オヴニル1さん:バイデン副大統領曰く「アメリカに台湾側に立って介入する義務」はない
昨年、台湾関係の話で脳内妄想を垂れ流し続けたオヴニル1という人がいます。あんまり、かかわり合いになるつもりもなかったのですが、お玉さんのところで、もう一人の困ったちゃんの尻馬に乗ってただ人格攻撃のためだけのコメントを残すという所業に出ましたので、1月20日が過ぎたら出そうと考えていたネタをアップすることにします。と言っても、以下の文は昨年8月11日付けのエントリと同じです。++++++++++++++++++++++++++++++『7年前のブッシュの「失言」』このところ台湾問題で、アメリカが台湾有事の際には必ず台湾を軍事支援するんだ~と大騒ぎしているオヴニル1なる御仁がいます。ま、信じ込むのは勝手なのですが、この人はそこに何か根拠があるかのように装っている。実際にはそんなものはどこにも無いのにね。自分で引用したウィキペディアの「台湾関係法の要旨」にも、そんなことは一言も書いていないのに、何故かそれを掲げることで自分の主張に根拠が生まれると信じ込んでいるだけでなく、この人は書いてもいない「内容」が読めると言い張る。そして同じページにアメリカは台湾有事において軍事介入しなくてもよいとされていると書かれていても、それは「無視」と言い切る。書いてあることを無視し、書いて無い「内容」が存在すると言い張る。ここまでくればもう教祖様の境地です。まあ、ここまでその頓珍漢ぶりを理解して頂こうと言葉を尽くして来ましたが、どうにもわからないご様子。このままではリソースの無駄遣いが続くだけなので、ここで別視点のソースを紹介して、この人の「無視」がいかにご都合主義かも示しておきたいと思います。==============================以下は台湾独立派と思しき「台湾コミュニケ」というサイトに載っていたブッシュ大統領の7年前の「失言」を報じる記事。--"Whatever it took" The demise of strategic ambiguity In a 25 April 2001 interview with ABC's "Good Morning America" President George W. Bush was interviewed on his first 100 days in office. In the context of this interview he was asked whether the US had an obligation to defend the Taiwanese if Taiwan were attacked by China. Mr. Bush responded: "Yes, we do, and the Chinese must understand that."Prompted by the interviewer, who asked "With the full force of the American military?" Mr. Bush emphasized: "Whatever it took to help Taiwan defend herself." In discussions with reporters after the Bush remarks, National Security Advisor Condoleezza Rice noted, "The Taiwan Relations Act makes very clear that the United States has an obligation that Taiwan's peaceful way of life is not upset by force. What he [Pres. Bush] said clearly is how seriously and resolutely he takes this obligation. A secure Taiwan will be better able to engage in cross-strait dialogue." Later, Vice President Dick Cheney added his voice to those trying to clarify U.S. policy on Taiwan, saying, "I think that the appropriate way to look at it is, that the United States clearly has the capacity to come to the assistance of Taiwan should they be threatened by the mainland. What the president has done is to reiterate that very strong determination on our part, that there should not be a resort to force by the mainland in order to try to pull Taiwan closer." Critics, including Senators Joseph Biden (D-DE) and John Kerry (D-MA), argued that the Taiwan Relations Act does not specifically oblige the U.S. to intervene on behalf of Taiwan. While criticizing Bush for overstating the obligation to defend Taiwan and not being clear about Congress' role in sending U.S. forces to war, Senator Biden noted forcefully, "I want to make it clear that I believe the security of Taiwan to be a vital interest of the United States. I remain as committed today as I was then [when the Taiwan Relations Act was passed in 1979] to the peaceful resolution of the Taiwan question." (後略)http://www.taiwandc.org/twcom/97-no2.htm--つまり、2001年4月25日にABCのインタビューに答えてブッシュ大統領は、「アメリカは台湾が中国から攻撃された時に台湾を防衛する義務があるのか "the US had an obligation to defend the Taiwanese if Taiwan were attacked by China."」と聞かれて、「その通り、中国人はそれを理解しなければいけない」と言い切った。重ねて「アメリカの全軍事力をもって?」と聞かれて「何をもってしても "Whatever it took to help Taiwan defend herself."」と答えたということ。こう書くと、あのオヴニル1なる御仁は「自分の言う通りと」欣喜雀躍するかもしれませんけど、そうだとしたら本当のおバカ。何故それが記事になったかと言えば、それが「失言」、即ち本来の台湾関係法の枠組みから外れていたからです。この記事にあるように、そのブッシュの失言をライス補佐官やチェイニー副大統領はいろいろフォローしてますけど、それを批判する立場の民主党の重鎮がその問題点をちゃんと述べています。「台湾関係法は、アメリカに台湾側に立って介入する義務があるなんて明示していない "the Taiwan Relations Act does not specifically oblige the U.S. to intervene on behalf of Taiwan."」まさにウィキペディアに書かれたまんま。もちろん、その民主党も台湾を守る意義は認めています。それでもなお、防衛する義務"the obligation to defend Taiwan"があるというのは明らかに失言"overstating"だということ。即ち、アメリカが台湾有事において台湾を防衛するという選択をするとしたら、それはその時の政治判断の結果なのであって、「台湾関係法」に規定されたものなんかじゃないということが、この1件からも明らかということです。オヴニル1なる御仁は、こうやって公の場で議論されていたことに対して「無視」と引きこもっていたということ。まあ「その辺の誰かの解釈」とか散々言ってましたから、少なくともバイデン/ケリー両上院議員はそう解釈していたということは明記しておきましょう。==============================ちなみに、このサイトはオヴニル1なる御仁と大変親和性がよろしいであろうという主張をしているところ。よって、上記の記事に引き続いてそのサイトとしてのコメントが付記されていますが、それはもちろんこのブッシュ大統領の「失言」を肯定的にとらえてのもの。そして、その中で「ブッシュ大統領はその発言の中でクリントン政権が重視していた『戦略的曖昧さ』を捨てた "In fact, with his statement, Mr. Bush discarded the "strategic ambiguity", which had received so much emphasis during Mr. Clinton's administration."」とも評しています。ということは、その『戦略的曖昧さ』もまたアメリカの政策の一つだったということ。オヴニル1なる御仁は「クリストファー国務長官」にすがろうとしてましたけど、その人が属していたクリントン政権の政策はあくまでも『戦略的曖昧さ』だったということで、まあ知ったかぶりしてソースにもならないものに勝手な解釈を加えていただけだったということが、これからも明らかということでした。==============================で、この時は威勢の良かったブッシュ政権でしたけど、その後イラクの泥沼に足を取られた結果でしょうが、7年経った現在では中国にそんな態度をとれるはずもなく、先日のライス長官のように、中国に「称賛」してもらえるような態度をとっている。即ち、『戦略的曖昧さ』は見事に復活を遂げたということです。あの「中国人はそれを理解しなければいけない」という大見得が、空しく響きます。そして、アメリカが台湾の独立に明確にノーの意思表示をすることで、アメリカが台湾を防衛する義務は規定されていない、それが台湾関係法だということは、ますます理解されるようになった。ごく一部の日本人を除いては。ということですね。2008年8月11日++++++++++++++++++++++++++++++台湾関係法では、アメリカは台湾の防衛義務を負っていない。それは、Wikipediaにも書いてある通り。でも、オヴニル1なる人物は、同じWikipediaに書かれている「内容」を「要旨」とすりかえてまで引用しておきながら、同じくWikipediaに書かれている防衛義務無しという記述はどこの誰が言っているともわからないとかなんとか言って「無視」できると言い張ってました。でも、この8月の記事にもあるように、そう言って時のブッシュ政権の失言を批判していた者の一人は当時のバイデン上院議員。ということは、現副大統領が「台湾関係法は、アメリカに台湾側に立って介入する義務があるなんて明示していない "the Taiwan Relations Act does not specifically oblige the U.S. to intervene on behalf of Taiwan."」という認識だということです。1月20日が過ぎても、まあネタとしてはもう古かったのでどうでもいいかなと思ってお蔵入りさせていたのですが、妙なことを書き残されましたので、それでは遠慮なくということで、改めてこの点を指摘しておくことにしました。雉も鳴かずば撃たれまいってことで。