リバイバル
午前十時の映画祭 という企画で上映されていた、 映画『E,T,』(82’)を観てきました。 公開当初から話題となり世界的にも大ヒット。その後何年経っても話題になり続け、誰もが知っていて当然のように語られる映画――。この作品は間違いなくそんな一本でしょう。 とはいえ「そんな映画をあなたは(リアルタイムでなくともテレビやDVD等で)ちゃんと観ましたか」と問われたとき「YES」と答えらますか。観れていない名作は意外に多いのではないでしょうか。 そうなのです。僕はこれまで『E,T,』を観たことがありませんでした。いえ敢えて避けていたといっても過言ではなく、このまま一生観なくてもいいとさえ思っていました。 それは僕が天邪鬼であることが大きいのですが、もっともらしいことを言えば、この映画にはあまり期待を抱けないでいたからです。 予告編程度に伝わってくる情報により知っていたことは――、 一人取り残された宇宙人が心優しい子供と出会う。そこにその宇宙人を捕まえようとする大人たちが現れる。子供はそんな大人たちから宇宙人を必死になって守りぬく。そおして宇宙人は無事に宇宙に帰ることになる――とそんな物語。 これ以上のものが映画の中にあるとは思えなったのです。 では今回なぜ観に行こうと思ったのかといえば、ひょっとしてと思ったからです。ひょっとしたら、先に述べた食わず嫌いな思い込み以上のことが隠れているのかもしれないと。いや、きっとあるのだと。でないとこんな後世にまで語られ続ける意味が分からないからです。 さあ果たして結果や――。 残念ですが、今『E,T,』を観れたことによる唯一の視点は、ドリュー・バリモアのおしゃまぶりを感慨深く堪能できたところ、だけでした。 けど映画館は意外に混んでいて、僕の近くに座っていた人など映画の最後の方で号泣し鼻をすする音がすごかったんですけど。 いや、それはきっと当時の自分が抱いていた何かを思い起こすような、そんな小さなスイッチを入れるようなモノがそこにあったんじゃないのかななんて思い、そのズルズルを聞いていましたが。 昔観て感動した映画をもう一回映画館で観たいと思う人の多くは、そういう感慨を抱いてくる人も多いのではないでしょうか。 リバイバル上映はいい企画だと思います。 けど。数あるスピルバーグ作品の中で、一番優れていてかつ観ておかなくてはいけない映画といえば、それは『ジョーズ』だけではないかと思います。