦争そのものへの色濃き批判性はほとんど描かれていない。 なお、劇中登場人物には無論名前があるが、今回のこの文章では、細大もらさず明記出来ないかも知れず、開き直るではないが、ドラマの内容を重点的に描くこととするので、人名表記・施設表記に誤りがあるかも知れない。また、場合によって、文中敬称略とするかも知れない。特に会社名などの表記は不明な箇所を例えばひらがなで書くしかない。 また、ドラマ第10話以前を全く見ていないから、全体の流れと結末の様子から推測を余儀なくされる面も出て来る。ただし、半分以上見ていないならともかく、第10話は推測可能と独断出来る。ついでに書いておくと、本作品は、冒頭に前話の主な場面とナレーションが入り、実質第10話までを見ていなくとも、あらすじがわかる。 テレビドラマ・小説では、物語を時に劇的に見せるために、必ずしも時系列で描写しないことが多い。しかし、ここでは「遥かなる海」の物語進行を、時間・時代の順に描き、せっかくお読み下さるかたに混乱を生じさせないよう努めたい。 真山仙三(まやま・せんぞう『小林桂樹(こばやし・けいじゅ)』)は、若き日、山野辺春江(やまのべ・はるえ『渡辺美佐子(わたなべ・みさこ)』)と恋仲になり、彼女の家に養子に入って、山野辺姓となって所帯を持ち、一子・洋一(よういち『古谷一行(ふるや・いっこう』)をもうけるが、まもなく召集で出征する。 激戦のニューギニア戦線で転戦のさいちゅう、輸送船・金平丸(かねひらまる)に乗っていた時に米軍の攻撃で沈没し、山野辺仙三・島岡平八((しまおか・へいはち『芦屋雁之助(あしや・がんのすけ)』)・石川伸一(いしかわ・しんいち『織本順吉(おりもと・じゅんきち)』)の三人が海に放り出され、たまたま近くに浮いていた残骸の板切れに順番でつかまり、からくも三人共、生還を果たすが、この極限状況下の順番を巡り争いが起き、石川が板切れから放り出され、死の恐怖と、足を怪我して歩行不自由になった記憶が遺恨となって、仙三に恨みを抱き続ける。 復員すると、仙三は戦死扱いとなっていて、戦後の混乱など様々な事情により、山野辺春江(渡辺美佐子)は再婚しており、仙三もやむなく山野辺の籍を抜いて再婚、妻とのあいだに新たに長男・宏(ひろし『近藤正臣(こんどう・まさおみ)』)を初めとし4人の子をもうけ、さらに真山土建なる小さな建設会社を興して次第に成功し、中堅レベルの立派なビルの会社・とうしん精密へと発展させる。 ここで少し時間が前後するが、真山は再婚後の妻と死別し、真山土建経営時代に、雇用した一人の婦人を後妻に迎えている。これが真山朋子(まやま・ともこ『柳川慶子(やながわ・けいこ)』)であり、本ドラマ全体に仙三の妻として控えめで、かいがいしい働きを見せるのは彼女である。彼女とのあいだには子供はない。 いっぽう、仙三を戦死と知らされ、失意・落胆の中に洋一ひとりを残された山野辺春江も、戸成省二(となり・しょうじ『犬塚弘(いぬづか・ひろし)』)と再婚、彼とのあいだに菜美江(なみえ『丘みつ子』)をもうけた。 つまり仙三からみて、洋一は紛れもなき我が実の息子であるが、菜美江とは血のつながりはない。 戦後混乱期の中から土建会社を興した仙三は、『とうしん精密』へと成長した会社の維持、さらなる発展拡大に精力的であり、たちまちに一代を成した苦労人であるが、運命ゆえに離別せねばならなかった春江への引け目、負い目のような思いもあり、彼女があえて送り込んだと思えても、採用に応募して来た(実は)息子の洋一(古谷一行)を、他人として受け入れることとなった。 仙三の「とうしん精密」には、腹違いの長男、洋一と宏の二人が社員として働くことになる。 春江の子、山野辺洋一は有能な社員であるが、仙三が折に触れ、洋一を優遇し、言わば親の七光りと見られがちなもう一人の息子・宏には、自然つらく当たる形になることは、宏には不満が募る。 さて、全話視聴していないから、このあたりの事情の正確さや詳細が怪しくなるが、ドラマ第11回で「不肖の息子」とのタイトルがあることから推測せねばならない。 宏は父親・仙三に嫌われていると思い込み、自らも次第に、子供の頃から厳し過ぎた父への憎しみを募らせてゆき、遂に「とうしん精密」を去って、家を出て、別居生活をするようになる。さらに春江の娘で、水商売で糊口する菜美江と恋仲になり、アパートで同棲生活を始める。 折から、小さな商事会社などの経営を試みるも失敗続きの石川が、仙三への復讐を遂げようと画策し、父親憎しの念に凝り固まる宏に近づき、仙三の過去を密告し、入れ知恵して、二人の利害が一致し、ここに石川と宏が仙三を陥れんとの計画が持ち上がる。 宏が父・仙三に怒りと脅しに満ちた口調で、電話で迫る場面が見事だ。 「良き社長、良き父親づらしているが、あんたがどれほどよごれた醜い人間かということが良くわかったよ。え ? 真山仙三さん、いや、山野辺仙三さんよ ! 」 その宏は仙三の最初の妻とのあいだに出来た洋一の種違いの妹・菜美江と深い仲である。仙三、春江、さらに仙三の家族たちは、二人の仲を壊したいと思っていた。 ところが、ある日、宏の留守にアパートを訪ねた仙三は、水商売らしからぬ品の良さと物腰の低さを感じさせる菜美江の挙止・言葉づかい、さらに、恋仲の宏に真剣に思いを寄せる様子を見て、それまでの先入観に変化が起きる。 このあたり、本当にテレビドラマがベテラン揃いだった当時の演技の妙に引き込まれる。 アメリカのドラマなら「宏に愛していると伝えて下さい」などと言わせるのだろうか。何を言うか。宏は菜美江に十二分に愛されて足りているではないか。 ま、冗談はさておき、仙三は若い二人の生活は必ずしも楽ばかりではないだろうと察し「少ないが、これで精のつくものでも二人で食べて下さい。それから、住所だけは常にわかるようにしていて下さい。頼みますよ」と告げ、財布の一万円札何枚かを渡して立ち去った。 あとでこのことを聞いた宏の心にゆるやかな変化が起きるが、このあたりもベテラン、近藤正臣氏の演技力だ。ついでに書いておくと、私がまだ高校生の頃大ヒットしたテレビドラマ「柔道一直線」に近藤氏は高校生役で出演しているが、この時彼は28歳で、30に手が届く年齢だった。しかし、ハンサムなだけでなく、近藤正臣氏は、持ちの良い顔立ちの稀有な俳優だ。 そして、この「遥かなる海」では、34歳になっているが、二十歳(はたち)そこそこの若造にしか見えず、それでいて名優の名に悖(もと)らぬ、見事な演技を見せた。 ダイジェストとはいえ、何しろ全26回分をかなり縮めるので、おのずと限界がある。続きをいずれ書きたいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.09.14 22:13:20
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