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Kの迷い道

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城をさまようK

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2010.06.07
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カテゴリ:カテゴリ未分類
なぜ自分がこんなにも今、掃除にはまってしまったのかを自省なう。おそらく論文書いていないからです。私にとって論文書くのは掃除と同じです。いろんな本を読んだり経験したりすると、自分の中に澱のように何かがたまってきます。ぐちゃぐちゃとして気持ちが悪い。そこでそれを排出する行為、これが論文書きです。

とりわけ哲学書の古典を読むと、それが古典であるがゆえに、何かすっきりしないかたちでしか理解できません。そこでそこに手を突っ込み、個々のパーツを分解して、一つ一つを完全に洗い上げ、それを組み上げていきます。分解掃除と同じです。どうにも取れにくい汚れなどがあると、つけ置きです。しばらく放置して、ふたたび洗ってみます。根こそぎ洗うのです。壊れているところがあれば、修理します。色を入れて、汚れやシミが一カ所もないように、ホコリ一つないように、ぴかぴかに磨き上げる。

私が高専生だったころ、夏の初めの時期にプール掃除をやりました。昨年の秋から一度も掃除していないプールや溝を掃除するのです。ヘドロ、動物の死骸、腐った便所、謎の排泄物、とてつもない状況です。ここに手と頭を突っ込んで、泥だらけになってデッキブラシでこすりあげていく。このイメージが、アドルノの翻訳をしているとき、何度も頭をよぎりました。札幌の吹雪の中、当時はインターネットなどなかったので、図書館をめぐります。フロッグコートの上に雪が数センチもびっしりと積もっています。手を伸ばすと、手の先が見えません。そうしたなかで、一つ一つ訪ね歩き、一個一個、疑問点をつぶしていく。

窓を拭くと、完全にきれいになったと思っていても、光線の加減で曇りを見つけることがあります。それと同じで、論文や翻訳もこれで完璧、と思っていても、どこかしらに知覚できないほどの論理の不整合、わずかな飛躍、重複、微妙な曖昧さなどが発見される。そうすると全部ばらして洗い直し、組み直しです。これを延々とやる。何度も何度も。これをやりきれない人は、アカデミックな論文を書くことはできません。

そうすると、岩のような、強固で強靱な論理構造が、まるでそこにある建築物であるかのようにありありと姿を現してくる。感動です。こうなると、もう誰にも手がつけられません。手を加えるところが一カ所たりともなくなる。うんこです。排泄が終わってすっきりします。

掃除は建築行為です。それは生活する自己の不断の再建であるとともに、まったく新しい生の創造でもある。建築物の組み上げにあたって手抜きをすると、時間が経つと土台が腐って崩れてしまう。他人からの批判を受ければなおさら、外から力を加えずとも時間が経つだけで自壊してしまいます。

いまでは自宅のフローリングの床に自分の顔が映るようになりました。掃除はもういい加減にして、論文書かなくては。





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Last updated  2010.06.07 23:12:12
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 杜子春@ Re:頻尿を撃滅せよ(01/25) 頻尿の治療法を探していて、こちらにたど…
 taka@ 気持ち悪い 群れる男性をまったくカッコいいと思いま…
 バーカ@ ププ 群れる奴なんてゲイでしょ やっぱ群れな…
 ひろし@ Re:群れる男はかっこいい 高倉健は渋い、反論は許さん 佐藤浩市みた…
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