テーマ:電撃文庫!!!(428)
カテゴリ:有川浩作品
「図書館戦争」
有川浩/著(メディアワークス刊) 一、図書館は資料収集の自由を有する。 二、図書館は資料提供の自由を有する。 三、図書館は利用者の秘密を守る。 四、図書館はすべての不当な検閲に反対する。 図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る。 これ、何だか知ってますか? 『図書館の自由に関する宣言』と言うものだそうです。 そしてこの宣言はそのまま、お気に入りの小説家――有川浩さんの書き下ろし第4弾、 『図書館戦争』の各章タイトルにもなっています。 正直、「図書館の自由に関する宣言」なんていうカッコ良くも勇ましいモノが存在することは知りませんでした。 最初読み始めたときは、架空のものと思ってたから、よくこんなの思いついたなと感心したものです。 それが実際あるとはね・・・・・・・まぁ、実際あったことが、もっと驚きだったんですけど。(^_^;) ちょっと、図書館を見る目が変わりましたよ。 なんだか、気合の入った組織なんですね。 最後の章にあえて数字が振られていないのは、作者の、この宣言に対する敬意の表れなんだろうなぁ・・・・・・そんな風に感じました。 というわけで、『図書館戦争』の感想であります。 図書館、推参。 ――公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が 成立・施行された現代。 超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館! 狩られる本を、明日を守れ! 敵は合法国家機関。 相手にとって、不足なし。 正義の味方、図書館を駆ける! 出版社の広告の煽り文句(↑)からは、「図書館」で闘うのか、「図書館」が闘うのか、いまいち判断しづらいトコロがありましたけど、ちょっと考えすぎでした。(^^ゞ もう、予告そのまま「図書館で(図書館が)戦争!」でしたよ。(^_^;) ・・・・・・・いや、なんかの比喩と思うじゃないですか。 直球勝負とは・・・・・・・やられました。 もう、降参。(^_^;)/~~~ あとがきによると、作者さん的コンセプトは 『月9連ドラ風』もしくは、『行政戦隊図書レンジャー』とのこと。 ・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・確かに戦隊モノっぽい感じはしてましたけどね。(^_^;) で、実際読んでみるとこれがまた、 当然なんでしょうけど、このコンセプトってのが、確かに作品を端的に表しているんです。 『言いえて妙』ってヤツですよ。 足して2で割って、それから『有川浩特製スパイス』を振りかけたといった感じでしょうか? (注:登場人物は、残念ながら変身しません) 読んだ感じは・・・・・ 物語が動き出したら、文章を追う目が、もう止まりません! 一気に読んじゃいました。(^^ゞ 今回は特に、主人公が元気ですから。 突っ走る主人公に引きづられる形で読み終えました。 感情移入先がはっきりしているのが楽に感じるのは、ラノベばかり読んでいるせいでしょうか?(^_^;) 登場人物も、個性派揃い。 案外乙女ちっくな武闘派主人公 郁の熱血バカっぷりと、コケティッシュな情報屋 頭脳派柴崎とのお馬鹿な会話は必読。 楽しめますよ。 最初いけ好かなかった手塚も、思いのほかお馬鹿。 ああいう、優等生な馬鹿も好きだなぁ。(笑) 結構いますよね、真面目に馬鹿。 『完璧超人』のように見えて、実は『完璧』の『璧』が『壁』になっているヤツですよ。 傍から見てるとおもしろいです。(近くにいると、スゴイ迷惑だろうけどね・・・・・) どこか抜けてるってのが親近感が湧きますね。 で、一番のお気に入りは喧嘩屋の隊長。(^.^) 「その意気やよし!」の台詞は、是非『ゴシック太字(20pt)』に変換希望!(笑) こんな風に書くと、全編コメディーのように思われるかもしれませんが、そうでもないのです。 かなり真面目な、現代の抱える社会問題を突いている作品でもあります。 メディア良化法は、問題視されている「人権擁護法案」とか「人権侵害救済法案」の現状にインスパイアされたもののように感じました。 『人権擁護法案』のことは書くと長くなるんで割愛しますけど、 この作品の世界観は、「人権擁護法案」とか「人権侵害救済法案」の成立が現実のものとなり、危惧されているようなことが起こった場合の「極端な例」と言えるでしょう。 もちろん、こんな極端な世界が実現する可能性はないと僕は信じていますが、『表現の自由』が侵される世界が現実のものとならない保証はないのです。 出版界にもこのように危機感を感じている方々がいるんだと思って、ちょっと心強く思いました。 願わくは、 「公序良俗」の名のもとに、『言論・表現の自由』が奪われ真の『人権』が侵害されているような可能性の明日が、我々の進む未来に存在しませんように・・・・・。 ちなみに、個人的に一番好きなのは『子供の健全な成長を考える会』のお話だったりします。 読後のスッキリ爽快感がなんとも心地よい。 「教育」っていうのは、こうでないと! やっぱり、少年たちの成長する姿はいいねぇ。 青臭い話って、実は好きなんです。(^^ゞ 読むたびに思うのですが、有川さんは『与えられた状況の範囲内で、精一杯頑張っている大人たち』を書くのが凄くうまいと思います。 「海の底」の機動隊員にしろ、今回の図書館隊員にしろ、彼等は与えられた状況下で精一杯できることを頑張ってこなし、生きています。 それは当たり前のことであり、別に賞賛されることではない・・・・・・・事によれば、認めてくれる人の少ない『日陰』の仕事かもしれません。 それでも、 愚直に精一杯頑張っている人達だって、カッコイイんだ! 彼女の作品はこう訴えているように感じます。 もしかしたら『日陰』であるからこそ、「地上の星」は輝いて見えるのかもしれませんね。 さてみなさん、 これは、あくまで僕の感想です。 でももし、この感想を読んで心を惹かれる『なにか』があったとしたら、読んでみてはいかがですか? 月9連ドラ風 行政戦隊図書レンジャー(有川浩風)――『図書館戦争』を、是非ご賞味あれ! <追記> 今回の表紙のイラストは、パッと見「POPな普通のイラスト」ですが、良く見ると『豪華エンボス加工(?)』になっています。 ハードカバーになって、毎回表紙は凝っているなぁ。 イラストの内容も読んでから見ると判るのですが、かなり細かいパーツまで書き込まれていますよ。 なんと、最後にちょっとだけ出てきた○○○○○までっ!!(笑) プロフィールに「有川ファン」と記載されているだけあって、イラストの徒花スクモさんは、しっかり読み込んで描かれる方みたいですね。 それに、キャラクターの顔はシルエットになっていますけど、中表紙の集合シルエットでは、「影」の部分にうっすら「実像」が・・・・・。 ちゃんとキャラの設定画があるっぽいですよ。 シリーズ化されたら、これを見ることもできるのかなぁ・・・・・・。 こちらにも、ちょっと期待! <おまけ> 「あとがき」の時雨沢恵一さんへの謝辞が、「SIG P220(シグ・ザウエル)」を登場させたことに対してのものだと勘違いし、「律儀だなぁ」と思っていた人。 あなたとはお友達になれそうです。(^_^;) 嗚呼、俺って・・・・・・・・orz この記事を評価する <追記> yahooブックスのインタビューで有川さんが、「図書館戦争」について語られています。興味のある方は、是非読んでください。 このリンクよりどうぞ。 個人的「有川浩作品」感想一覧 航空機写真を中心とした個人サイトです(^.^) 是非一度、お立ち寄りください。<(_ _)> 宇宙開発関連の写真や、アラスカ旅行記もあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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