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カテゴリ:舞
明治座で、毎年のように公演されている『梅沢武生劇団・梅沢富美男・前川清特別公演』
歌手の前川清氏のファンである母は、この舞台をとても楽しみにしている 今年は、良い席を確保できたので、公演のチケットを母の日のプレゼントとした あの爆笑コンビが、またまた明治座を席巻します! 息の合った掛け合いが見事なお芝居に、魅惑の歌声のオンステージ、舞台でしか聞けない裏話満載の座長口上に、百花繚乱の衣装をまとい妖艶で艶やかな女形の舞踊ショー、さらには巨大怪獣が一挙集結する壮大なステージはまさに圧巻! パワフルで、ダイナミックな舞台に是非ご期待ください (公演チラシより) 3階席までほぼ満員の客席 いかにこの公演が人気があるか見せつけられた瞬間 そんななか、前から2列目の中央寄りの席を確保できたのは、ほんとラッキーだった 開演を待ちわびる観客のざわめきに包まれながら、幕が上がるのを待った 一つ目の演目は、お芝居『忠臣蔵迷々伝―大笑い 宝の入り婿』 主君の仇である吉良上野介を討ち果たす想いを胸に生きる赤穂藩士たちを描いた作品 要所要所で笑いを取りながらも、締めるところは締めるメリハリの効いた展開 でもねぇ… 下ネタはどうかなぁ? しかも、今回はかなり際どいものだった あまりにも表現がストレートすぎるので、閉口してしまったほど でも、客席は大きな笑いに包まれている 中年女性は下ネタが好きなのかな? それにしても、前川氏、全然舞台に登場してこない ようやく出番が来たのは、開演してから50分ほど過ぎたころ 待ちに待った瞬間である 大石内蔵助演ずる前川氏が舞台に登場すると、一気に舞台が明るい雰囲気に包まれた 梅沢武生劇団の方たちも、それぞれ役を務めているのだが、こういっては失礼かもしれないが、いまいち華が足りない なので、前川氏が登場して、ようやく役者が揃ったという感じ 前川氏は、セリフを忘れた素振りをして、独特のテンポで芝居の流れを狂わしていく その前川氏と、流れを正そうとする梅沢富美男氏の丁々発止のやり取りが実に面白い 一つ一つのセリフに、客席が沸く 演目は変われど、毎回このパターンなのだが、2人の絶妙なやり取りは、マンネリと思いつつもいつ見ても面白い しっかし、今回の作品の終わり方は酷かった 「えっ?これで終わりなの?」 というのが、率直な感想 まるで尻切れトンボのように、物語はぶった切られてしまい、なんとも不完全燃焼 花道に取り残された前川氏も、富美男氏に向かって、 「この芝居、どうやって終わらせるの?」 と、まるで自分の意見を代弁するかのようなセリフを吐く そこからは、出番が少ない(約1時間10分の作品で、正味10分弱の出番)だのと、物語に関係なく愚痴り始める前川氏 その度に客席は沸く もしかして、これも狙いのひとつなのかな? なんだか、そう思えてきた 結局は、前川氏のペースに乗せられたまま、最後は曖昧にされてしまった 作品に上質なものを求めているわけではないが、せめて起承転結がしっかりとした作品を観たい 去年の公演の演目『浪花の恋の物語』も中身のない話だったが、今回も残念な演目だった 芝居が残念だった分、二部の歌謡ショーは大いに満喫することができた 「長崎は今日も雨だった」「東京砂漠」「そして神戸」「中の島ブルース」と、往年のヒット曲や最新曲を披露 横で観ている母も、前川氏の歌声に夢見心地のようだ 客席から手を振られると、ひとつひとつ返していく前川氏の姿勢に、温かな人柄を感じる自分であった 歌謡ショーは、富美男氏の唯一のヒット曲である「夢芝居」も披露される 短い曲なのだが、これまた何度聴いても痺れる歌である 歌謡ショーのあとは、座長口上 たしか去年舞台を観たとき、大病(癌)を患い、“舞台に立つのはこれが最後”などと言っていたが、その大病も手術が無事成功し、再び舞台に立てることの喜びを語られていた 座長の梅沢武生氏、かなりお痩せになられたようですが、お元気そうで何よりです そして、最後は舞踊ショー 「華の舞踊絵巻」、それから「黄金伝説~大怪獣勢揃い」と続いていく お芝居では毎回冴えない人物を演じる富美男氏だが、舞踊ショーで見せる女形姿は、まるで別人のよう その美しさは、客席から大きな溜息が漏れるほど 色気溢れる姿に、自分はすっかり魅せられてしまった どうやったら、こんなに綺麗に化けることができるのだろうか? 不思議でしかたない 富美男氏が出演する以外のシーンは、毎回のことながらインパクトに欠ける なんだか、場繋ぎといった感じ 笑いを誘うようなシーン(尻出し)など、毎回似たような構成というのもマンネリ気味 変に下品なものを見せるのではなく、たまには座員の方々の正統派の舞踊も見てみたいと思う ショーのなかで、ちょっと驚いた場面があった それは、舞台中央、黒い着物を着た芸者さんがセリ上がってきたときのこと その後ろ姿を見て、自分はてっきり富美男氏だとばかり思っていた きっとお客さんもそう思っていたに違いない その証拠に、振り返って、その芸者さんが白塗りをした前川氏だと分かったとき、客席からは笑いと大きなどよめきが巻き起こったからだ !!!!! これには、ほんと驚いた 後ろ姿だけじゃ、人は判断はできないね 前川氏の芸者は、なかなかのものだった 富美男氏と張り合うところなんて、いじらしさ全開! コメディアンぶりを発揮していた ラストは、富美男氏の宙吊りあり、色々な怪獣が登場しての華やかなフィナーレ 客席に紙吹雪が舞ったりと、賑やかなうちに終幕 毎年毎年同じような内容なんだけれど、今年も楽しませてもらった 母も大いに楽しんだようで、ヨカッタ、ヨカッタ でもね、母が“前川氏の出番が少ない…”と言っていた それは自分も同感 今回の公演、前川氏の出番ほんと少なかったなぁ なんだか、毎年毎年、出番が減っていっているような気がする この舞台は、前川氏目当てで観にきているようなものなので、物足りなさは否めない 以前は、芝居にも舞踊ショーにも、もっと出演していたのに… まぁそれでも、母の満足そうな顔を見ることができただけで、自分は十分です 出演者の皆さん、素敵なひと時をありがとうございました 明治座6月公演 『梅沢武生劇団・梅沢富美男・前川清特別公演』 5月29日(金)~6月29日(月)まで 出演/梅沢武生/梅沢富美男/前川清/梅沢武生劇団 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年09月19日 09時53分06秒
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