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詩人たちの島

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November 25, 2007
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カテゴリ:essay
高野さんのblogに「春日大社のナギ林を抜け」と書いてあるのを読み、急にその昔1993年の春に新宮に行ったときのことを思い出した。

はじめての(それから再訪したことはないが)熊野旅行で、車で東京から三重を通り、三熊野詣でをやったのである。帰ってから見たら、車の走行距離は千五百キロになっていた。高野さんは奈良の話を書いているのだが、私は熊野のことを思い出した。それをつなぐのは「ナギ」の木である。

行く前から、何かに憑かれたように熊野のことを勉強したのをなつかしく思い出す。梁塵秘抄や、七部集、折口信夫、三島由紀夫、南方熊楠、中上健二、中沢新一などを読んだ。一冊のノートになった。その断片は残っているが、その半分は散逸した。それらを読んだ感想を書き記したものを「熊野ノート」のようなタイトルでまとめた。本宮に参ったとき、そこの社務所に納めた。今から考えれば、なんともいいようのない情熱である。

そのひとつに、野口冨士夫の私小説『なぎの葉考』(初出は昭和54年の―文学界―。今は集英社文庫の―丸谷才一選・花柳小説名作選―で読めるはず)がある。哀切な小説だが、そのなかにナギの葉に関して次のような記事がある。これを言いたかったのである。それを引用したいのだが、その正確な部分は、もし暇だったら、高野さん、この小説を読んでみてください(すでにお読みだったら、この言い草ご容赦のほどを)、短編です。



野口冨士夫の小説『なぎの葉考』で、彼を新宮の速玉大社に案内した若手の作家、間渕宏(中上健二がモデル)は神木であるなぎの巨木の葉をジャンプして折りとって見せる。本当に大きな木だ。その葉は竹の葉に似て、裂くと縦に裂ける。横の葉脈のない珍しい葉だ。間渕は野口のためにそれを裂いてやる。裂いた葉は「女陰」(野口の小説による)に似る。何回も何回も中上健二をまねて、助走をつけてまでジャンプしたが、ぼくは届かなかった。ついにはその木によじのぼり、葉を折りとった。それが半島をめぐる旅の出発の合図になった。




というのは、私が、この旅の感想を昔の同人誌(「ケレンハップク」14号)に書いた文章の最後の一節である。








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Last updated  November 25, 2007 11:58:50 PM
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