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ニューストピックス

2008年05月26日
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テーマ:戦争反対(1189)
カテゴリ:海外の話

(1)では中国による台湾の武力統一の蓋然性について、(2)では中国やアメリカの強硬姿勢が国内向けのポーズであるという点について述べました。

では、今後台湾問題はどうなって行くのか。

もちろん、私は預言者ではないので、必ずこうなるなんてことは言いません。
しかしながら、

「中国が台湾を武力侵攻したところで、共産党(もしくはその首脳陣)の権力維持以上のメリットは無い。」
「台湾では民進党が立法院選挙、総統選挙で惨敗し、国民党政権が成立している。」
「アメリカの台湾関係法は国内法であり、台湾を軍事支援する義務は無い。」
「米中が戦争したところでどちらも完全に勝利することは不可能。」
「アメリカの対中貿易は対日貿易を上回る規模に拡大している。」
「中国の対米貿易も対日貿易を上回る規模に拡大している。」

これらの点を前提に考えれば、一部のネット右翼さんが夢想している、中国が台湾に武力侵攻し、アメリカが台湾救援に駆けつけて米中間で戦争が起きるなんて図式は描きようがないとは言えます(偶発的に起きる可能性は否定しませんが)。

となると、どういうシナリオが考えられるか。

==============================

(A)平和的統一ケース

台湾で国民党政権が誕生したこともあり、今後中国と台湾との間での対話は進むでしょう。
しかしながら、現状ではそれが簡単に統一に至るとは考えにくい。

これは中国側に「一つの中国」政策の見直しの兆候が出てこないと、話は進まないでしょう。
その点、これまでにも台湾側からはいろんな形で「一つの中国、一つの台湾」や香港のような「一国二制度」を模索するような動きは出ています。前政権のような「台湾独立」とまではいかなくとも、ほとんどの台湾人は、中国にそのまま飲み込まれるよりも現在の政治体制の方がマシと考えているはずであり、その「独立性」が守られる確証が得られれば、独立でもない併合でもない形での台湾の地位確定に進む可能性は大いにあると考えます。

いずれにしろ、このケースが実現するためには中国に何らかの変化が起きないとダメ。
でも、その変化は今回の四川地震のような天変地異であっても起こし得る(政情不安が発生し、台湾と事を構える余裕が無くなる等)ものではあるので、一気に動く可能性も無いわけじゃないですね。

==============================

(B)武力侵攻ケース

(2)で述べたように、中国の対台湾強硬姿勢は、もっぱら国内向けのポーズ。
現状で武力侵攻をしたって台湾を併合するメリットよりもデメリットの方が大きい。

従って、実際に中国が武力侵攻するとしたら、

*武力侵攻しても台湾の人々の反発が大きく無いという見通しがたった時。
*そして、アメリカがそれを黙認するという見通しがたった時。

この条件を満たした時です。

後者は現在のアメリカの実力と米中関係を考えれば何時成立してもおかしくない。
現に昨年、アメリカは台湾独立にはっきり反対した。それを無視して独立に走り中国の武力侵攻を招いたとしたら、「警告を無視した自業自得」となるのは自明。アメリカは台湾が自分達を守るなら助けるつもりはあるけど、台湾がそうやって自爆するのに付き合うつもりはない。
別の意味(アメリカが武器を売ると言ってもなかなか予算計上しない)ではありますけど、台湾に自分を守る気が無いなら助ける必要はない、という発言は既にアメリカの議会からは上がっています。

問題は前者の条件。
台湾の人民が中国による武力侵攻を容認することはあるのか。
何の反発もないということはないでしょが、「仕方ない」となる可能性はないわけじゃない。
例えば今回立法院選挙で民進党が惨敗した。つまり直近の民意は独立反対だった。にもかかわらず総統がそれを無視する形で台湾独立を宣言し、それが中国の武力侵攻を引き起こしたら、台湾人の中でも「仕方ない」と考える者がそれなりの比率になったことが考えられます。

しかしながら、私が一番ありそうだと思うのは、やはり政情不安による治安悪化。台湾の治安が悪化し、台湾当局にそれをコントロールする力が無いとなった時、台湾人民の安全を確保するためと称して、中国は台湾に軍を送り込むだろうと私は予想しています。
現状よりも安全な暮らしが確保されるという期待があれば、政治体制が変わっても台湾人はそれを受け入れる可能性が高いし、アメリカもそれに異を唱えることは難しいでしょう。

で、そういう政情不安はどういう場合に起きるかと言うと、一つにはやはり天災が考えられます。今回の四川地震のようなものが台北を直撃し、台湾当局が機能不全に陥ったところで救援目的で軍を送り込む。ただこれはあくまでも運任せ。

もう一つは独立派と非独立派がテロの応酬を始めること。
私は、もし中国が台湾に武力侵攻をする気なら、まずここから手をつけるだろうと予想しています。即ち、どちらかもしくは両派に入り込んで、そういうテロ行為をするように煽る。そうやって治安が悪化したところで、中国軍が「人民の安全確保」のためと称して進駐する。ミエミエの手ではありますけど。

逆に言えば、台湾でそのような治安悪化が生じるまでは、中国の武力侵攻は差し迫っていないと言えると、私は考えています。

そして、中国が武力侵攻をするのは、アメリカの黙認が得られることと台湾側の反発が制御できると見極められた時。
その見通しが立たなければ、台湾に武力侵攻する意味がありません。

==============================

(C)中台並立ケース

これは結局、現状が当分続くというケース。
はっきり言って、今の中国、台湾にとってこれが一番メリットが大きいシナリオでしょう。

統一なんて無駄なことはせず、お互いに経済的利益を享受すべく交流する。
でも、隣には敵国が居るとふれまわることで、政権への求心力を維持する。

中国、台湾とも、人々が合理的な損得勘定をすれば、こういう方向に向かうと私は予想しています。
問題は、お互いの面子を保つための行動によって、相手の反応を制御しきれなくなる可能性があること。

今回の台湾独立の動きはその一例でしょう。
台湾の民進党としては、国民党との違いを打ち出すためにも、台湾独立に言及せざるを得ない。
中国共産党首脳としては、それを許したら自分達が失脚しかねない。

だからその一線を越えないように、自由と民主主義を標榜しているはずのアメリカが「公民投票」にさえ反対した。

そして、台湾の人々は冷静に損得を考えて、今回は国民党に勝たせた。
よほど特別な環境変化でもない限り、この状況が両国にとってメリットが大きいという点は簡単には変わらないだろうと思います。

==============================

で、これのシナリオにどのように日本が絡んでくるかとなれば軍事的にはほとんどやることは無いってこと。

(A)ではお互いの合意の下での統一。
(B)でも中国の侵攻を黙認しているアメリカは救援になど来ない。
(C)も日本には関係ない話。

いずれにしろこの問題で米中台は手を結んでいる。その状況で、外野の日本が自分の思惑で中国を敵視の言動を繰り返すなど、ピエロもいいところでしょう。

最後にもう一度繰り返しますが、中国が台湾に武力侵攻するということは、彼らは台湾を安定化させなければならない。
彼らには、イラクにおけるアメリカのように「傀儡政権」樹立で勝って撤収という出口は存在しない、撤退即敗北です。
アメリカの黙認もなく、台湾人の反発をコントロールできる見通しもなく、闇雲に武力行使したって、中国には何のメリットも無い。だからそんなことはやらない。

どこかの誰かさん達が思い描いているような、台湾海峡で中国と台湾が衝突して、アメリカの空母艦隊が太平洋から救援に駆けつけて、それを中国軍が阻止しようと沖縄近海で「封鎖」にかかる、それを自衛隊が排除する、なんて事態が発生することなどまず考えられない。
こんな現実味の薄いシナリオは、所詮は自分(日本)が一番格好の良いヒーローになるためにはこうあって欲しい、という願望でしかありません。
また中国が、その程度の損得判断もできずに台湾に武力侵攻するなどというのも、相手がそういうお間抜けさんであって欲しいという願望の現われでしかないでしょう。

でも、それは現実じゃない。

今回の選挙で台湾の人々は、リスクをコントロールしながら現在の生活を維持あるいは更なる経済発展を求めて、国民党を勝利させた。それは、彼らが本当の台湾の現実を肌で感じているからでしょう。

それに対して、先日の台湾島の地球儀問題のような自分勝手な思い込みにも見られた、一部の日本人の現実感覚の希薄さには正直言って頭が痛くなります。

自分がそれでよい気分に浸っているだけならどうということもないのですけど、現実世界にそれを持ち込んで中国を挑発したり、台湾に勝手な役割を押し付けたり、そういう迷惑なことは本当に止めて欲しいものだと思っています。

以上で台湾問題については一区切りとします。






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最終更新日  2008年05月27日 02時40分10秒
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