■ジャズの歴史(その16)■■ジャズの歴史(その16)■February 12, 2007 ■History of Jazz ジャズの歴史(その16)■ ●3つあるジャズのスウィングの意味 「スウィング(swing)」の本来の言葉の意味は「揺れる」、「振れる」ということになります。 ジャズにおいて、「スウィング」という言葉はよく使われますが、 その場合に、「スウィング」には大きく分けると3つの意味があります。 【1】 ジャズでは、ジャズ特有のリズムの「ノリ」のことを表す言葉として、「スウィング」という言葉を使います。 ジャズ独特の「躍動感」や「ノリ」を表現する時に、「スウィングする」とか「スウィングしている」 というように使われたりします。 【2】 リズムのスウィングとは違って、ジャズの演奏スタイルとしての「スウィング」という言葉があります。 これまで「ジャズの歴史」として書いてきたように、19世紀末にアメリカのニューオリンズで生まれたジャズは、 1920年に発令された禁酒法の時代に、その中心はシカゴに移りました。 それまでのジャズの演奏スタイルは「ラグタイム」から始まって、 「ニューオリンズ・スタイル(ニューオリンズ・ジャズ)」、「ディキシーランド・スタイル(ディキシーランド・ジャズ)」、 「シカゴ・スタイル(シカゴ・ジャズ)」といったものでした。 1929年のニューヨーク株価が大暴落して起きた不況が回復した1935年以降、 急速に大人数編成のビッグバンドが台頭してきました。 シカゴ・スタイルから発展したそのジャズは大衆化した音楽として、 ラジオを通してアメリカ全土に放送されるようになり、 一挙にアメリカン・ポピュラー・ミュージックとしての地位を獲得していくのでした。 それから1940年代中頃までの間のジャズの演奏スタイルを、 「スウィング」と言い、「スウィング・スタイル」とか「スウィング・ジャズ」とかとも言われます。 また、ジャズの歴史上、この時期のことを「スウィング期」とか「スウィング時代」と呼んでいます。 これは、ジャズを代表する演奏スタイルの一つです。 【3】 そして、もう一つの「スウィング」の意味は、「ジャズ」に取って代わる「スウィング」という意味です。 もともと、ジャズはアルリカ系アメリカ黒人(アフリカン・アメリカン)の中から生まれた音楽です。 ちょっと乱暴な言い方をしますが、 1930年中頃には、「ジャズ(Jazz)」という言葉は黒人の音楽として指すようになっていたので、 白人たちは、ジャズといういかがわしい生い立ちの音楽を、自分たちの上品な音楽に変えようとし、 ジャズという名前を別の呼び方にしようと考えました。 そうして出来た言葉が「スウィング」です。 ジャズはこの頃「スウィング」や「スウィング・ミュージック」と呼ばれるようになりました。 したがって、「スウィング」という言葉は、この時期に白人により「ジャズ」と同義語として作られた言葉で、 実質的に「スウィング」という言葉は「ジャズ」に取って代わった言葉でした。 そういう意味から、「ジャズ」=「スウィング」ということです。 ちょうどスウィング時代が、そのような使われ方をした時で、 「スウィング」という言葉は、「ジャズ」に取って代わろうとした意味もあります。 白人たちは、「スウィング」をアメリカの象徴の音楽として仕立てようとしました。 「スウィング」は、いわゆる「表のジャズ」の形が現れたものであり、 その頃、ハーレムを中心とした黒人たち直系の「ジャズ」は、「裏のジャズ」として発展していきました。 Last updated April 10, 2008 ■History of Jazz ジャズの歴史(その15)■ ■History of Jazz ジャズの歴史(その17)■ 【ジャズ】人気blogランキングへ ジャンル別一覧
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