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ニューストピックス

2011年05月21日
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カテゴリ:安全保障

裁判とは裁判官の主観によって裁かれるものと、常々申している私は、あまり判決に対してそれ自身を「不当」だとか言うことはしないのですけど、今回の「あたご」の無罪判決には、さすがにおかしいと言うべきだと思いました。

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『「あたご」衝突事故 2士官に無罪判決』

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/accident/506537/
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別に、士官が無罪になったことをおかしいと言うつもりはありません。
緻密な立証が要求される刑事裁判において、検察が立証に失敗したということはよくあることですし、推定無罪の原則もあるのですから。

問題は、この裁判官が

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 秋山敬裁判長は判決理由で「清徳丸が右転して衝突の危険が生じた」との弁護側主張を認め「あたごには回避義務がなかった」と認定。
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と、言い放ったこと。

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 秋山裁判長は「検察側が特定した清徳丸の航跡は正確さを欠き、特定方法に極めて問題があったと言わざるを得ない」と指摘した。検察側が航跡の根拠とした僚船船長の捜査段階の供述調書について「小型船(僚船)の方位は刻々と変化し、船長の証言からは清徳丸の位置を特定できない。検察側は船長らの証言を恣意的に用いている」と捜査の在り方を批判した。
--

確かに、検察の提示した清徳丸の航跡が正しいとは言えないということはあるでしょうし、その作成の仕方が「恣意的」だったということも、裁判の場で明らかになっていたのでしょう。
でもそれは、あくまでも検察の提示した航跡が正しいという根拠が無いというだけのことであって、被告が主張していた清徳丸の航跡が正しいというものではないってこと。

この裁判長は何を根拠に清徳丸が「右転」したと断じたのでしょう。

--
 一方、横浜地裁は独自に漁船の航跡を描いた上で「漁船が右転しなければ衝突のおそれは生じなかった」と判断。あたご側の不十分な動静監視を指摘しつつ、「前提となる回避義務がなかった」とした。
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清徳丸の乗組員は二人ともお亡くなりになっている。僚船の乗組員もそんな証言はしていない。ということは、被告がそう言っているってだけのことでしょう。まさに死人に口無し状態。

刑事裁判において、被告が自分に都合の良いことを言うのは当然のこと。だからそこに証拠能力なんて無いと認定するのが当然なのであって、有罪の根拠が無いとしても、その裏付けなどない被告の言い訳こそが事実だなんて認定をする裁判官が日本の司法制度の中に存在したということに、私は驚いています。

しかも、そこまで言うなら裁判長は何故清徳丸がそんな航跡を取ったのか合理的に説明できるのかと思ったら、判決の中では、

--
 <裁判所が特定した航跡>

 清徳丸は午前4時7分0~10秒にあたごと衝突した。衝突まで終始約15ノットで航行していた。

 清徳丸の航跡には幅があるが、あたごから見て清徳丸の方位の変化がもっとも少ない航跡をとった場合、清徳丸は午前4時4分ごろ、あたごから約1550メートルの位置で右に転じ、午前4時5分40秒すぎ、さらに右転し、あたごの艦首方向に航行、衝突したことになる。

 午前4時4分ごろに右転しなければあたごの艦尾500メートル以上のところを、午前4時5分40秒すぎごろに右転しなければ200メートル以上のところを通過する針路にあった。にもかかわらず大幅に右転し船首をあたごの艦首前方に向け、衝突の危険がある針路となった。

 清徳丸は一切の回避行為をとらず、あたごの艦首ぎりぎりの位置を通過しようとして衝突した。

 清徳丸は午前4時5分40秒ごろに右転後、あたごの至近距離を並走するように航行していた。あたごと接近するにつれ、月明かりなどで船影は徐々に明らかになっていたはずだし、あたごの探照灯や波しぶきなどでも、あたごの艦首に極めて近い位置を通過する針路にあることは認識できたはず。清徳丸がいかなる理由でこのような航跡をたどったかは不明だ。

『イージス艦衝突:当直士官2人 無罪判決要旨』より
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110512k0000m040101000c.html
--

『不明』ですって(呆)。

そもそも、被告の士官は清徳丸を「停船中」と判断していたというのですから、何故、最初に清徳丸が「右転」したと言えるのか、言い換えれば午前4時4分以前の針路は誰がどう決めたというのでしょう。
その点だけをみても、この判決には整合性が取れていません。

で、この裁判所の認定した航跡なんですけど、私の計算ではどうやっても問題視するような「右転」など有り得ないという結果になるんですけどね。

それはまた稿を改めます。






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最終更新日  2011年05月21日 14時33分00秒
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