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詩人たちの島

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November 27, 2007
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カテゴリ:essay
土曜日にワニ・プロダクションのNさんから下村康臣の死後出版された三冊の詩集、『跛行するもの』『黄金岬』『ハドソン河畔の男』を寄贈された。驚いた。私は、下村の『室蘭』や『リサ、リサたち サキ、サキたち』を購入したいとNさんにメールしておいたのだが、この二冊は在庫がないのかもしれない。ありがとうございます。

日曜日、職場に行かなければならなかった。ついでに、この三冊を持ってゆく。午前中に一気に読んだ。身動きができなくなるような圧倒的な感銘を受けた。詩集を読んで、こんなに全的に感動したことがあったろうか。

なかでも『跛行するもの』という長編詩のすごさには参ってしまう。一冊の詩集(196ページ)全体が「序」と「終りに」を除いて41篇から成る(正確には、この詩集の最初に、序の前に、両手の見えない男の絵、自画像めいたものが掲載されている。この絵はこの長編詩のモチーフとなる重要な言葉、フーコーの―作者とは何か?―がフランス語でなぐりがきされている、そして自画像という、これもフランス語が。それにこの絵の解説「口絵説明」が付されるから、これを入れて詩人の企図する一冊なのである)。

特異なファミリー・ロマンスを下敷きにして、「病者の光学」ともいうべき視点から、徹頭徹尾探求されていくのは、書くことの存在論的意味、とでもいうべき重たい主題である。独創的で、ひりひりする哲学詩の萌芽と達成が、この詩集で果たされている、そんな感じを私は持った。


ここにあることが、そして

そのことだけが詩的言語の可能性を負う(第36篇)


死そのものは、どのような分類にも入らず、

どこにもその場所を要求していない

形容のない裸の語

言語とは死すべきものの言語である

あるいは死すべきもののための(同上)


解釈によって変質させられた

生者のための死ではなく

死者のための死は可能か(第39篇)


言語の意味を定めるのが

存在の形態であるなら

ぼくたちの言語の有限性は

ぼくたちの存在形態の有限性である

その外に追われたものを語ることはできない

<私>の問いも、宇宙の問いも

共に沈黙の中に浮かんでいる

語り得ないものの内部の

残余の言葉として

語り得ないものの、その有効性を零にした

言語的存在の姿である(第36篇)




こういう断片は読むものを、沈思させる。


 
 昨日の午後から一泊で箱根に酒と温泉を楽しむために行ってきた(今日の代休を利用して)。紅葉も、と言いたいのだが、宿からどこにも行かずに、酒を飲み、囲碁を今朝の午前三時半まで友人と打っていたのだから、花も紅葉もなかりけり。昼前には帰ってきて、女房に何をしに行ったのと笑われた。職場の旅行も私にとっては今回で終りである。









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Last updated  November 27, 2007 09:50:46 PM
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