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あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

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2009年10月13日
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カテゴリ:
今日は楽しみにしていたお芝居を観劇
劇団☆新感線・いのうえ歌舞伎『蛮幽鬼』
蛮幽鬼
祈りとは救いの道か、それとも破滅の河か―
遠い昔…
各地の豪族支配から、ようやく一つの政権が出来上がりつつある島国・鳳来の国にまつわる物語
鳳来の国の若者四人は、国をまとめる精神的支柱として果拿の国の国教“蛮教”を学ぶために留学していた
その中のひとりが暗殺され、同行の伊達土門が無実の罪により監獄島に幽閉されてしまう
仲間の音津空麿と稀浮名が罠に嵌めたのだ

10年の歳月が流れ、脱出を図るために着々と準備していた土門は、同じく幽閉されていたサジと名乗る男と出会い、共に脱獄する
長い年月を経た今でも復讐の炎が消え失せることのない土門は、別人になりすまして鳳来の国へと戻り、裏切った仲間へ、そして愛する人へ壮絶なる復讐劇を開始する…
(公演あらすじより)

劇団☆新感線の舞台を観るのは、これが三度目
過去に「五右衛門ロック」と「蜉蝣峠」を観劇したが、両作品とも自分好みの世界観だったので、「蛮幽鬼」も否応なしに期待感が高まる
今回の作品は、お馴染みの顔触れに加え、上川隆也氏、堺雅人氏、稲森いずみ氏、早乙女太一氏という多彩な顔触れを揃えての公演

とにかく展開がスピーディー
映像に比べると、どうしても舞台は制限があるが、そこはうまく処理していて、スクリーンなどを巧みに使用
めくるめく展開で、観る者をグイグイ物語の世界に引き摺りこんでいく
「蛮幽鬼」は復讐がテーマということもあり、陰謀、策略、愛憎、欲望といった血生臭い感情が渦巻いている
背景には国の権力争いがあり、ちょっと堅苦しく感じることもあったが、意外な展開、さらには留学生暗殺に隠された驚愕の真相など、物語がとても凝っていて、最初から最後まであっと言う間に駆け抜けていく

“蛮幽鬼”像
仲間に裏切られ、愛する人にも裏切られ、復讐することにだけ生きる望みを見出せなかった男、伊達土門
そのなかでは苦悩や葛藤が生まれ、虚しさを覚え、度々自分を見失いかけてしまう
それでも、復讐という強い信念があるからこそ、最後まで我が道を貫き通す
そんな難しい役どころを、主演の上川隆也氏が見事に演じきっていた
特に心の動揺をわずかに垣間見せるあたりなど秀逸
復讐というものに翻弄されながらも真っ直ぐに生き抜いた姿勢に、強く胸を打たれた

サジと名乗る謎の男を演じるのは堺雅人氏
殺し屋の役どころなのだが、なぜかつねにニコニコしていて笑顔を絶やさない
そういうキャラクター設定なので仕方ないのかもしれないが、得体の知れない不気味さは出ているものの、いささか浮いているような気がした

土門の許嫁の美古都役は稲森いずみ氏
とにかく美しく、舞台に登場するたびに場面が華やかになる
華だけではなく、業も備えていて、変わり果ててしまった愛する人をまえに苦悩する姿は、こちらまで胸が苦しくなるほど
それだけに、さまざまな弊害を乗り越えて最後に見せた姿に、本来の人間が持つ強さというものを見たような気がした

大衆演劇の世界から綺羅星のごとく登場した早乙女太一は、優雅な舞や、殺陣を披露
基礎がしっかりしているだけに、立ち振る舞いはとても見栄えがして、若いのに…とついつい感心
毎回個性的なクセのある演技をする高田聖子氏は今回も健在で、妙なカタコトの日本語を巧みに使い、客席から笑いを誘っていた

「蛮幽鬼」という舞台に関わるすべての持ち回りが見事に融合して、上質のエンターテイメント作品として仕上がっていた
劇団☆新感線、今回も期待を裏切ることなく、魅せてくれました!
それにしても、切ないラストだったなぁ…
バッグに入りきらないほどの特大サイズのパンフレットを脇に抱え、切ない結末の余韻に浸りながら夜の街を歩いています


新橋演舞場10月公演
劇団☆新感線二〇〇九秋興行
いのうえ歌舞伎
『蛮幽鬼』
9月30日(水)~10月27日(火)まで
出演/伊達土門…上川隆也/サジ…堺雅人/京兼美古都…稲森いずみ/刀衣…早乙女太一/稀古道…橋本じゅん/ペナン…高田聖子/音津空麿…粟根まこと/稀浮名…山内圭哉/遊日蔵人…山本亨/京兼惜春…千葉哲也 ほか







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最終更新日  2009年11月19日 09時25分09秒
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