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東京今昔物語  (写真の世界 http://wakowphoto.world.coocan.jp/ より)

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2024.02.19
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東京は江戸300年の歴史を継いだ古い都市ですから、歴史的遺産が多く残っている筈ですが、関東大震災と東京大空襲で都心部では木造建造物の多くを消失してしまいました。しかし郊外の町や農村には、江戸時代から残された歴史的建築物が今日まで未だ残されているところがあります。

新宿から西武電車で30分程走って小平駅で下車すると近くに小平霊園がありますが、その霊園の中を通り抜けると、鬱蒼と茂る高い欅林に囲まれた古風な門構えの顧想園(こそうえん)に行き着きます。
(写真1、2、3)

この顧想園の全域は、江戸時代から代々続く村野家の個人住居なのですが、村野家は天保年間(18世紀初期)からこの地で肥料商を営んで成功し、明治時代には九ヶ村連合戸長、戦後は村議会議長などを勤めた名家です。立派な門構えを潜って敷地に入ると、中央に大きな藁葺きの主屋があり、隣に和洋折衷の離れがあり、複数の白壁の土蔵が周囲を囲んでおり、往時の典型的な豪商屋敷の姿をそのまま残しています。

しかし、戦後の昭和30年(1955)頃、柳窪と称するこの地域にも東京のベッドタウン開発の波が押し寄せます。当時は、この辺りは未だ国木田独歩が描いた武蔵野の面影を残していたので、その存続を願う村野家では、周辺地元有志にもその趣旨を伝えて同意を得、共に当局に働きかけて、平成2年(1990)屋敷全体を「市街化調整区域」へ編入することに成功し、開発の波に飲込まれるのを避けたのです。

そのお陰で、さらに平成7年(1995)にはこの一帯が東京都によって柳窪緑地保全地域と指定され、顧想園は緑の島と言われる広大な緑地保全地域の象徴的な施設の一つとして残ることになりました。その後、平成23年(2011)には庭園内の7件の建造物(主屋、離れ、土蔵、穀蔵、新蔵、薬医門、中雀門)が國の登録有形文化財の認定を受け、柳窪緑地保全地域の名所となっています。
(写真4,5、6、7、8、9)

その顧想園では、来訪者に文化財を見せるだけでなく、定期的に音楽会、講演会を開催して都心や近県からの鑑賞者を積極的に招く活動を続けていますので、令和4年(2022)には園主の村野美代子さんは東久留米市から文化功労者として表彰されています。

歴史的古民家は東京近郊の各地にも存在し展示されていますが、多くの場合は単体の建物だけであり、かつ、現在は実用に供されていないものばかりですが、顧想園は、多数の建物が往時の生活様式を示したまま配置されていて、しかも村野家の人々が現在も庭園内の一郭に住んで使用し、管理しているのです。これぞ活きている歴史的展示物と言えます。

なお、活きている証拠は裏庭にもあります。そこにはテニスコート一面は十分ある広さの茶園があり、訪ねた四月には新芽鮮やかな茶畑の上に鯉幟が泳いでいました。
(写真10)

武蔵野撮影に興味を持つ写真家の田沼武能氏(元日本写真家協会会長)は顧想園を訪れ、都内にこんな屋敷が残っていたのかと感動し、写真家の東松友一氏と共に数年掛けて顧想園を撮影し、写真集「顧想園」を出版しています。

顧想園では平成時代を通して園内の文化財保存工事を年々続けていましたが、昨年の令和4年には主屋の茅葺き屋根の大修理工事を終えて、いよいよ新装開園の運びとなりました。コロナ明けの今年には、是非活きている古民家庭園を訪ねて見たら如何ですか。
(以上)


写真1


写真2


写真3


写真4


写真5


写真6


写真7


写真8


写真9


写真10





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Last updated  2024.02.19 15:33:57
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