小説家わかつきひかるのブログ

これは小説新人賞に投稿する作家志望者のみなさんに向けて書いています。

ユニクロのオリジナルシャツ作成サービス「UTme!」の権利関係が恐ろしいことになってるのでまとめてみた。

ユニクロオリジナルTシャツが作れるスマホアプリ「UTme！」が色々怪しいと話題

UTme!って何？　という人は、こちらのページを見てください。

＞スマホでオリジナルデザインのTシャツを作成して注文できるスマホアプリ
なんだそうです。

ところがこれ、ブラック企業で有名なユニクロらしいというべきか、恐ろしい条項が入っていて、ツイッターが賑わっていました。

＞ユーザーは、投稿データについて、その著作物に関する全ての権利（著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます）を、投稿その他送信時に、当社に対し、無償で譲渡します。

＞ユーザーは、当社及び当社から権利を承継しまたは許諾された者に対して著作者人格権を行使しないことに同意するものとします。

これがいかに恐ろしいかは、上のページにまとめてあります（ネットで調べたらわかる内容なので、ｎｏｔｏを買う必要はないと思います）。

なんでこんなことを紹介しているかというと、実は、2年ほど前に、漫画原作の新人賞の募集で、似た募集があったのです。
「受賞作品の著作権は全て当社が譲り受ける」
「賞金には著作権譲渡対価が含まれるものとする」
「著作人格権は行使しないことを約束する」
という条項が入った新人賞があって、私はこれはブラック新人賞だと思ったので、ミクシイのコミュで注意喚起していました。

ものすごく簡単に言うと、賞金はあげるけど印税や原稿料は払わないよ、ドラマ化されたときや増刷されたときのお金も払わないよ、あんたのペンネームも出さないよ、内容を勝手に変えてあんたの名誉を損なう内容にしても文句言わないでね、というとんでもない内容なんです。

著作権は財産権ですから、譲渡できます。法律上は問題はありません。
でも、著作人格権は、人格権ですから法律上は譲渡できません。だから、行使しないことを約束させるわけです。
著作人格権の中には、氏名表示権と同一性保持権、名誉声望保持権が入っています。

お金にならなくても本を出したい、賞が欲しい、キャリアが欲しいんだ、という人もいるでしょうから、そういう人は、「著作権の譲渡」は承諾してもいいでしょう。

また、漫画原作という性格上、「同一性保持権は行使しない」のも、仕方ないのかなと思います。

ですが、著作人格権の中に入っている、「氏名表示権と名誉声望保持権を行使しない」というのはだめです。

ペンネームは出しません。あなたの名誉を損なう内容に書き換えます。にＯＫすることになるんです。
お金にならなくても賞を取って次のステップアップにつなげたいという望みさえ、つぶれることになりかねません。

この新人賞は行われたものの、今はなかったことのようにサイトも消えています。
応募者少なかったんでしょうね。
ユニクロは、この新人賞の規約を参考にして作ったのかなと思うぐらいそっくりです。

小説の新人賞はまともです。ですが、こうした新人賞は、これから先、きっと出てくると思うんですね。
小さな文字で規約がたくさん書いてある新人賞がもしあれば、ちゃんと規約を読んだほうがいいです。

「受賞作品の著作権は全て当社が譲り受ける」
「賞金には著作権譲渡対価が含まれるものとする」
「著作人格権は行使しないことを約束する」

という条項がもし入ってたら、それは要注意の新人賞です。

（言葉がきついという指摘をもらったので、一部書き換えました）